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パリ駐在員報告
 【 2003年12月号 】



 仏社会におけるIT利用動向


T.仏社会におけるIT利用動向

 仏ART(電気通信規制局)及びCGTI(情報技術総合評議会)は11月12日、「新情報技術のフランス社会への普及」と題する調査結果を発表した。同調査は仏国内の12歳以上の2,214人を対象に、2003年6月に面接形式で行ったアンケートをとりまとめたものである。
 同調査からフランス社会でのITの活用状況を見てみよう。

1.固定電話及び携帯電話
 固定電話を契約しているとする者の割合は86%で、年々減少している。他方、携帯電話を個人で契約しているとする者の割合は62%で、年々増加している(図1)。携帯電話の伸び率は鈍化傾向にあり、ARTは市場は70%くらいで飽和するのではないかと見ている。
 また、携帯電話契約率を世帯所得及び居住地人口で見ると、世帯所得が高いほど(世帯月収900ユーロ未満では48%、同3,100ユーロ以上では78%)、また居住地人口が多いほど(人口2,000人未満では54%、パリ都市圏では70%)、携帯電話契約率が高くなっている。


図1 固定電話及び携帯電話を契約している者の割合
図1
(出典)新情報技術のフランス社会への普及(ART)及び平成15年版情報通信白書(総務省)

 固定電話の契約事業者を複数としている者の割合は21%で、この比率は年々上昇している(表2)。複数と回答した者の割合が最も多いのは、「25〜39才、中級階層、平均的な所得水準」とのことであり、状況に応じた契約事業者の使い分けが浸透してきているものと思われる。


表2 固定電話の契約事業者数はいくつか
表2
(出典)新情報技術のフランス社会への普及(ART)


図3 携帯電話の年齢別契約保有率
図3
(出典)新情報技術のフランス社会への普及(ART)及び平成15年版情報通信白書(総務省)


 携帯電話の利用形態を見ると、18才未満とそれ以上で大きな違いがある。12〜17才では約9割がSMSやゲームを利用している。


表4 携帯電話の利用形態
表4
(出典)新情報技術のフランス社会への普及(ART)

2.パソコン
 18才以上の者の自宅でのパソコン保有率は46%で、前年の39%から大きく増加した。12〜17才の者の自宅でのパソコン保有率は69%と高い。また、12才以上の者の8%が、自宅で複数のパソコンを保有している。単純な比較はできないが、日本におけるパソコンの世帯保有率は71.7%(対前年比+13.7ポイント)である。
 家庭では、パソコンが意外なくらい多彩な用いられ方をしている(表5)。


表5 家庭でのパソコンの利用状況
表5
(出典)新情報技術のフランス社会への普及(ART)

 ところで、パソコン保有率が上昇するとともに、家庭で多彩な使われ方をしている一方で、パソコン普及の妨げとなっている事項がまだ残されているようである(表5)。最も多い指摘は価格に関するもので、次は使い方の複雑さである。ユーザビリティの向上がいっそう求められている。


表6 以下の項目の中で、個人のパソコン購入を鈍らせている主な理由はどれか?
表6
(出典)新情報技術のフランス社会への普及(ART)


3.インターネット
 18才以上の者の家庭でのインターネット接続率は30%で、前年の23%から大きく増加した。1999年1月時点では6%であったから、4年半の間に5倍になっている。
 家庭でインターネットを使っている者について接続形態の内訳を見ると(表7)、高速接続を使っているとする者の割合が約4割と、かなり普及していることが分かる。


表7 自宅でのインターネット接続形態
表7
(出典)新情報技術のフランス社会への普及(ART)


 自宅や職場・学校でインターネットを利用している者を対象に、コンテンツの利用状況を訊ねた結果は、表8のとおりである。いわゆるP2Pソフトウェアを使って無料ダウンロードを行ったことがあるとする者が約3割に達している。

表8 インターネット利用者のコンテンツ利用状況
表8
(出典)新情報技術のフランス社会への普及(ART)


 表5で、家庭のパソコンでインターネット購買を行っているとする者が18才以上では30%に達しているが、他方でインターネット購買に対する抵抗感もある(表9)。約4割の者が支払に対する不安を挙げ、また約1割の者が企業に対する不信感を挙げている。2年前の調査と結果があまり変わっておらず、インターネット購買に対する認識がより前向きになるには、まだ時間を要するのかも知れない。


表9 以下の項目の中で、インターネット購買を躊躇している理由はどれか
表9
(出典)新情報技術のフランス社会への普及(ART)


U.政策動向

<EU:欧州成長イニシアチブ>
 欧州委員会のプロディ委員長は11月11日、「欧州成長イニシアチブ」最終報告書を発表した。このイニシアチブは、欧州の成長と競争力強化のために投資を促進することを目的としており、@交通、Aエネルギー、B高速通信ネットワーク・研究開発・イノベーションの3分野で計56件のプロジェクトを提案している。欧州投資銀行との密接な協力の下に作成されたこのイニシアチブは、今後、12月の欧州理事会にかけられることとなっている。
 高速通信ネットワーク・研究開発・イノベーション分野の中で、ITと関連の深いプロジェクトは、以下のとおりである。

図10

<EU:電気通信分野における個人情報処理とプライバシー保護に関する欧州指令>
 10月31日、電気通信分野における個人情報処理とプライバシー保護に関する欧州指令(2002/58/EC)の国内法適用期限(10月31日)が過ぎたが、同指令の国内法適用を終えたのはデンマーク、スペイン、イタリア、オーストリア及びスウェーデンの5か国に過ぎず、加盟各国における早期の国内法適用が望まれる。
 同指令の主な内容は以下のとおりであり、旧指令(97/66/EC)制定後の情報通信技術の発展を受けて、旧指令を置き換える形で制定されたものである。

  1. トラフィック情報の保持
     処理され蓄積されたトラフィック情報は、伝送の必要がなくなった時点で、消去するか匿名化しなければならない。課金や相互接続支払目的で必要とされるトラフィック情報の処理は、料金についての法的異議申し立て期間又は支払が終わるまでの間のみに限定される。

  2. 位置情報
     携帯電話により生成される位置情報は、利用者の明示的な同意の下にのみ、ネットワーク事業者により利用・譲渡できる。例外は、位置情報を緊急サービスに伝送する場合と、国家の安全や犯罪捜査のために厳密な条件の下に捜査当局に伝送される場合である。

  3. スパムメール
     消費者との既存の関係も含め、電子メールマーケティングは、事前の了解が得た場合のみ認められる。スパマーがしばしば使う偽装IDや無効な返信アドレスは、違法となる。この「オプト・イン」ルールは、ファックスやSMSも含め、全ての移動・固定端末に送信される電子メッセージに適用される。

  4. クッキー
     クッキーや、スパイウェアのようなインターネット利用者の情報を収集する不可視な追跡の仕掛けは、利用者に対してその利用目的が明確に示され、かつそれを拒否する権利を与えられる場合に限り、使用できる。

<仏:ハイテク産業の保護>
 仏経済・財政・産業省は、情報システムのメインテナンス、アウトソーシング、インテグレーション、暗号といった情報通信分野に関する外国からの投資を規制することを決定した。投資規制のための政令は現在準備中であるが、通貨及び金融法典(金融セキュリティに関する2003年8月1日付け法により修正)に基づく、外国投資家が33.33%以上の株式か株主投票権を保有することを経済・財政・産業大臣が拒否できる権限を適用する方向である。この政令により、フランスは米国に似た規制システムを保有することとなる。



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