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2013年7月12日
(社)電子情報技術産業協会
ソフトウェア事業委員会
ソフトウェア事業戦略専門委員会


「社会インフラ分野の新情報利活用モデル」
JEITA I-model2.0(キャピタルアイモデル)の公開について

 
 「社会インフラのデータを利活用した新しいサービスの提供」は、社会インフラがITと融合し進化した形態として、それ自体も、それが産み出す新たなサービスや事業も、ソフトウェア産業の大きな市場になることが予想されます。当該分野においてわが国がグローバルな競争力を培い、持続的成長を実現するために、まずは国内においても同分野の市場拡大と関連産業の活性化に向けて、公共機関・公的機関、企業、個人などに係る「社会インフラ情報」の公開(オープンデータ化)と、これらの情報を有効に処理する情報利活用基盤(ビッグデータ処理基盤)の整備が必要と考えられます。
 社会インフラのデータを効果的に利活用し新しいサービスや事業を活性化するためには、社会インフラとしての情報基盤が扱う情報自体の充実と、情報共有・二次利用などの活用の仕組み整備が重要です。昨今のオープンデータの動きはこれらを強力に推進するものと考えます。一方で、諸外国と比較すると、我が国のオープンデータ化は遅れている状況であり、より一層の加速が必要と考えられます。その際には、データの相互運用性やアクセスの容易性、データ利用の権利等に関する課題解決が期待されます。また、東日本大震災の経験に基づいた災害時、緊急時の対応を考えれば、公共データだけではなく、民間団体の持つ公共的なデータやプライバシーに配慮した個人の情報の利活用が重要であると考えられます。
 そこで、JEITAソフトウェア事業委員会(委員長 嶋津和行(日本電気))傘下に設置した、ソフトウェア事業戦略専門委員会(委員長 前川隆昭(三菱電機))では、社会インフラ分野の情報を有効活用するための情報自体の整備と情報共有のあり方について検討し、「社会インフラ分野の新情報利活用モデル(I-model 2.0)」を策定いたしました。昨年度のモデルに「I-データバンク層」を加えた5階層からなっております。新たに加えた「I-データバンク層」は、政府や公共機関だけでなく、民間に対しても個人情報の活用を提案しております。さらに、これらの情報を有効に活用するためには、ビッグデータ処理技術の開発が不可欠であり、従来「社会インフラ情報系IT基盤」と包括的な表現をしていた「I-プラットフォーム」を「社会インフラ情報系ビッグデータ処理基盤」と明確な技術名称に変更いたしました。


JEITA I-model(キャピタルアイモデル)(画像をクリックすると拡大画像が表示)
注) I-modelの「I−」は社会インフラを意味する"Infrastructure"の頭文字でi-modeやiPhoneなどの情報系シンボルを表す「i−」と区別し、大文字の「I-」で表記し、「キャピタルアイモデル」と称します。
■JEITA I-model(キャピタルアイモデル)の5階層について
I−ハードウェア(Infrastructure - Hardware)
 I−ハードウェア層は発電システムや高度交通システム等の様々な社会インフラの構成要素である機器やサブシステムを示している。この層の構成要素はセンサー、アクチュエータ、情報端末などのハードウェアとその組込みソフトウェアからなる。
I−エンベデッドソフトウェア(Infrastructure - Embedded)
  I−エンベデッドソフトウェア層はハードウェアと制御ソフトウェアからなる。従来の閉じた社会インフラシステムはこの階層までで構築されるが、今後は活用段階まで含めたオープンな社会インフラモデルを提案することが必要であり、システムとは呼ばずにI−エンベデッドソフトウェアとしている。I−エンベデッドソフトウェア層ではセンサーやアクチュエータなどの機器やサブシステムから得られる情報をリアルタイムに上位層に供給する役割を担っている。
I−データバンク(Infrastructure - databank)
 I−データバンク層は、I-エンベデッドソフトウェア層で取得されるデータ公開と整備のあり方について示している。I−データバンク層は、オープンデータ等に代表される政府・公共機関の保有するデータに加え、災害時等に柔軟な対応が行えるよう民間企業や個人に関するデータも含めて一元的に蓄積・二次加工等を行う仕組みである。また、蓄積されたデータには、適切なデータライセンスの付与、利用しやすいデータ形式、データへのアクセス性の向上、十分なデータの鮮度や粒度の確保、個人情報等の機微情報への対応等が必要である。
I−プラットフォーム(Infrastructure - Platform)
 I−プラットフォーム層は社会インフラの活用段階で必要となる安心・安全・快適な機能を提供するための技術基盤である。I−プラットフォーム層は各分野向けの個別アプリケーション(I−アプリケーション)が稼動するための共通基盤層と位置づけられる。特に、データ分析に重要な4つの機能が重要視されている。具体的には、複数のインフラから得られる多様な形式のデータを統合する機能、収集したデータを管理する機能、予測や最適化・可視化・リアルタイム処理機能、データセキュリティ機能等である。各種サービス間の連携やデータの相互利用が想定されるため、データ交換が標準化されるとともに、オープン性や情報の相互利用性が確保される必要がある。
I−アプリケーション(Infrastructure - Application)
 I−アプリケーション層はオープンな社会インフラシステムにおける各種アプリケーションを示している。I−プラットフォームの層で処理されたデータを活用し社会インフラに対して安心・安全・快適なサービスを提供する。
■JEITA I-model2.0は以下のサイトからダウンロードできます。
   (PDF版)JEITA I-model 2.0
■詳細は以下の報告書でご確認下さい。
IS-13-情シ-1 我が国IT関連産業の持続的成長に向けた事業戦略に関する調査報告書
 −社会インフラ分野の情報利活用に向けた提言−
■お問い合わせ先(事務局)
 〒100-0004 東京都千代田区大手町1−1−3 大手センタービル5階
    (社)電子情報技術産業協会 インダストリ・システム部(一條・中崎・栗山)
       TEL:03-5218-1057 FAX:03-5218-1076 E-mail:itt3@jeita.or.jp
 
以上


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