報告書サマリー |
1.EUデータ保護指令の概要 |
(1) | 個人データ取扱いに係る個人の保護及び当該データの自由な移動に関する指令。1995年採択、1998年発効。 |
(2) | EU加盟国及びEEA(欧州経済領域)加盟国合計30ヶ国に対して同指令に基づく個人情報保護に関する国内法規を要求するもの |
(3) | この指令により、EU域内の企業から、十分なレベルの個人データ保護を講じていない第三国の企業への個人データの移転が禁じられることとなり、日本はその十分性を認められていない。 |
2.EUデータ保護指令の改定の背景と経緯 |
(1) | 今回の改正は、EU指令採択から15年以上が経ち、インターネットを初めとする急速な技術的進歩やグローバル化の進展により発生してきた新たな課題に対処するためのもの。 |
| ○急速なICT技術の進歩やグローバル化の進展と、それによるリスクの拡大 |
| ○現行のデータ保護スキームに対する企業の不満の増大 |
(2) | 今般、2年以上の検討及び関係者とのコンサルテーション期間を経て、2012年1月25日に欧州委員会が改定案を公表。 |
| ○「EUデータ保護規則」: EUにおける一般的なデータ保護のフレームワーク |
| ○ 犯罪の防止・捜査・発見・訴追、刑事罰の執行の目的で処理される個人データの保護に関する指(→本報告書では?@のEU規則案について記載。)令 |
(3) | 欧州委員会は今後、欧州議会及び欧州連合理事会と緊密に協力し、2012年内の合意・採択を目指す。採択から2年後に発効の見込み。 |
3.EU規則案における主要な改定点 |
(1) | 従来の「指令(Directive)」から「規則(Regulation) 」に格上げ |
(2) | 個人データ保護の権利の強化(自己情報コントロール権の強化など) |
(3) | EU域内でのデータ保護ルールの一元化(EU域内企業にとってメリット) |
(4) | グローバル環境でのデータ保護ルールの詳細化(第三国移転ルールの詳細化など) |
4.EU規則案と日本の個人情報保護制度との比較 |
(1) | 日本の個人情報保護法は、「対象事業者の範囲が狭い」「一定の場合を除いて本人同意が必要とされていない」「特定カテゴリ情報の取扱いに関する規定がない」「開示・訂正・消去請求権が明示的に認められていない」「独立的な監督機関に関する規定がない」など多くの点で、EU規則案よりも規定が緩やかである。 |
(2) | プライバシーマーク制度(JISQ15001:2006に準拠)は、個人情報保護法よりもEU規則案寄りの規定とはなっているが、多くの点でやはりEU規則案よりも規定が緩やかである。 |