青少年が安全に安心してインターネットを利用するために ~ フィルタリング機能の活用(改訂)

青少年が安全に安心してインターネットを利用するために ~ フィルタリング機能の活用

2019年1月25日(改訂)

はじめに

 科学技術の進歩によって私たちの生活は確かに便利で豊かになっています。しかしながら、その反面さまざまな社会問題も生じています。
 たとえば、自動車には交通事故という危険な側面があります。しかし、私たちは自動車の利用を禁止することなく、むしろ交通規則や安全施設を整備し、安全装置(エアバッグや自動ブレーキなど)を開発することで、安心して自動車を利用できる環境を構築しようとしています。
 パソコンも同様です。インターネットの発展によって、世界中の人と容易に電子メールをやりとりしたり、国や企業が公開しているインターネット上のサイトを閲覧したりすることで、必要なときに必要とする情報を瞬時に検索することが可能です。更に個人が情報を発信することも可能になりました。しかしながら、インターネットには違法情報や有害情報のほか不確かな情報が氾濫しているという負の側面があります。特に青少年にとって、下記のようなインターネット上のサイトは、情報入手の容易さや情報に遭遇する機会の増大などによって、青少年の健全な成長を阻害し、犯罪やモラルに反した人権侵害などの社会問題の発生を助長していると見られています。

  • アダルトサイト(ポルノ画像や風俗情報)
  • 出会い系サイト
  • 暴力残虐画像を集めたサイト
  • 他人の悪口や誹謗中傷を載せたサイト
  • 犯罪を助長するようなサイト
  • 毒物や麻薬、禁止薬物の情報を載せたサイト
  • 不必要に個人情報を書き込ませるサイト
  • オンライン詐欺サイト
  • 自殺や家出に誘うような情報を載せたサイト
  • ネットいじめのサイト

 そこで、このようなサイト(これ以降は「有害サイト」と表現します)の情報を見たくない人や子どもに見せたくない人は、どのようにしたらよいのでしょうか。情報を発信する人の権利ももちろんありますが、見たくない人や子どもに見せたくない人の権利を守るためのIT技術も必要です。
 このような、有害サイトを見せないようにするためのIT技術が、「フィルタリング」です。フィルタリングを利用すると、情報を受け取る側で有害サイトを表示させないようにすることが可能です。
 例えば、利用もしていないのに請求書が画面に貼りつく詐欺やフィッシングの多くは、有害サイトで行われていますから、これらのサイトを見ないようにしておくことは、青少年に限らず、どの利用者に対しても有効です。

フィルタリングの利用状況

「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」によって、家庭用のパソコンにはフィルタリングを搭載するか、フィルタリングサービスを容易に利用できる処置をしたうえで販売することが義務付けられました。しかしながら、青少年がいらっしゃる保護者に対して内閣府が行っているアンケートによると、家庭用のパソコンやタブレット端末でのインターネットの利用率が90%を超えているのに対し、フィルタリングを使っている割合は、20%前後に留まっています(インターネット利用における保護者の取組状況の調査項目において「フィルタリングを使っている」と答えた割合/平成27~29年)。
※出典:青少年のインターネット利用環境実態調査(内閣府)

フィルタリングとはどんなもの?

 一般的には、フィルタリングを提供するメーカやベンダが、閲覧してもよいと判断したサイトと閲覧にそぐわないと判断したサイトをあらかじめデーターベースに登録し、利用者がサイト閲覧するときに、閲覧の可否を制御します。このとき、閲覧を許可するサイトを閲覧許可リストに登録する方式をホワイトリスト方式、閲覧を制限するサイトを閲覧拒否リストに登録する方式をブラックリスト方式、と呼びます。
 閲覧の許可/拒否があらかじめ登録されていないサイトを閲覧する際、サイトの文字列や内容をチェックして閲覧の可否を判断するWebフィルタリングという方法もあります。
 フィルタリングは、これらの方式を組み合わせて、サイトの閲覧の可否を制御しています。

フィルタリングの利用方法

 フィルタリングを行うには、フィルタリングを行うためのソフトウェアが必要です。
 このソフトウェアには、市販されているもの、購入したパソコンにはじめから付属されているものなどたくさんの種類があります。特に、家庭用のパソコンには「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」によって、フィルタリングが搭載されていたり、フィルタリングサービスを容易に利用できる処置が施されていたりしますが、この他市販のフィルタリングや、インターネットプロバイダーが提供しているフィルタリングサービス、ネットワーク機器が提供するフィルタリングを利用する方法があります。
 なお、購入したパソコンにはじめから付属しているソフトウェアの場合、無料のお試し期間などが、市販されているパッケージと異なっている場合がありますので、詳しくは、各々のパソコンやタブレット端末メーカのホームページ、マニュアルでご確認ください。
 また、ご利用になるフィルタリングによっては、インターネットを利用する人の年齢や学校種別に合わせて、閲覧できるサイトのレベルを選べるものもありますから、ご家庭での利用状況に合わせて設定してください。

パソコン・タブレット端末業界としての取り組み

 各々のパソコンやタブレット端末メーカは、フィルタリングの利用促進のために以下の施策を実施しています。

  • 個人向けに販売しているパソコンでは、簡単にフィルタリングをご利用できるように、フィルタリングソフトをプレインストールしたり、フィルタリングソフトのインストーラをデスクトップに配置したりしています。また、フィルタリングの設定を簡単に実施できるように、セットアップ手順の中に組み込んだりしています。
    個人向けのタブレット端末では、インターネット上のフィルタリングの紹介や申し込みサイトへのショートカットアイコンをホーム画面に配置しています。
  • 個人向けパソコンやタブレット端末に同梱しているマニュアルに、フィルタリング利用促進のための啓発情報を掲載しています。
  • 各メーカのホームページに、フィルタリング利用促進のための啓発情報を掲載しています。
  • 各メーカはユーザー登録されたユーザーに、フィルタリング利用促進のための啓発情報を掲載した、メールマガジンを定期的に発行しています。

 以下に、各パソコン・タブレット端末メーカがホームページに掲載しているフィルタリング利用促進のための啓発情報を紹介します。

NEC/NECパーソナルコンピュータ
「生活をもっと便利に! インターネット活用入門 安心なネット生活のために」

エプソンダイレクト
「有害なホームページにアクセスさせない」

Dynabook
「青少年のおられる家庭の皆様へ~ 重要なお知らせとお願い」

パナソニック
「青少年によるインターネット上の有害サイトへのアクセス防止について」

富士通/富士通クライアントコンピューティング
「子どもをネットの危険から守る『フィルタリング』」

保護者の方へのお願い

 平成20年6月18日に公布され、平成21年4月1日に施行された「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」では、国や地方公共団体、関係事業者の責務と共に、第六条に「保護者は、インターネットにおいて青少年有害情報が多く流通していることを認識し、自らの教育方針及び青少年の発達段階に応じ、その保護する青少年について、インターネットの利用の状況を適切に把握するとともに、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用その他の方法によりインターネットの利用を適切に管理し、及びその青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得の促進に努めるものとする。」といった保護者の責務を明記しています。そこで、インターネットには青少年にとって有用な情報だけでなく、有害な情報も多く存在することを認識していただいた上で、被保護者(お子様)のインターネットの利用状況を適切に把握し、成長段階に応じて適切な情報を見られるように、ご自宅のパソコンやタブレット端末でフィルタリングの機能を持つソフトウェアを実行するか、インターネット事業者のフィルタリングサービスやネットワーク機器のフィルタリング機能の利用を強くお勧めします。

青少年有害環境対策(インターネット利用環境整備・非行対策・健全育成)について
青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律
「春のあんしんネット・新学期一斉行動 」(青少年インターネット環境整備に向けた協力のお願い)

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