
【 2003年6月号 】
欧 州 動 向
〜フランスにおける周波数再配分の状況〜
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T.フランスにおける周波数再配分の状況
携帯電話の爆発的な普及と無線利用機器(無線LAN等)の増大に伴い、これまでの周波数割当の見直しが不可避となり、各国で周波数再配分の動きが進んでいる。
周波数資源は有限であり、また電波の利用目的によって利用可能な周波数がおおよそ決まってしまう一方で、利便性の高い周波数は既に何らかの無線局に割り当てられていることから、新規無線局に周波数を割り当てるためには既存無線局の周波数変更が避けられず、そのための費用負担が大きな問題となる。もとより電波は公共財であることから、当該費用負担の扱いに関しては、公共性・経済性といった要素を勘案することが求められる。
今回は、フランスにおける周波数再配分の状況について取り上げる。
1.ANFR
フランスにおける周波数割当の計画・管理及び利用状況の監視は、全国電波局(ANFR)によって行われている。ANFRは「郵便と通信に関する1996年7月26日付け法」第14条に基づき、1997年1月1日に設立された行政的公施設法人(日本の特殊法人に近い組織)である。
ANFRの任務は、「1996年12月27日付け政令」第52-2-1条で定められており、概略以下のとおりである。
- 無線周波数の分野における国際協議に際し、仏国代表として調整を図ること
- 周波数の最適利用のために、将来分析を行うこと
- 首相の承認の下、関係当局との間で周波数の配分を行うこと
- 周波数利用に関する全ての文書を作成するとともに、これを最新に保つこと
- 無線機器の適切な利用を確保するため、標準を提案すること
- 国際間及び衛星通信に関する国際調整に責任を持つこと
- 周波数再配分に係る費用を見積もり、スケジュールを作成・管理すること
2.周波数の再配分
ANFRは、周波数の最適利用のために関係当局と協議の上、周波数の再配分を行う。その際に中心的な役割を果たすのは周波数再配分基金委員会(CFRS)で、首相、関係閣僚、メーカー、放送事業者、通信事業者等から構成される。CFRSは、再配分費用の見積もり、達成計画の策定等を行うほか、周波数再配分基金(FRS:後述)の管理も行う。
これまでに行われた主な周波数再配分は以下のとおりである。
- UMTSのためのフランス・テレコム及び国防省の移転(1.9-2.3GHz)
- UMTS追加割当のための国防省の移転(2500-2690MHz)
- GSMのための国防省の移転(1800MHz)
- 短距離通信(無線LANやブルートゥース等)のための国防省の移転(2400-2483.5MHz
- PMR446(簡易無線)のための仏国鉄等の移動(446MHz)
3.周波数再配分基金
周波数再配分を行うに当たっての大きな問題の1つは、既存免許人が周波数を変更する際に発生する費用の負担である。
フランスではこの問題に対して1997年に周波数再配分基金(FRS)を設置して対応している。具体的には、既存免許人の周波数変更に伴う費用をいったんFRSから支出し、FRSはこれを新規免許人から回収するという制度である。2001年のFRSの予算額は、約4500万ユーロである。
実際、フランス・テレコム及び国防省が利用していた周波数をUMTS用として再配分されたオレンジ及びSFR(いずれも仏携帯電話事業者)は、2001年11月以降、それぞれ約948万ユーロをFRSに支払った。
この場合は新規免許人の特定が容易であるが、不特定多数が新規免許人となる場合、どうなるのであろうか。PMR446(簡易無線)や短距離通信(無線LANやブルートゥース等)の場合、法令上、無線局としての免許が不要であり、新規免許人という概念の適用可能性も曖昧になってくる。
ANFRに問い合わせてみたところ、回答は概略以下のとおりであった。
- 規則として、新規免許人の利益のための周波数再割り当てにFRSが支出した場合、新規免許人は同額をFRSに支払わなければならない
- しかしながら短距離通信の場合、利用者の数が多く、かつ、特定できないため、FRSへの支払いを求めることが困難である
- この問題については解決策を議論しているところであるが、いまのところ何も決定さ
ていない
- 現状、例えばPMR446に関しては既存免許人である仏国鉄にFRSから支払いを行ったにもかかわらず、PMR446の利用者はFRSに何らの支払いも行っていない状態にある
考えてみれば、携帯電話事業は(公共性が強いとは言え)営利を目的としているのに対し、簡易無線や短距離通信は直接営利を目的としたものではなく、電子レンジ、電磁調理器や高周波家庭治療器と同種のものと見なすという整理学もあり得よう。また、たまたま後発で開発された機器であるがために、既設の無線局の移転費用を求められることが妥当か否か、多くの無線局に課せられている電波利用料との整理も難しいように思う。
ANFRがどのような結論を出すか、注目したい。
U.政策動向
<EU:化学物質に関する新たな規則案>
欧州委員会は5月7日、化学物質に関する新たな規則案を発表した。これは2001年2月に欧州委員会が発表した「今後の化学物質政策の戦略に関する白書」に沿ったもので、既存の40を越える欧州指令・規則を置き換えるものである。
この規則案の目玉は、化学物質の登録、評価及び認可プロセスに一貫性を持たせる「REACH」システムの導入である。REACHでは化学物質を製造、輸入、使用している全ての企業に対して化学物質の安全評価(本規則施行から18か月後以降)と、その結果の保存・更新を求めている。また、年間1トン以上生産又は輸入する化学物質については、REACHを適切に運用するために新たに創設される「欧州化学物質庁」への登録が行われない限り、製造・輸入ができない。年間生産量又は輸入量が100トンを越える場合には、毒性や蓄積性等に関する試験の実施も求められる。
さらに、発がん性や変異原性を有する物質、難分解性・生体蓄積性・有毒性物質(PBT)、分解困難で生体蓄積性が高い物質(vPvB)等については、個々の用途ごとに認可を得ない限り商業化ができず、産業界側で危険性が極めて少ないことを立証することが必要となる。
この規則案により、EU域内外の企業に新たな負担が発生する。独産業連盟(BDI)が試算した数字では、独製造業全体で1.4〜20.2%の生産減少及び15〜230万人の雇用縮小を予想している。また、仏化学産業連盟(UIC)が試算した数字では、仏経済全体に及ぼす損失をGDPの3.2%減及び67万人の雇用縮小と予想している。
他方で、欧州委員会試算が試算した、登録・試験に伴い新たに産業界に発生するコストは、年間で14〜70億ユーロ(最も可能性が高いのは36億ユーロ)で、化学産業の売り上げの0.1%にも及ばないとしている。
この規則案について欧州委員会のリーカネン委員(企業・情報社会担当)は、「新しい規則案は、欧州産業界が化学製品の品質と安全性で世界をリードする上で重要な機会を与えるだろう。」と述べている。また、同ヴァルストレム委員(環境担当)は、「我々は職場や家で日々化学物質にさらされているにも関わらず、その危険性や長期に渡る作用について十分には知らない。それ故、新しい規則案は産業界に、生産・輸入する化学物質とその利用に伴う危険性の情報提供を求めている。産業界は最終的には新しい安全な化学物質のイノベーションへの投資に関心を持つだろう。現行の面倒な評価手続きを回避するために古い化学物質を使うという今のトレンドは、安全な化学物質への投資を停止させている。」と述べている。
この規則案は7月10日までインターネットコンサルテーションに付せられた後、秋以降、欧州委員会としての最終案としてまとめられることとされている。
<EU:中小企業向けR&D助成に関する規制緩和>
欧州委員会は5月7日、加盟各国による中小企業に対するR&D助成に関する規制緩和提案を行った。現在、R&D助成については競争政策上の観点から欧州委員会の承認が原則必要であるが、提案では中小企業向けのR&D助成について、R&D支出額の以下の割合までの助成については欧州委員会の承認を不要とする。
- 基礎研究(市場志向でないもの)・・・・・・・・・・100%
- 競争前段階研究(市場志向であるが、競争前段階のもの)・・・60%
- 実用化研究(市場志向のもの)・・・・・・・・・・・35%
また、この提案はR&D助成以外に、一定の条件の下で、技術的なフィージビリティ・スタディや特許に係る費用に対する助成についても、欧州委員会の承認対象から除外することを想定している。
この提案は、加盟各国との協議を経て、本年末に規則として適用される予定である。
<EU:「.eu」TLDの管理団体が決定>
欧州委員会は5月22日、「.eu」トップレベルドメイン(TLD)の管理団体をEURIDとすると発表した。同TLDはEC規則733/2002に基づくもので、投機的・乱用的登録を防止するとともに、信頼できるサイトであることの目印にすることなどを狙って創設されるものである。同TLDの対象は、EU域内の市民、登記上の事務所又は本社機能をEU域内に構える企業、EU域内に設立された団体である。EEA諸国(EU15か国及びノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン)への拡大については、現在、検討中とされている。
今後、同TLDへの登録等に関するルールの決定等を経て、順調に行けば本年末にも運用開始される予定である。
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