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「情報システム政府調達制度・ガイドライン見直しに向けた
検討報告書」の公表について
平成23年4月27日
社団法人 電子情報技術産業協会
ソリューションサービス事業委員会
ITサービス調達政策専門委員会
 政府は、これまで、政府における情報システム調達について、分離調達を基本とする「情報システムに係る政府調達の基本指針(2007年3月)」(以下、「指針」)や「情報システムに係る政府調達の基本指針 実務手引書(2007年7月)」(以下、「ガイドライン」)を策定して、競争促進等によるコスト低減や透明性の確保に取り組んできました。
 これら指針等の策定により、政府の業務・システムの最適化や、調達における競争性の確保については一定の成果があった一方で、一部の情報システムについては開発の遅延や計画の大幅な見直しが発生するなど、課題も発生しているものと認識しています。
指針やガイドラインの策定から3ヵ年が経過し、今はまさにPDCAのC(チェック)の段階であり、発注者・受注者がともに現状の課題を共有し、パートナーシップを築きながら、制度・ガイドライン類の見直しに取り組む時期に来ていると考えます。また、クラウド技術やサービスの利用が本格化していることから、政府情報システムにおいても最新技術を活用するという視点に立って、制度やガイドライン類の見直すことが喫緊の課題となってきているといえます。
 JEITAでは、前述の指針・ガイドラインの策定を契機にソリューションサービス事業委員会のもとに「ITサービス調達政策専門委員会」を設置し、ITベンダの視点から改善点の検討を行い、情報システム政府調達に関する提言(第一版;2007年3月、第二版;2008年4月)を公表してきました。また、2009年3月には、米国政府の情報システム調達について現地調査を実施し、「情報システム政府調達に関する調査報告書〜ベストバリュー調達に向けた政府調達制度の比較〜」を公表しております。
 2010年度は、これまでの提言も踏まえて、分離調達の対象となり得る情報システムの調達にスポットを当て、指針・ガイドラインが適用されてから3年間の調達現場での課題を整理しつつ、企画段階における要件定義のあり方や、技術力の高い事業者選定を可能とする調達制度のあり方について検討を行い、本報告書を取りまとめました。
 本報告書においては、政府調達制度や指針・ガイドライン見直しに向けて、以下の3点について課題を整理し、解決策の方向性について提言しています。
[1] 政府の発注者としての責任・役割を明確化し、人材育成や外部リソースの適切な活用を図りつつ、発注者ガバナンスを発揮できる仕組みを構築すべきである。
[2] 設計・開発工程での仕様変更を最少にするために、企画段階においてシステム全体の要件定義・見積もりを確定する仕組みを構築すべきである。その際、既存事業者やITベンダのノウハウ・経験の活用が有効であることから、「要件定義に関わった事業者は設計・開発工程の入札に参加できない」などの入札制限全般を見直すべきである。
[3] 入札において、技術力の高い事業者を選定可能となるよう総合評価落札方式や業者選定基準を見直すべきである。また、提案・交渉ベースでの調達プロセスの構築についても検討すべきである。
 これらの方向性は、政府調達の課題解決にあたり、優先的に取り組むべきテーマと考えています。これらのテーマを具体的に検討することにより、さらに新たな検討事項も生じてきます。また、解決にあたっては、政府における予算・会計制度や人事制度、WTO協定など、政府調達を取り巻く様々な法制度との整合が必要であり、具体的な方法論についてはさらなる検討が必要と考えます。
 政府においても、2010年度には「新たな情報通信技術戦略」に基づいて「電子行政推進の基本方針」を策定し、2011年度には指針・ガイドライン類を見直す動きがあります。また、公共サービス改革分科会においても、調達改革についての検討が進められています。
 JEITAとしては、今回の提言を機に、政府における情報システム調達に関する制度や指針・ガイドラインの改善・見直しの検討に是非とも参画の機会をいただき、政府情報システム構築の良きパートナーとして、活動を継続したいと希望しております。
◆情報システム政府調達制度・ガイドライン見直しに向けた検討報告書◆


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