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IS-14-情端-2 プリンターに関する調査報告書

■ エグゼクティブサマリ ■


1.プリンター市場動向


1.1 2013年の市場実績


 2013年のプリンター市場は,ワールドワイドトータルで11,604万台となった。(対前年比101.0%)
 方式別では,ドットインパクトプリンターが横ばい,インクジェットプリンターが減少,電子写真プリンターが増加という形になっている。
2013年の市場の状況として,ドットインパクトプリンター分野はインクジェットや電子写真方式へのテクノロジーシフトと主たる市場と目された中国・アジア・パシフィック市場での減速が見られた。インクジェットプリンター分野ではビジネスモデルの見直しが進み,収益に結び付くビジネス形態に移行しつつあることと,ビジネスインクジェットが拡充され,市場に認知されてきたこと,クラウド対応などが一層進んだ。電子写真プリンター分野は相変わらず堅調に推移している。モノクロは底堅い需要に支えられ,単機能機から複合機へといったシフトも継続して進んでいる。一部では複合機比率が50%を超えるような市場も現れた。


1.2 2016年までの見通し

 2016年に向けては,プリンター全体の市場としてはかつてのような大きな成長は見込めない。これは,ドットインパクトプリンター分野におけるインクジェットや電子写真方式へのテクノロジーシフト・リプレースの長期化,インクジェットプリンター分野での単機能機の減少,印刷機会の減少,ビジネスモデル変革による数量減,電子写真プリンター分野での市場構造の変化,新興国での伸びの鈍化などの要因が予想されるためである。しかし、インクジェット複合機・電子写真プリンターは各地域ともにまだまだ堅調に推移すると見込まれる。その結果2016年にはワールドワイドで11,718万台(2013年−2016年 年平均成長率 0.3%)になると見通した。



2.プリンター技術動向

 2013年の電子写真プリンターの発売数(回答機種数)は、SFP(Single Function Printer)が9社38機種、MFP(Multi Function Printer)が9社139機種、合わせて177機種だった。SFPは2006年の76機種から減少傾向が続いていたが、MFPはおよそ100機種前後の発売数を保っているように見えた。(ただし、60機種を割り込む年もあれば、2013年のように139機種とバラツキは大きい。)また、電子写真プリンターでは、2010年からプリント・オン・デマンド(以降PODと記す)の分析を行っているが、2013年のPOD機種数は電子写真プリンター全177機種の内、過去最大の19機種になり、商品分野として確立してきたと思われる。
 電子写真プリンター全般についは、SFPはデスクトップに、MFPはコンソールタイプへの分化が明確になってきていた。SFPとMFPに共通して言えることは、高速化、高解像度化が進められている点であり、その分、印刷時及びレディー時の消費電力はやや大きくなっていた。
 インクジェットプリンターの発売数(回答機種数)は、SFPが5社9機種、MFPが5社34機種、LFP(Large Format Printer)が6社20機種、合わせて63機種だった。SFPは電子写真プリンターに同じく2006年の32機種から減少傾向が続いていた。MFPはおよそ30機種前後の発売数を保っていた。LFPは、2006年頃は隔年で発売機種数が増減していたが、2011年からの3年間はおよそ20機種で安定してきていた。
 インクジェットプリンターでは、MFPが家庭用だけでなく、事務用としても選択の主軸となり、その機能を特化させたものとしてのSFP(A4未満専用や高画質写真用、ラインヘッドによる高速事務用)がMFPを下支えする構造がより明確になってきた。また、LFPが産業用あるいは商業用として一定のポジションを確保している一方で、産業用、商業用をターゲットとしたSFPも発売された。
 感熱・熱転写プリンターの発売数は、1社1機種だった。2007年をピークに減少傾向が見られ、特に家庭用のプリンターは2010年以降ゼロまたは1機種となっていた。それ以外はすべて業務用であり、家庭用はデジタルカメラの写真印刷とA4サイズのドキュメント印刷ができるインクジェット方式が主流になったと推定される。
 ドットインパクトプリンターの発売数は、シリアルタイプが1社4機種で、ラインタイプの発売は2012年と同様にゼロであった。発売数は少ないものの、複写伝票の作成や振動,埃,塵などの多い作業環境での印刷需要など,古くからの業務形態を継続している市場で一定のポジションを堅持していると見ている。



(単位:機種数)









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