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パリ駐在員報告
 【 2002年11月号 】



 欧 州 動 向
   〜 欧州における研究開発の最新動向 〜


T.欧州における研究開発投資増大のためのロードマップ

 欧州委員会は9月11日、「MORE RESEARCH FOR EUROPE Towards 3% of GDP」という文書(以下、単に「文書」と表記する。)を発表した。
 EUは、2000年3月のリスボン特別欧州理事会において「2010年までに、世界で最も競争力がありかつダイナミックな、知識に立脚した経済となる」ことを目指した「リスボン戦略」を合意した。その後、2002年3 月のバルセロナ欧州理事会でレビューを行った結果、研究開発投資を2010年までにGDPの3%(2000年は1.9%)に引き上げるとともに、研究開発投資に占める民間企業の投資の割合を2/3(2000年は56%)に引き上げるという2つの目標を設定した経緯がある。
 文書は、この2つの目標を達成するために、どのような方法や手段を用いるべきか議論を始めることを目的としたものであり、欧州委員会は今後、様々な関係者からの意見を集約することとしている。
 文書に関して、欧州委員会のフィリップ・ビュスカン委員(研究開発担当)は以下のように述べ、研究開発投資の増大と、そのための議論の必要性を強調している。
 科学技術への投資を増やすことが、欧州の将来にとって鍵である。景気低迷の中でも、明日の成長と雇用をもたらすイノベーションのタネをまくために、今、もっと研究開発に投資することが必要だ。米国では2000年に2,880億ユーロの研究開発投資があったが、EUでは1,640億ユーロに過ぎず、そのギャップは拡大している。我々は、政府の研究開発予算を民間投資増大のテコとするためにどうしたらよいのかということを、欧州大で議論する必要がある。
 さて、EUと米国及び日本の、国内における研究開発投資の対GDP比及び官民の支出比率について見てみよう。(表1)


表1 EU、米国及び日本の研究開発投資
表1
(備考) 1.数字の後ろの「('00)」等は、年を表す
2.数字の後ろの「*」は推計値を、「+」は予測値を表す
3.EU15の数字には、ルクセンブルグを含まない
4.民間と政府の比率の合計は100%とならないが、海外からの投資やその他の投資が含まれることによるものである
(出所)「MORE RESEARCH IN EUROPE」(欧州委員会)、2002年9月


 表1に挙げた17か国の中で、日本は、研究開発投資の対GDP比で3位、研究開発投資の民間比率は1位、同政府比率は最下位となっている。
 ところで、表1から民間による研究開発投資の対GDP比を算出すると、日本は2.16%で、EU15か国平均の1.09%及び米国の1.84%を大きく上回り、17か国ベースでは3位となる。他方で、政府による研究開発投資の対GDP比を算出すると、日本は0.58%となり、EU15か国平均の0.66%及び米国の0.74%を下回り、17か国ベースでは9位となる。
 民間における研究開発投資には企業活動上の限界があり、政府による補完と強化が不可欠であると考えられるが、現状の日本政府による研究開発投資は諸外国と比較して低く、更なる拡充が必要と思われる。
 文書は、研究開発投資拡大に向けた議論の「たたき台」の位置づけであるが、今後の議論の中で、日本にとって参考となることも出てくるのではないかと思われる。以下、文書の概要を見ていこう。


1.欧州の研究開発投資に欠けているもの

 文書は、最初に、EUの研究開発投資の問題点について、主として米国との比較で論じている。
 まず、米国との比較で研究開発投資額の格差そのものと、その拡大について以下のように述べている。
  • 米国とEUの開発投資額の格差は2000年には1,240億ユーロに達しており、これは1994年の2倍である。
  • 研究開発投資の対GDP比で見ると、EUではこの10年間1.9%前後で推移しているが、米国では1994年の2.4%から2000年の2.7%へと成長を続けている。
  • この格差の拡大は、主としてEU民間研究開発投資が少ないことが原因である。加えて、米国の研究開発予算のほぼ1/3が民間研究開発の支援であるのに対して、EUのそれは16%に過ぎない。
  • 研究開発投資の対GDP比で見ると、日本とEUの間にはもっと大きな格差があり、日本では3%に達している。さらに、日本では研究開発投資の72%が民間によるものであり、EUでは56%、米国でも67%に過ぎない。
  • しかし、日本との比較には重大な限界がある。それは1つには政府と民間の役割分担が違うことであり、また1つには日本の経済パフォーマンスを弱めるとともに研究開発投資の効果を減じている日本の金融システムの問題である。
 少々注意を要するのは、米国では1990年前半、GDPが増加する一方で研究開発投資がほとんど増加しなかったため、当該期間の研究開発投資の対GDP比はむしろ減少していたことである。このため1994年と2000年を比較すると、対GDP比が増大しているように見える。ただ、過去15年以上、米国の研究開発投資の対GDPは2%台後半を維持しており、EUより高水準である。また、日本においては過去10年間、研究開発投資の対GDP比は約3%で横這いとなっている。

 次に、イノベーションとの関係で以下のように述べている。
  • 労働生産性の上昇は、イノベーションによってもたらされる部分もあるが、EUでは1990年代後半になって伸びが減少しているのに対し、同期間に米国では大きく伸びている。
  • ハイテク製品の貿易動向は、EU経済のハイテク部分の弱さを示している。事実、ハイテク製品の世界シェアは米国が22%を占めるのに対し、EUは18%と大きく水をあけられたままである。
 ところで、全要素生産性(経済成長から資本及び労働の寄与を引いたもの。技術進歩の経済成長への寄与を測る指標)の1980年代平均と1990年代平均で見ると、米国では増加しているのに対し、英国、ドイツ、フランスなどでは減少しており、日本は特に大きく減少している。イノベーションが求められている点については、日本もEUと同じである。
 さて、表1に示されているとおり、EU内でも国によって研究開発投資の状況が大きく異なるが、これについては、以下のように述べている。
  • 研究開発投資の対GDP比は、北欧諸国、アイルランド及びオーストリアでは大きく上昇しているが、逆にフランス及び英国では低下している。
  • 研究開発投資の対GDP比は国ごとの差異よりも、国の中の地域ごとの差異の方がむしろ大きい
  • 研究開発投資の対GDP比を3%に引き上げるという目標に関して、国による状況の違いもあることから、差異を認めつつも協調して対応できる政策が求められる。
2.もっと魅力的な条件へ

 文書では、研究開発投資の拡大に向けてEUで、あるいは各国レベルで色々な方策が講じられてはいるものの、方策個々の、あるいは方策全体での有効性の評価が必要であるとしている。そして、こうした評価を実施する上で、関係者間での議論が必要な政策課題あるいは目標として、以下の各項目を挙げている。

(1) 十分かつ良質な人材資源
  • 雇用やスキルについてのニーズや、異なる科学技術分野間での将来のキャリアの機会について評価し、認識を高める。民間及び公的セクターの雇用者や、訓練された科学者やエンジニアの供給者との密接な連携の下、こうしたニーズに見合った教育・訓練の場があるか評価する。
  • より多くの女性が科学技術のキャリアに加われるよう奨励する。
  • 欧州の外と競争できる、良質な高等教育や研究開発の拠点やネットワークを発展させるとともに、これを見えやすいものとすることを奨励する。
  • 若い科学者のキャリアパス、研究機器や研究資金の調達についてより注意を払うことにより、企業及び公的セクターにおいて、科学技術のキャリアを発展させるとともに、これを見えやすいものとすることを奨励する。
  • 生涯教育を促進すること。全ての段階で適切な情報と助言を与えることにより、また国の間での障害をなくすことにより、第三国の研究者の流入も含め研究者の移動を通じて、知識やキャリアの移転を促進する。
(2) 企業との連携を強化した、強力な公的研究開発基盤
  • 関連する産業界のシステマティックな参画により、公的研究開発に、より明確で一貫したプライオリティを確立する。
  • 知識の移転や研究開発成果の市場化を進めるため、官民の研究開発協力や産業集積を奨励する。
  • 公的研究開発基盤や、その産業界とのつながりを強化するイニシアチブを奨励する
  • 国家研究開発プロジェクトを、国際共同研究に、よりオープンにする。
  • 大学と産業界の間の研究者の移動の障害をなくす。特に年金の権利の移転に留意するとともに、研究者の移動はキャリア発展の上で有用なものであると認識する。
(3) 研究開発のための、研究開発を通じた、企業家精神
  • リスク・ファイナンスとの密接な協力や、(特に知的財産権や技術移転に関する)マネージメント・スキルの向上を通じて、公的研究開発とつながっているハイテク・ベンチャーを振興する。
  • 大企業からスピンオフする者をサポートする適切な手段を調査する。
(4) 知的財産システムの効果的な適用
  • 技術進歩によって生じる新たな知的財産問題や既存の法律の評価に基づく国際的なハーモナイゼーション・プロセスや、技術進歩に対応するために必要であるならば、EUの知的財産に関する法的フレームワークを更に改善する。
  • 知的財産システムの国際的なハーモナイゼーションや強化を積極的に進めるとともに、途上国と協力し相互に利点のある共同研究開発を推進する。
  • 公的資金による研究開発や大学と産業界の共同研究について、知的財産の観点から見てうまい例を使うよう促進する。
  • 知識の生産者及び利用者による知的財産のより効果的なマネジメントを促進する(認識を高めること、科学者やエンジニアの訓練、イノベーション支援サービスの発展や専門化)。
(5) 研究開発やイノベーションに優しい規制
  • 研究開発やイノベーションを促進するために、製品・サービス市場に関するEU及び各国の規制当局からのオファーの可能性を調査する。特に、研究開発やイノベーションに関する規制が新製品・サービスの市場に直接及ぼす効果と及ぼす可能性のある効果の双方に注意する。この観点からの規制の見直しもありうる。
  • それが適切であり、かつ産業界の密接な協力が得られる場合、EU共通標準のシステマティックな開発と利用を促進する。これは、多くの関係者が開発、テスト及び利用の関心を有する新しい技術基盤を創設する際に、特に促進されるべきであろう。
  • 公共調達のルールについて、中小企業の参加の機会を増やし、特にEU公共調達法制の近代化提案の適用により、イノベーションにより優しいものとする。これはEU企業に最新技術の大きな利用者グループを与えるとともに、グローバルな成功に必要な市場への浸透を早期に達成できるようにするだろう。
(6) 競争環境と、これを支える競争ルール
  • 競争裁定においては、特にイノベーションの盛んな産業においては、研究開発やイノベーション活動を評価する際に市場のダイナミズムや競争条件に配慮する。
  • 研究開発への支援の再構築や、それが投資にもたらす効果をモニターし、EUフレームワークの2005年の次期改訂に向けた調査を行う。
(7) 企業の様々な発展段階をカバーする金融市場
  • RCAP(リスク・キャピタル行動計画)やFSAP(金融サービス行動計画)の適用や予想されるフォローアップにおいて、様々な発展段階の企業における研究開発やイノベーションに資金を供給する株式市場の助けとなる方策を確認する。
  • EIB(欧州投資銀行)の「イノベーション 2000 イニシアチブ」のフォローアップにおいて、金融商品がこの目的により貢献できるようにする。
(8) マクロ経済の安定と好ましい財政状況
  • 加盟国が研究開発やイノベーションへの投資に対するディスインセンティブを減らすための税制改革の方策について調査する。
3.民間の研究開発に対する公的資金のより効果的な活用

 公的部門は、民間の研究開発に対する支援の手段として、直接支援、財政上のインセンティブ、信用保証スキーム及びベンチャーキャピタルへの支援等を有している。これらの手段をより効果的にデザインし活用することにより、民間投資を増やすことが可能であるとして、以下の項目を挙げている。
  • 研究開発政策のベンチマークや、国による事情の違いを考慮に入れる際、民間の研究開発投資に対する様々な公的支援手段の効果を大きくする方策や新しいスキームを確認する。
  • 地域、国、EUの各レベルにおけるこうした手段の利用に際し、手段個々及びその組み合わせを考え、全体のインパクトを大きくするようにする。
4.企業戦略やマネジメントの中での、研究開発及びイノベーション

 企業の研究開発投資は企業をとりまく条件や公的支援の可能性だけに影響されるのではなく、ビジネス戦略の中での研究開発の位置づけや、研究開発マネジメントの効率性が重要な要素である。しかし、多くの企業は研究開発を企業戦略に入れておらず、研究開発マネジメントを向上させる手法や道具を十分に活用していない。また、企業資産の鍵としての知的資本の重要性が増大してきている。こうした認識の下、以下の項目を挙げている。
  • 国及びEUレベルでの業界団体が、研究開発マネジメントの認知度を上げ、利用を促進する役割を果たせるか調査する。
  • 研究開発や知的財産についてのより綿密な分析と報告を奨励する。これは、企業経営者と投資家の双方にとって、機会とリスクをよりよく見積もるための助けとなる。
5.一致団結した欧州流に向けて

 文書の最後は、今後の進め方で締めくくられており、以下のように述べられている。
  • まず、この文書をベースとして、EU機関、加盟各国、産業界を含め関心を有する団体と議論を行う。
  • この議論から得られたものは、2003年春の欧州理事会へのレポート作成に向けての方向性を提案するものとなる。
  • 欧州理事会後、その結果を踏まえて、欧州委員会はプライオリティ付けしたアクションの提案について検討する。

U.欧州情報社会技術賞

 欧州委員会とEuro-CASE(欧州応用科学技術評議会)は9月20日、ITを活用した優秀な製品に対して与えられる欧州情報社会技術賞(European IST Prize、以下「IST賞」。)の受賞企業20社を発表した。今後、さらにこの中から最優秀賞(European IST Grand Prize)3社が決定され、11月4〜6日にコペンハーゲンで開催されるIST2002イベントにおいて発表される予定である。
 IST賞は1995年から毎年実施されており、今年は過去最高の437企業(27か国)から応募があった。審査は、技術的優秀性、革新性、潜在市場価値、新規雇用創出力の面から、16人の専門家により行われた。
 応募資格は欧州にある企業、研究所、大学等となっており、製品は少なくともデモ用のプロトタイプとなっていることが必要で、市場化されている場合にはそれは2000年6月1日以降に市場に出されたものでなければならないとされている。
 こうした審査基準・プロセス及び応募資格から見て、IST賞に選ばれた製品は、欧州のIT分野における直近の優秀な製品を代表するものと言えるだろう。
 IST賞受賞企業及びその製品概要については、IST賞のWebサイト(http://www.ist-prize.org/)に掲載されているが、モバイル環境に対応することを意識した製品が多いと感じた。具体的には以下の受賞製品がモバイル関係と思われるが、全20受賞製品のうち7製品である。昨年の受賞製品でモバイル関係と思われるものは3製品であり、倍増している。モバイルネットワーク環境の整備と、モバイル機器の性能向上が進み、様々なアプリケーションがその上に咲き始めたように感じられる。

  • モバイルネットワークを用いた交通情報の収集・配信システム
  • モバイル機器での手書き文字認識ソフトウェア
  • 自動車向けの、信号欠落のないモバイルインターネットプラットフォーム
  • ハンドヘルド機器からサーバまで対応した、地図情報の高速伝送ソフトウェア
  • ワイヤレス機器を電話回線やネットワークに接続し、どこでも同じサービス環境を得られるソフトウェア
  • PDA等でのインタラクティブなプレゼンテーションを作成するソフトウェア
  • 通信会社やフォーマットを問わない、携帯電話向けホームページ
 小生が意外に思ったのは、情報セキュリティに関する受賞製品が以下の1つしかなかったことである。ただし、応募企業・製品は公表されていないので、情報セキュリティ関係では応募がほとんどなかったためなのか、あるいは他の理由であるのかは分からない。
  • ウイルスシグネチャよりもウイルスの挙動に着目した、ウイルス・ワーム等対策ソフトウェア
 さて、IST賞のWebサイトには、1995年から昨2001年までのIST賞に関する数字として、以下が挙げられている。
  • 受賞企業の80%が、中小企業である。
  • 受賞企業は、平均して毎年25人の新規雇用を創出している。
  • 受賞企業は、平均して2年ごとに売上を倍増している。
  • 受賞製品のライフタイムは、平均して14か月である。

 IST賞を受賞した企業がその後大きく成長していることが数字で裏付けられており、IST賞が優秀な企業・製品の目利きとして機能していることが分かる。
 ちなみにIST最優秀賞には、欧州委員会のエルッキ・アンテロ・リーカネン委員(情報社会担当)からトロフィーと賞金20万ユーロが授与されることとなっている。20万ユーロも魅力的ではあるが、それよりもIST賞受賞ということで社会的に認知・信用を得られることがビジネス上最高のメリットだろう。Euro-CASEは「この8年間の経験から、IST賞が受賞企業の資金調達を容易にしていることが分かった」としている。
 産業政策として「表彰」という手法は古いと言われることがよくあるが、きちんとした目利きのできる表彰であれば、いまでも有効な産業政策の手法として機能し得るということを感じた。


V.産業動向

1.コンピュータ、インターネット

<仏:行政手続オンライン化についてのアンケート結果>
 仏の調査機関ソフレスは9月24日、仏国成人を対象に行った行政手続オンライン化についてのアンケート結果を発表した。これによると、仏人のうち48%が既に行政手続きをインターネット経由で行った、又は行う予定があるとしている。そのうち、利点として、足を運ばなくて済むとした者が76%、日々書類を追跡できるとした者が33%、手続が迅速とした者が29%である。行政手続きをインターネットで行う予定がないとした者のうち、窓口で顔を合わせて手続を行いたいとした者が59%、インターネット上での秘匿性の問題を挙げた者が11%である。

2.テレコミュニケーション

<仏:フランス・テレコム新社長就任>
 仏フランス・テレコムは10月2日の取締役会で、辞任したミッシェル・ボン前社長に代わり、仏トムソン・マルチメディア(家電)のチエリー・ブルトン会長を新社長に任命した。同日、仏政府(55.4%株主)も閣議でこの人事を了承した。ブルトン新社長は、財務再建策及び新戦略を2か月後に決定すると発表し、社内監査に着手した。仏政府はフランス・テレコム救済計画の検討を進めており、増資による支援が有力視されている。

<ベルギー:iモードサービス開始>
 ベルギーの移動体通信会社ベース(蘭KPNモバイルの100%子会社。加入者数115万人)は10月15日、ベルギーでiモードサービスを開始した。コンテンツ事業者49社の127以上のサイトの他、既にオランダ及びドイツで開設されている7,000以上のサイトにもアクセス可能。iモードサービスの基本利用料金は月額6ユーロで、これには20MBまでのデータ転送が含まれている。なお、フランスでは11月15日にブイグ・テレコム(加入者数600万人以上)がiモードサービスを開始する予定である。


W.政策動向

<EU:欧州電気電子機器リサイクル指令案合意>
 欧州理事会と欧州議会は10月11日、欧州電気電子機器リサイクル指令案について、合意に達した。指令案は本年4月に欧州議会で可決された後、EU加盟国と欧州議会の間で意見が対立しており、今般やっと合意に達したものである。
 指令案では、人口1人当たり年間4キログラム(当初案では6キログラム)の廃電気電子機器の回収が義務的目標となっている。欧州では年間600万トンの廃電気電子機器のうち約9割が埋め立て又は焼却処分されており、リサイクル率を高める狙いがある。他方、製造事業者には回収費用の負担が発生することから、これが製品価格に転嫁されることが予想される。

<EU:ネット配信許諾のワンストップ化を認める>
 欧州委員会は10月8日、域内のテレビ局又はラジオ局が番組をインターネットで配信する場合、域内の1つの国の著作権管理団体の許諾を得れば域内各国に配信できるライセンス方式を認めた。このためには、各国の著作権管理団体がこの方式の導入に同意する必要があるが、EEA(EU15か国とノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン)18か国のうち、スペインとフランスを除いた16か国の著作権管理団体が同意している。ただし、著作権使用料の徴収については考慮されておらず、配信に関する許諾を得た著作権管理団体とは別の著作権団体にも著作権使用料を支払う必要が生じる可能性がある。
 欧州委員会のマリオ・モンティ委員(競争政策担当)は、「いわゆるマルチキャストの合法な市場を創ることは、消費者と著作権保持者の双方に利益がある。消費者は事実上、世界中どこからでも好きなラジオ・テレビ番組にアクセスできるようになる。同時に、著作権保持者は適切な対価を得られるようになる。」とコメントしている。



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