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IS-16-情端-5 端末装置に関する調査報告書

■ エグゼクティブサマリ ■
第1部 金融端末装置に関する調査報告
金融端末装置の出荷統計は,1978年度より実施され,本年度で38年目になる。自主統計参加8社により,基幹系業務端末7機種について,四半期毎に出荷台数,出荷額の統計を採り,これらの統計データと市場動向を基にした製品分野毎の分析や今後の出荷見通し調査を行っている。
また,ソフトウェアやソリューションサービスにおいては、自主統計参加7社により専用端末系/業務系計7種のソフトウェアについて半期毎の出荷額の統計を採り,上記装置出荷統計と併せて製品分野毎の分析や今後の出荷見通し調査を実施するなど充実を図っている。
2015年度の金融端末装置全体の国内出荷実績は,ハードウェア,ソフトウェア合計で,約1,147億円(前年度比103%)であった。そのうちハードウェアが台数で,約74,300台(前年度比101%),金額で約896億円(前年度比106%),ソフトウェアが約252億円(前年度比94%)であった。
ハードウェアについては,出荷台数、出荷金額とも、端末更改需要増やコンビニATMの出荷増などから前年度を上回る結果となった。
ソフトウェアの出荷金額は、大口ユーザの単価減少傾向などから、逆に前年度より下回る結果となった。これにより、出荷金額に占めるソフトウェア比率は22%(前年度24%)となった。
2015年度は,円安を背景とした企業収益の拡大が見られたものの,原油安の影響などにより設備投資を押し上げるまでの回復には至らず、出荷台数,出荷金額とも更改需要を中心に微増であった。
2016年度は,端末により差はあるが,ハードウェア、ソフトウェア合計で同程度の出荷金額を維持すると見込んでいる。但し,端末更改需要の時期や規模等の変動要素があり,今後の需要予測については増減する可能性がある。
さらに,今後の金融端末市場に影響がありそうな以下のテーマを抽出し,調査・研究を実施した。
・PepperとIBM Watsonの金融ビジネス利用に関する調査
・警備ロボットとATM設置の現状に関する調査
・キャッシュレス取引に関する世界動向の調査
・地方商店街のキャッシュレス化の取組み調査
今後の課題としては,どのようにして4ヶ年出荷見通し調査・分析の精度を上げるかが挙げられる。特定金融機関のリプレース特需や単価の下落傾向等,予測の難しい要素がある中,自主統計参加各社から寄せられるアンケート調査結果をどう分析し,次年度以降の予測精度を上げるかが課題となろう。
近年,ハードウェアやソフトウェア技術の向上により専用機器から汎用端末に置き換えられるものもある。更に、フィンテックの進展をどのように位置付けし,統計に反映させていくのかも今後の課題である。
このように多様化するサービス・製品及び社会・経済環境に対して金融端末専門委員会としても柔軟な体制で臨み,他委員会との交流も含め,更なる市場調査の拡充を行う必要が出てくるであろう。これらの調査結果が今後の金融端末の方向性を示唆するとともに,金融並びに提携業界の連携を推進する一助となるものと確信する。

第2部 流通POS端末装置に関する調査報告
流通POS端末専門委員会では、流通業界を取巻く経済・社会状況を把握する中、流通POS及び周辺機器の技術動向の調査とともに、店舗におけるPOSの運用やソフトウェア動向、社会システム動向等の調査・研究を行っている。
2015年度の日本経済は、後半にはGDPも上昇し、雇用の改善も見られ緩やかながら、回復の傾向がみられた。背景として、為替による輸出産業への追い風や、企業の生産および設備投資落ち込みの下げ止まり、「一億総活躍」社会をめざした施策などの好材料により、前年からの景気の回復基調が維持できたと感じられる。個人消費についても、一部弱さが残るものの、観光客による爆買いの影響など、明るい兆しも見えた。
流通小売業界においては、スマートフォンやポイント管理、オムニチャネルといったマーケティングにより消費者の需要をより的確につかみ、リアル店舗への誘導とネットも含めた売上増やリピート率アップを行っている。POSシステムにおける販売時点管理や、ポイント、決済の情報がより重要となっていることを窺い知ることができる。
POSシステム市場は前年度より出荷台数が増加へ転じており、ここ6年間でみて多少の増減がある中、全体として増加傾向は継続していると言える。2015年度の出荷台数実績は約15.1万台となり,2014年度に対し119%の結果となった。過去10年間で最低の約11万台まで落ち込んだ2010〜2012年度までの状況から比べると,大きく出荷台数が伸長した。今回の結果は,2000年対策のリプレースで17万台規模が出荷された2006年度および2007年度から8〜9年が経過し,少しずつ始まっていたリプレースの周期が本格的に訪れたものと窺える。POS端末出荷台数全体に占めるPC系POS出荷台数の割合は88%であった。2005年度以降は8割以上で推移しており,安定して高い割合を保っていることが読み取れる。POS端末出荷単価実績は約28.2万円となり,2014年度に対し90%(3.1万円減)の結果となった。過去10年で最低だった2013年度よりも低い単価となった。
POS端末の出荷見通しは、2016〜2019年度にかけて15万台規模で推移し,2020年度には16万台に達すると見通された。この背景には,2000年対策のリプレースで17万台規模の大きな需要があった2006〜2007年度に導入された機器のリプレースが8〜9年が経過した2015年度に本格的に訪れたことが窺える。POS端末全体に占めるPC系POSの出荷台数比率は,9割近くをPC系POSが占めている状況である。2016年度以降はさらにこの傾向が進み,9割を超えて飽和した状態が2020年度まで続くと見通された。
現在採用しているOSは,OPOS対応のWindows搭載POSが前回までと同様にPC系POSの主流となり,2016年度以降も構成比率が90%を超えて継続する見通し結果となった。これはOPOSをはじめとするWindowsでの開発環境の優位性や既存のアプリケーション資産の流用を重視する状況は依然あり,新たにオープンな技術が注目されながらもLinux等の他のOS採用に際しては投資等のさまざまな課題が捉えられていることが窺える。
2015年度のカード決済端末の出荷台数は約166千台となり,2014年度の約137千台と比較して約29千台の増加,伸長率は121%となった。これは近年5年間の中で消費税率変更前の駆け込み需要により出荷台数が最大であった2013年度の155千台と比較しても,約16千台の出荷台数増加という実績となっている。据置型、携帯型各々の出荷台数を見ると据置型端末が前年比113%と増加していると共に,携帯型端末も前年比177%と大幅に増加している。これは外国人観光客によるインバウンド需要の増大が広く認識され,カード決済端末の新規・追加導入を行う小売店が増加したことが要因として窺える。
PC系POSにおけるアプリケーション動向調査は、自主統計参加会社及びOPOS技術協議会会員会社に対して実施、10社からアンケートの回答を得た。これは、前回2013年度と同様少なく,且つPOSメーカの回答が大部分を占めるため,POSソフトウェア業界全体を俯瞰することは難しいが,メーカ系POSが主流を占める国内の状況を把握するには充分な回答と言える。2015年度の調査結果は、大枠では2013年度と同様の結果が見られたが、一部に変化の兆しも見ることができる。傾向としての変化が見られたのは主に以下5点。
・PC系POSにおけるWindows OSの占有率が減少するとした意見が減った(Andoroid系OSの伸び不足)
・PC系POSにおける採用OSの割合のうち「その他」が増加(タブレットPOS増加の影響)
・採用しているOSの順位1位が「WEPOS」から「POSReady 2009」「Windows 7」なども追加された
・POS用ソフトウェア全体の売上高に対してパッケージ売上高を高く捉えている企業が増加
・回答各社の関心として、ICクレジット、セミセルフ、軽減税率などへの関心が高い
 保守に関する調査は隔年で今年度の調査はないが、POSシステムにおける保守の実態把握の重要性の観点から調査を継続している。
委員会としては、今後も引き続きPOS端末装置だけではなく、POS周辺機器、及びそれらをとりまくアプリケーションや決済等の社会システムなど全てを包含した議論を重ねる中、今後予想される社会システムの電子化やIT技術進展による店舗形態の在り方についても討議を深め、的確な情報発信に努めていく所存である。
流通業界を取巻く環境は依然として厳しい状況ではあるが、本報告書の内容は流通POS開発に関わる方々、および流通業界の方々の参考になるものと確信している。

第3部 ハンディターミナルに関する調査報告
ハンディターミナルは携帯型の特長を活かし,データの発生時点での収集並びに処理ができること
から流通,運輸,製造等のあらゆる業種で活用され,業務の省力化・効率化の促進に貢献してきた。
装置の機能に関しては利用者側から各業務に最適な機器の要求があり,装置開発メーカも利用者の
要求を満たすべく携帯性を追求する中で,高い耐環境性能,大画面液晶,大容量メモリ,近距離無線
通信機能,広域無線通信機能,通話機能,NFCリーダライタ機能,RFIDリーダライタ機能等の搭載
が進んでいる。
ハンディターミナルは,流通,運輸,製造等の業種で情報収集・管理等の情報処理を担う装置とし
て活用されている。また,近年ではスマートフォン,タブレット端末等が業務利用されはじめており,
広く携帯端末の一種としてハンディターミナルの業務利用範囲も広がりつつある。
2015年度(平成27年度)のハンディターミナルの出荷実績は,2014年度(平成26年度)と比較して,
国内向け出荷では台数で13%減少し,金額では11%減少した。また,輸出では台数で14%減少し,金
額では8%減少した。
各カテゴリ別にみると,スキャナ一体型の国内向け出荷は,台数で18%減少し,金額では17%減少
した。輸出は,台数で14%減少し,金額では9%減少した。標準型の国内向け出荷は,台数で23%増
加し,金額でも18%増加した。ノートパッド型の国内向け出荷は,台数で12%増加し,金額でも11%
増加した。標準型とノートパッド型を合わせた輸出は,台数で16%減少し,金額では4%減少した。
4ヵ年の出荷見通しでは,スキャナ一体型の国内向け出荷台数は,2015年度には一時的な減少が見
られたが,2016年度以降は2014年度実績と比較して微増傾向が続くと見通した。
標準型の国内向け出荷台数は,2015年度には一時的な増加が見られたが,2016年度以降は2014年度
実績と比較して微減傾向が続くと見通した。
ノートパッド型の国内向け出荷台数は,2015年度には一時的な増加が見られたが,2016年度以降は
2014年度実績と比較して微減傾向が続くと見通した。
 
第4部 KIOSK端末装置に関する調査報告
1.調査の概要
1.1 調査の概要
平成20年度にKIOSK端末専門委員会が発足して以来,平成20年度〜24年度で確立した自主統計調査
をベースとして,定義付けされたカテゴリーに沿って業界全体の動向を可視化することを目的に,一
般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)インダストリ・システム部が,平成25年度,平成26年
度に続き,本年度(平成27年度)も上半期・下半期に分けて調査を実施した。
1.2 調査の方法
?@KIOSK 端末装置の定義付けと分類
初年度(平成20年度)定義設定したKIOSK端末の定義付けとカテゴリー分類に基づく。
?AKIOSK 端末出荷自主統計調査
一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)インダストリ・システム部は,平成24年度までの
統計情報を引継ぐ形で,平成25年度,平成26年度,平成27年度の出荷台数・金額のアンケート調査を
行い,結果報告を集計し,出荷実績を求めて,全体金額の推移及び主な製品カテゴリー別の分析をお
こなった。
尚,平成20年度にKIOSK端末装置の定義と分類を行い調査した際,平成17年度から平成20年度の統
計調査をおこなった。
1.3 調査のまとめ
今回の統計調査では,平成27年度の台数・金額を調査対象とし,調査した。
回答いただいた結果を集約すると,平成27年度のKIOSK端末装置全体の出荷実績は,国内・海外を
合わせ,台数が26,409台(対前年度比54%),金額で6,336百万円(対前年比76%)であった。
・全体 26,409台(対前年度比 54%) 6,336百万円(対前年度比 76%)
・内訳 国内:16,348台(対前年度比 37%) 4,347百万円(対前年度比 57%)
海外:10,061台(対前年度比 208%) 1,989百万円(対前年度比 292%)
尚,平成26年度の自主統計(例年どおり各ベンダーに平成26年度の出荷台数,金額をアンケート方
式にて調査し回答結果を集計)の数値に関し,回答会社から提示データの誤り並びに差し換えの旨連
絡が平成27年度にあったため,平成26年度の数値を以下に修正している。

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