
【 2003年11月号 】
T.仏における廃電気電子機器リサイクル法制化の動向
1.はじめに
欧州各国では、廃電気電子機器(WEEE)指令及び電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限(RoHS)指令の国内法制化が進められている。
仏では9月25日に当該法制化のための政令案(第4版)がまとめられ、10月16日に政府や業界団体等関係者による意見交換が行われた。
今般、在欧日系企業の意見を政令案に反映させるため、在欧日系企業12社の参加を賜り、仏経済・財政・産業省の産業・通信技術・郵政総局(以下、「仏産業省」)と意見交換を行う機会を10月13日に設けた。
その概要について、仏産業省からの回答を中心に、簡単に御紹介する。
なお、同趣旨の会合を本年7月8日にも開催したところであり、その概要を欧州駐在員報告8月号で御紹介しているので、併せてご覧にいただければ幸いである。
2.政令の対象範囲
WEEE指令及びRoHS指令では直流1000V以下、又は交流1500V以下を使用するほとんどの電気電子機器(EEE)が対象となっているが、WEEE指令は軍事物資と消耗品を対象外と規定している一方、RoHS指令では対象外物資の規定がない。
仏政令案第4版は、WEEE指令とRoHS指令の両方を国内法制化するものであり、上記両指令における対象範囲の微妙な違いも気になるところである。
対象範囲についての仏産業省の説明は以下のとおりである。
- 軍事物資と消耗品は、本政令案の対象外。
- 両指令の適用に係る欧州レベルの委員会での合意事項として、指令が適用される製品のリスト、適用されない製品のリスト、指令を適用するか否かの判断基準リストを作ることとなっている。
- リスト作成作業は始まったばかりであり、各国が委員会にリストを送り、委員会が統括することとなっている。
- いずれにせよ、欧州レベルの委員会での検討と整合性をとるつもりである。
3.生産者の定義
WEEE指令では廃棄物の処理について生産者責任の原則を採っている。このため、生産者の定義は大きな問題であるが、仏産業省から以下の説明があった。
- 製造業者と流通業者のどちらが生産者となるかは、両者の話し合いによるのではないか。
- それぞれのブランドを付けた中間コンポーネントを最終組立業者が組み立てる場合、コンポーネントの製造業者と最終組立業者の両者に生産者としての義務がかかる可能性があるが、この問題については(本政令の運用に係る)監視機関により解決できると考えている。
- インターネット販売によりEU外から持ち込まれた製品について、その生産者を誰と見なすかは決まっていない。
4.回収
仏政令案第4版では、生産者が第1次回収拠点(エンドユーザから回収する拠点)を作るとされており、また地方自治体や流通業者が回収できない場合には生産者がエンドユーザから回収するとされている。
WEEE指令上は生産者の義務は第1次回収拠点以降の費用等負担であり、第1次回収には責を負っていない。仏政令案は、WEEE指令に比べ、生産者の義務が大きくなっている。
仏産業省の説明は以下のとおりである。
- 仏政府は、本規定の経済的インパクトがいかに大きいかは理解しているが、他方でWEEE指令が適用されるものは全て回収しなければならないという義務を押しつけられている。
- 本件については、産業界と地方自治体の間で、第1次回収の負担に関するネゴシエーションが行われているところ。バランスのとれた費用負担の結論が出ることを期待している。
5.ヒストリカル・ウェイスト
WEEE指令適用前に市場に投入された製品の廃棄物、ヒストリカル・ウェイストに係る費用負担については、仏政令案第4版では「産業省が検討中」とされている。
当方からは、費用負担について企業側に選択肢を持たせることと、費用を内部化することを申し入れた。仏産業省の説明は以下のとおり。
- 現在、2案を検討中。
- 1案は費用負担について企業が自由に選択でき、企業の考えに近いもの。
- もう1案はEEEを処理する産業を政策的に育てるために、ヒストリカル・ウェイストの処理に行政が関与するもの。この場合、企業側の選択肢はなくなる。
- いずれにせよ検討途上であるが、10月16日の関係者会合までには案を提示する予定である。
- なお、B2Bのヒストリカル・ウェイストの処理費用については、全て所持者(廃棄者)の負担とすることを考えているが、関係者の意見を聞く必要がある。
6.家庭用と業務用の区別
WEEE指令では、家庭から排出されるEEEとそれ以外について、回収の方法や費用負担が異なる。
現実問題として、家庭用と事業用の製品が全く同じものである場合もあり、この区別をどう行うかは問題である。
仏産業省の説明は、以下のとおり。
- 家庭のEEEと見なすか否かは、購入ルートによる。事務機器専門の流通業者から購入されたものは事務機器。小さな小売店で個人の家庭が買えば、家電製品となる。
- 製品リストの活用により、家庭用と業務用を区別することも考えている。ただし、この区別に関して政府が介入するつもりはなく、産業界の主導を期待している。
7.今後の予定
政令策定の今後の予定は以下のとおり。
- 政府の案を本年12月までにとりまとめる。
- 2004年上半期に、これをコンセイユ・デタ(行政系統の最高裁判所)にかける。コンセイユ・デタは、法的観点から修正や勧告を行うが、政令の原則まで見直しをかけられる可能性もある。
なお、当方では、政令案の検討状況を見ながら11月中旬を目途に、本件に関して再度仏産業省と意見交換の機会を設けることとしている。
V.産業動向
<スイス:テレコムワールド2003開催>
国際電気通信連合(ITU)が4年ごとに開催するITの国際展示会「テレコムワールド2003」が10月12〜18日、ジュネーブで開催された。
アルカテル、ノキア、ルーセントなど大手企業が出展しなかったこともあり、出展社数は51か国911社にとどまり、前回1999年の47か国1,146社から大きく減少した。国別のパビリオン面積は1位が日本(3,557m2)、2位米国(3,352 m2)、3位フランス(2,592 m2)、4位英国(2,099 m2)、5位スペイン(1,624 m2)、6位はスイスと韓国(各624 m2)であった。来場者数は主催者の予想(11万5千人)を大きく下回る約10万人にとどまった(前回1999年は約12万9千人)。
小生は最終日に行ったのだが、人の少なさに驚いた。展示会場は結構広いのだが、人がほとんどいないので、会場の端から端まで見渡せてしまうのである。展示エリアによっては閑古鳥が鳴いている状況で、展示者も暇そうであった。
その中で活況であったのは、日本企業の出展ブースで、携帯電話や液晶TVなどに人気があった。韓国企業の出展ブースも、日本企業と同様、活況を呈していた。他方で、欧米の通信事業者のブースの多くは、ほとんど人がいない状況で、展示にもいまひとつ元気がなかった。
正直、IT産業が置かれている厳しい状況を反映したような展示会であると感じた。
V.政策動向
<EU:ISTプログラム第1次公募の結果>
EUの総合的な研究開発計画である第6次フレームワーク計画の下、IT分野の研究はIST(Information Society Technology)プログラムにより推進されているところであるが、今般、その第1次公募の結果が発表された。応募総数1400件の中から236件が採択され、合計で10億ユーロ以上の資金助成が行われる。
主要分野のおおよその資金助成額は以下のとおりである。
- AVデータの配信・相互接続性の確保・・・・・7,500万ユーロ
- 新規暗号、鍵配信基盤、本人認証・・・・・7,000万ユーロ
- マイクロ・ナノエレクトロニクス・・・・・9,000万ユーロ
- マイクロ・ナノレベルでの複数機能・・・・・1億ユーロ
- モバイル・ワイヤレスシステム・・・・・1億500万ユーロ
- 家庭やオフィスへのブロードバンド・・・・・8,500万ユーロ
- セマンティックWeb、コンテクストベースナレッジ・・・・・6,500万ユーロ
©JEITA,2003
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