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IS-12-情端-5 端末装置に関する調査報告書

■ エグゼクティブサマリ ■
第1部 金融端末装置に関する調査報告
金融端末装置の出荷統計は,1978年度より実施され,本年度で34年目になる。自主統計参加11社により,基幹系業務端末7機種について四半期毎に出荷台数,出荷額の統計を採り,これらの統計データと市場動向を基にした製品分野毎の分析や今後の出荷見通し調査を行っている。また,ソフトウェア,ソリューションサービスの比重の高まりから,1997年度より,自主統計参加9社により専用端末系/業務系計8種のソフトウェアについて半期毎の出荷額の統計を採り,上記装置出荷統計と併せて製品分野毎の分析や今後の出荷見通し調査を実施するなど充実を図ってきた。
2011年度の金融端末装置全体の出荷実績は,国内では,ハードウェア,ソフトウェア合計で約1,147
億円(前年度比85%)であった。そのうちハードウェアが台数で約42,300台(前年度比74%),金額で約838億円(前年度比83%),ソフトウェアが約308億円(前年度比89%)であった。
ハードウェアについては, 2010年度は出荷台数・金額とも大幅増となりリーマンショックから立ち直ったかに見えたが, 2011年3月の東日本大震災とそれに伴う電力不足, サプライ・チェーンの寸断等々により大きな影響を受けた。 2011年度後半は復興需要の盛り上がりやサプライ・チェーンが回復するもタイの洪水による影響を受け通年としては2010年度を下回った。 2011年度は過去に例を見ない天災の影響を大きく受けた年であった。尚, 今後の見通しについては2012年度は2011年度とほぼ同程度の出荷金額が見込まれATMとテラーズマシンの更改需要が最大となると見込まれる2013年度にピークをつけた後, 一定の規模で推移するものと見通した。
ソフトウェアについても, ハードウェアに同調して2010年度は出荷金額も3年ぶりに増加基調となり立ち直ったかに見えたが, 2011年度は震災やハードウェア出荷の減速に伴い, 通年では前年度を下回った。 全体に占めるソフトウェア比率は2010年度と同じほぼ27%であった。ソフトウェアの今後の見通しも2012年度は昨年度とほぼ同程度の出荷金額が見込まれ2013年度にピークをつけた後, ハードウェアと同様に推移するものと見通した。
さらに、今回は、金融機関では営業店を「事務処理の場」から「セールスの場」へと転換するため、事務処理の更なる効率化による事務の削減と顧客サービスの強化を推進されていると考え、今後の金融端末の更なる利便性向上の一助とすべく、これらの現状や将来動向について金融機関にアンケート調査を行った。
今後の課題として,ソフトウェア統計の充実,ソリューションサービス統計の具体化を図り,市場調査カバレッジを拡大することがあげられる。近年,他業界と協業しての製品や店舗展開が進んできたことによって,金融機関の専用端末というよりは,複合化された製品になってきたものもある。他方,ソフトウェア技術の向上により専用機器から汎用PCに置き換えられるものもある。このような製品をどう位置付けて統計に反映させていくかも今後の課題である。
 このように多様化するサービス・製品及び社会・経済環境に対して金融端末専門委員会としても柔軟な体制で臨み,他委員会との交流も含め,更なる市場調査の拡充を行う必要が出てくるであろう。これらの調査結果が今後の金融端末の方向性を示唆するとともに,金融並びに提携業界の連携を推進する一助となるものと確信する。

第2部 流通POS端末装置に関する調査報告
流通POS端末専門委員会では、流通業界を取巻く経済・社会状況を把握する中、流通POS及び周辺機器の技術動向の調査とともに、店舗におけるPOSの運用やソフトウェア動向、社会システム動向等の調査・研究を行っている。
POSシステム市場においては、ネットワークやサーバなど基幹系と投資タイミングを分散させる傾向が見られ、米国発金融不安、東日本大震災の影響、円高による輸出産業への業績懸念など近年の経済状況を背景とした消費者の購買意欲の減少が叫ばれる中、業界不振による投資の先延ばしにより、リプレースサイクルの長期化が顕著になってきている。POSシステム市場そのものが成熟してきていることもあり、運用を継続できないレベルまで老朽化がすすまない限りはリプレースしないといった風潮があることは否めず、本年度も同様に投資は慎重になっていると推察される。
2011年度のPOS端末の国内出荷台数は前年度比102%の11.3万台、出荷金額は前年度比110%の402億円となり、出荷台数、出荷金額ともに過去10年間で最低の実績となった2010年度(11万台、364億7千万円)を底に回復しつつある。この要因としては、過去数年間システム更新検討を先送りしてきたことから徐々に投資意欲が現れてきた事と、昨年3月の東日本大震災による復興需要が考えられる。
出荷台数に占めるPC-POSの割合は1996年度から順調にその構成比を伸ばしてきており、2011年度も全体の8割を超える結果となった。
POS端末の2016年度までの5ヵ年出荷台数見通し調査では、出荷台数はリプレース需要が2013年度から2015年度の間にあるとの見通しを示し、その後は微減しつつも概ね横ばいで推移する見通しとなっている。
PC-POSのPOS端末に占める割合は2012年度以降も9割を超えて飽和した状態が続くと見通している。また、Windows搭載POSの割合は、2012年度から94%前後の高比率で推移すると見通されているが、タブレット端末やスマートフォン等をPOSとして利用する動きも予見される事から2015年以降は微減になると見通されている。
2011年度のカード決済端末の国内出荷台数は前年度比131%の13万9千台、出荷金額も前年度比133%の77.7億円と大幅な増加となった。これはDoPaサービスの終了に伴う、入れ替え需要が伸びたものと思われる。2015年度までの5ヵ年出荷見通し調査における平均伸長率は据置型で14年度に掛けて101%で微増するが、以降は減少し11年度並みの台数に動くと見通される。携帯型ではDoPaサービスの買い替え需要の反動で2012年度が93%と下落するが、2013年度からは101%程度で微増傾向が続くと見通されている。
POSシステムにおけるアプリケーションソフトウェアの重要性の観点から,OS及びソフトウェアパッケージの種類と動向,サポートしている周辺機器と業務機能等の調査報告を行っている。ソフトウェアパッケージの市場拡大を期待して市場売り上げが「年率1%〜5%の伸び」および「年率5%〜10%の伸び」と予想する会社が前回調査では過半数を割っていたが、今回調査では合わせて58%となっており業界の回復傾向が強くなっている表れと見て取れる。また、本年度の調査からWindowsOSの占有率の減少を占うコメントが多く見られ、その理由としてタブレット端末の活用を考えているとの回答もあり、今後の進展が興味深く感じられる事となった。
POS端末装置の保守状況調査は隔年で行われるため、今年度の調査は無いが、ハードウェアを中心とする保守サービスの形態・内容・方法について調査を継続している。
委員会としては、今後も引き続きPOS端末装置だけではなく、POS周辺機器、及びそれらをとりまくアプリケーションや決済等の社会システムなど全てを包含した議論を重ねる中、今後予想される社会システムの電子化やIT技術進展による店舗形態の在り方についても討議を深め、的確な情報発信に努めていく所存である。
流通業界を取巻く環境は依然として厳しい状況ではあるが、本報告書の内容は流通POS開発に関わる方々、および流通業界の方々の参考になるものと確信している。

第3部 ハンディターミナルに関する調査報告
ハンディターミナルは携帯型の特長を活かし,データの発生時点での収集並びに処理ができること
から流通,運輸,製造等のあらゆる業種で活用され,業務の省力化・効率化の促進に貢献してきた。
装置の機能に関しては利用者側から各業務に最適な機器の要求があり,装置開発メーカも利用者の要
求を満たすべく携帯性を追求する中で,高い耐環境性能,大画面液晶,大容量メモリ,近距離無線通信機能,3Gデータ通信機能,3G通話機能,NFCリーダーライタ機能等の搭載が進んでいる。
 ハンディターミナルは,流通,運輸,製造等の業種で情報収集・管理等の情報処理を担う装置とし
て活用されている。また,近年ではスマートフォン,タブレット端末等が業務利用されはじめており,広く携帯端末の一種としてハンディターミナルの業務利用範囲も広がりつつある。
2011年度(平成23年度)のハンディターミナルの出荷実績は,東日本における震災やタイ洪水の影響を受けたが,2010年度(平成22年度)と比較して,国内では台数で8%増加し,金額では3%減少した。また,輸出は台数でほぼ増減なしであるが,金額では5%減少した。
各カテゴリ別にみると,スキャナ一体型では国内出荷が台数で2%増加し,金額で14%減少した。輸出は、台数で3%減少し,金額でも12%減少した。
標準型の国内出荷台数は,台数が減少した昨年度と比較して,台数で23%増加し,金額でも29%増加した。また、輸出では台数で47%増加し,金額でも33%増加した。
ノートパッド型の出荷台数は,大きく増加した昨年度と比較して,43%増加し,出荷金額においても31%増加した。
4カ年の出荷見通しでは,スキャナ一体型の国内は,緩やかな低価格化が進み,無線化,二次元シンボル対応といった高付加価値化の進展及び商品のトレーサビリティの向上を目的としたRFIDの普及と共に新たなマーケットが広がる可能性があると見ている。
標準型の国内は,2015年度までは,市場規模4万台を超える規模で横ばいに推移すると見通した。ノートパッド型の国内は,業務利用の拡大に伴い,緩やかな増加傾向が続くものと見通される。

第4部 KIOSK端末装置に関する調査報告
1.調査の概要
本年度は,KIOSK端末専門委員会発足の四年目であり,初年度で確立したKIOSK端末の自主統計調査をベースに業界動向、海外動向などの定性調査を行なった。特に、海外調査については、昨年度に続き成長著しい中国のKIOSK展示会にて中国におけるKIOSK動向を調査した。また、関連する端末装置の類として、タブレットPC及びデジタルサイネージの現況について調査会社よりヒアリングした。
 定義付けされたカテゴリーに沿って業界全体の動向を可視化することを目的に,自主統計調査を基本継続し、上半期・下半期に分けて統計を実施した。
2 調査の背景
当専門委員会の目的は,KIOSK端末に関与する業界の発展に寄与することにあり,市場実態の把握,標準化の推進,共通的な情報発信や業界課題への対応を目的としている。国内市場における自主統計調査がある程度軌道にのってきたとの認識のもと、昨今のグローバル化の流れに着眼しグローバルでの位置付けに関して把握する試みを開始した。グローバルの中では、特に昨今急速な成長を遂げている中国市場にフォーカスした。市場実態を可視化することを通じて業界の発展に寄与することを目標に,自主統計調査を継続した。継続にあたっては前年度の方式を継承し、上半期、下半期に分けて実施した。
3 調査のまとめと考察
平成23年度のKIOSK端末装置全体の出荷実績は、台数が17,646台(対前年度比46%)、金額で36.72億円(対前年度比52%)であった。そのうち汎用KIOSK端末は台数で6,394台(対前年度比28%)、金額で18.64億円(対前年度比39%)、専用KIOSK端末は台数で11,252台(対前年度比70%)、金額で18.08億円(対前年度比79%)であった。
一昨年、順調に回復の兆しもみられたが、昨年度は、台数・金額ともに半減しており、統計的には非常に厳しい結果となった。特に汎用KIOSKの落ち込みが大きく、全体の数値を悪化させる傾向となった。

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