サプライチェーン事業継続調査票の公開について

2014年9月26日
一般社団法人 電子情報技術産業協会
資材委員会
高度に情報化が発達した現在、エレクトロニクス機器やITサービスは私たちの生活に深く浸透し、一日たりとも欠かせない存在となっています。またそれらを提供する企業は、社会生活に影響を及ぼさないよう製品・サービスを供給し続ける社会的責任を意識しながら、企業活動を営んでおります。
一方で製品・サービスの供給継続を阻害する事象は、毎年のように発生しています。地震のみならず、津波・洪水などの水害、豪雨・豪雪・竜巻などの異常気象、火災・爆発などの事故、広域伝染病・感染症などの疾病蔓延、デモ・労働争議などの紛争、テロ・政変など、生産活動を妨げるあらゆる事象はこれからも発生し続けるでしょう。
なかでも、2011年3月に日本は東日本大震災という未曽有の災害に見舞われました。この災害は直接的に被害を受けた企業はもちろんのこと、サプライチェーンの断絶により、直接の取引関係を持たない川上企業の供給途絶が、直接的な被害を受けていない世界中の企業の生産活動に影響を与えるという課題や、調達先を複数ルートとしてリスク分散したとしてもサプライチェーンを溯ると同じ材料供給企業に集約されていたといった課題を浮き彫りにしました。 また、その後に発生したタイの大洪水では、逆に海外でおきた災害により日本国内での生産活動が阻害されるという状況をもたらしました。これらを経験したことから「事業継続」「BCP/BCM」といった言葉も一般的になり、企業活動における事業継続マネジメントの重要性が認識されてきました。
特に東日本大震災への対応を通じて、災害等が発生していない平時におけるリスク管理の必要性を再認識したことにより、サプライヤへのアンケート調査実施などの動きを活発化させてきました。
しかしながら、これらのアンケート調査は各社各様で質問内容や回答様式がそれぞれ異なるため、回答する側の企業では、その都度、質問内容を理解し、回答内容を検討し、オーソライズのために社内調整して顧客へ回答する、という業務に毎回追われる状況になっております。
またその質問内容に関しても、調査する側の企業が聞きたい内容の意図が、アンケート調査票の短い質問文では十分に表現されず、また回答する側の企業も十分にその意図を理解出来ないために、理解内容に齟齬が発生しているケースも見受けられています。
事業継続の活動内容は様々な組織・団体がガイドラインを公開しています。
2013年8月には内閣府がガイドラインを第三版に改訂し、2013年10月には「事業継続マネジメントシステム-要求事項」がJIS規格化され、他にも数多くのガイドラインが提案されています。
これらのガイドラインにはBCPを策定している組織自身の取り組み達成度を確認するためのセルフチェックシートが提示されているケースもあり、BCPの普及促進に役立てられています。
一方、各社の調達部門では、上述の通り調達上のリスク管理強化のため、不測の事態発生時におけるサプライヤからの供給確保可否等の事業継続対応能力に焦点を合わせた評価の必要性に迫られています。
JEITA資材委員会ではこれまで、セットメーカーと部品メーカーの調達部門が一緒になって日本のエレクトロニクス企業が抱える諸問題を検討し、解決していくための議論を行って参りました。
これら上述の課題についても協議した結果、調達部門視点のサプライヤ供給責任に関する評価指標の必要性に加え、顧客からの各社各様の調査要請に対応しなければならない回答側企業の負担軽減や調査における回答側企業価値への配慮、各社調査結果の業界としての共有方法やサプライチェーン全体の事業継続能力強化に向けたその活用方法、およびIT活用による効率化の在り方など、様々な課題が認識されました。 これらの課題解決に向け、業界としての共有方法やサプライチェーン全体での活用方法等を検討するためには、まず回答側企業の負担を軽減しつつ共有・活用検討のベースとなるサプライヤ評価指標の標準化が必要との結論に達し、今般、JEITA資材委員会として、会員各社が実施している調査票をベースに調査票の標準化を試みたものです。
本調査票は経済産業省の事業継続能力フレームワークの考え方を参考にして、経営者による積極的な関わりや、事業継続に向けた取り組みと平時ビジネスとの整合性を意識して、ハード面(事前の減災対策等)だけでなくソフト面(体制や行動基準の整備等)やスキル(訓練による危機対応力向上)の強化などを盛り込んだ内容となっております。
また評価票の標準化検討にあたり、できる限り各設問の解説を加えることで、質問側企業と回答側企業間の理解内容の齟齬を減らすための「共通言語化」を目指しました。また各設問に対する回答内容を各企業があらかじめ準備することにより、顧客ごとに異なる調査要請に対する回答内容の検討やオーソライズに必要であった時間を、大幅に減らす効果を期待しております。 なお、各質問側企業における評価方法については、企業毎に重視する項目の考え方が一律でないため、本標準調査票においては各質問に対する評価の重み付けを規定しておりません。 また基本的な利用方法としては相対する企業間における調査を想定しており、調査においては回答側企業の企業価値や取引関係に十分配慮しつつ実施されることが望まれます。
各企業においては、これまでの各種事業継続ガイドブック上のセルフチェック項目に加え、顧客企業の調達部門がどのような視点でサプライヤを評価しようとしているかについて理解することも重要です。そして、それを今後の事業継続活動に活かしていただき、サプライチェーンを構成する個々の企業がそれぞれ、平時ビジネスとのバランスも考慮しつつ事業継続対応能力を強化することが望まれます。
本調査票をJEITA会員企業間にとどまらず広く活用いただき、サプライチェーン全体の有事対応能力を向上させていくことによって、日本全体の事業継続能力の強靭化に貢献できれば幸いです。
サプライチェーン事業継続調査票(Excel 日本語)
サプライチェーン事業継続調査票の解説(PDF 日本語)

※本調査票の利用にあたり、解説書P.20の『使用上の注意(依頼側企業向け)』をご確認下さい。
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