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パリ駐在員報告
 【 2004年5月号 】



 仏における廃電気電子機器リサイクル法制化の動向(その3)


T.仏における廃電気電子機器リサイクル法制化の動向

1.はじめに
 欧州駐在員報告2003年8月号、同11月号及び2004年1月号で御紹介したように、仏では2つの欧州指令、廃電気電子機器(WEEE)指令及び電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限(RoHS)指令の国内法制化が進められている。
 2003年12月には当該法制化のための政令案(第5版)について仏経済・財政・産業省の産業・通信技術・郵政総局(以下、「仏産業省」)と意見交換を行ったが、その後の進捗状況を確認するとともに当方懸念事項を伝えるため、在欧日系企業11社の参加を賜り、仏産業省と意見交換を行う機会を3月29日に設けた。
 その概要について、仏産業省からの回答を中心に、簡単に御紹介する。
 なお、仏法制化のこれまでの動きについては、冒頭に御紹介した過去の拙稿を御参照されたい。


2.法制化の状況
 政令案については現在公布手続きが進められているところであるが、並行してアレテ(省令)の作成も進められている。こうした状況についての仏産業省の説明は以下のとおりである。
  • 政令案第5版が最終版で、それ以降、新しい版は出ていない。

  • 昨年末以降、政令の各項目のフィージビリティ、第1次回収に関する措置、保証金、監督機関等について検討を行ってきた。併せて、ビジブル・フィーの導入条件について、仏競争委員会に提出する資料を準備した。

  • 現在はアレテ案のコンセプトの具体化作業に集中し、第2次案の作成を行っている。アレテ案については、基本的なイメージについて他省庁の了解を得た後、この場で議論することには賛成。

3.対象物資
 政令案第5版では附録1にて対象物資を定義しているが、実際には10の製品カテゴリが示されているのみで、具体的な対象物資は明確にはなっていない。このため、仏政府が対象物資のリストを作成することとしているが、これはEU全体で調和がとれたものである必要がある。他方、WEEE指令の適用についてのEUレベルの委員会であるTAC(技術適合委員会)では、対象物資のリスト作成を行っているが、その作業はあまり進んでいない。この問題についての仏産業省の説明は以下のとおりである。

  • 対象物資のリスト作成は必要不可欠。

  • TACの提案は、まず適用範囲の基準リストを作成すること。その基準は、例えばその機器が電力をエネルギー源としているか否か、など。これがTACに承認されれば、適用範囲についてのコンセンサスが得られると思う。

  • その後、加盟各国が意見を出し、TACがコンセンサスあるいはマジョリティの形で意見を発表するだろう。適用範囲に入る商品のリストがこうしてできてくる。

  • 仏国内法制化に際しては、商品リストを作る予定。しかし、EU加盟各国の協調が必要。

  • 業務用製品と家庭用製品の分類については、適用範囲が決まった後、業務用製品のリストを作り、次に家庭用機器のリストを作る。また、混合タイプの機器のリストを作る。このアプローチで全てを網羅しているとは思わないが、95%を解決できればいいと思う。

  • 業務用製品と家庭用製品の区別については、廃棄の条件を考慮する。つまり、市町村によって回収されるものは、家庭用機器である。

  • カーオーディオやカーナビゲーションシステムといった車載用機器は、今般の法制化の対象外。ただし、機器が車以外の空間で利用されないことが条件。

4.マーキング
 法施行後、生産者は分別収集促進のためのマークを製品に貼付しなければならない。EU内のある国でマーキングした後で他国へ持ち込んだ際には再度マーキングが必要であるのか、法施行時に在庫となっている製品にマークを貼付する必要があるのか、そもそもマークのフォーマットが未だ決まっておらず企業側での対応が間に合うか否か等の問題がある。この問題に関する仏産業省の説明は以下のとおり。

  • ダブル・マーキングはEU指令に適合しない。マークに何を書くかについては、EUレベルで規格化の作業が必要。

  • 期日等に係る猶予を企業に与えることについては、当局がこれを認めると(EUから)罰される可能性もあり、今の時点では何とも言えない。ただ、法制化の進捗状況によっては今後、猶予を与えることの法的リスクを検討することになるかもしれない。

  • 生産者の立場は十分に理解している。

5.保証金
 生産者は製品上市の際、保証金を提供しなければならない。上市する国ごとに保証金を要求される可能性や、保証金が高額になる可能性がある。この問題に関する仏産業省の説明は以下のとおり。

  • 廃棄物の管理は国単位で行わなければならないことから、各国はそれぞれ保証金を要求できると思う。これはEU指令と矛盾しない。

  • 仏国内法制化案では、流通業者が生産者から保証金に関する証拠を要求することになっている。仏国内で製造された機器も、もし仏で上市されていなければ保証金を払う義務はない。

  • 政令案では、保証金を金額的にも期限的にも限定的なものとしている。

6.第一次回収
 廃電気電子機器の一般家庭からの回収、すなわち第一次回収については原則として自治体が行うこととなっている。他方で、これにかかる費用については生産者に求めることができ、生産者に大きな負担をもたらす可能性がある。また、生産者から自治体(仏では3万6千もある)へ、どのように費用を支払うのかという問題もある。この問題についての仏産業省の説明は以下のとおりである。

  • 役所の考えは、家庭用廃棄物の収集コストは市町村が負担しなければならない、しかし分別のコストは産業界に負担してほしい、というもの。

  • 仏産業大臣は、この問題について、既に以下のように発言している。
      −国内法移行に当たって、現在の廃棄物収集の経済的バランスが崩れないよう配慮してほしい。
      −市町村の負担がゼロになってはいけない。

  • 生産者と自治体の関係は、協約の対象となる予定。関係者を代表する機関同士で話し合いをしてほしいという方向であり、既に仏市長組合と電子電気機器組合、流通業者組合の間で交渉が始まっている。

  • 地方レベルでは、産業界の代表者、あるいは特別に設置された機関を通じて、市町村とネゴシエーションをすればよい。この特別に設置される機関は、通称エコ・オーガニズムと呼ばれているもので、報酬を受けて企業に代わって企業の義務を果たすもの。

  • エコ・オーガニズムの創設には制限はない。単一あるいは複数の企業がなることができる。また、生産者だけでなく処理業者や輸送業者もなることができる。

  • 1つの地域に唯一のエコ・オーガニズムが創設された場合、結果的に独占状態となる。しかし、この場合でも別のエコ・オーガニズムを自ら作る、あるいは自社で廃棄物処理の責任を負うことができる。

  • エコ・オーガニズムへの資金配分については、政令案第15条の監督機関が行う。

  • エコ・オーガニズムに係る許可の手続きは未だ整備されておらず、また募集も行っていないので、現時点では候補企業は挙がっていない。エコ・オーガニズムを設置したいという声は聞こえてきているが、正式な情報はない。

7.ヒストリカル・ウェイスト
 WEEE指令では、2005年8月13日以前に上市された製品の廃棄物(ヒストリカル・ウェイスト)のうち家庭から排出されるものについては、8年間は当該費用を生産者はユーザーに請求できることとされている。仏での扱いについての仏産業省の説明は以下のとおりである。

  • 現在、競争委員会が扱いを検討している。あと2〜3か月かかるのではないか。

  • その答えは、YesかNoということではなく、導入の条件の話になると思われる。ビジブル・フィーが導入されない可能性は、非常に僅かだと思う。

  • ビジブル・フィーは、自治体のインフラ整備にも使われる。これは、ビジブル・フィーのそもそもの目的の1つでもある。

8.廃棄物の適正処理
 WEEE指令では、廃棄物の再生率等が定められているが、これを企業単位あるいは製品単位で計るのかによって、企業の対応が大きく影響を受けることが想定される。また、最近では途上国にリサイクル施設を設ける例もでている。こうした問題についての仏産業省の説明は以下のとおりである。

  • 再生率等は全国レベルでの目標であり、仏国家が責任を負わなければならない。しかし、企業やエコ・オーガニズムも、目標の達成に当たって同等の責任を負う必要がある。

  • 政令案では、エコ・オーガニズムへの応募に際して、収集・再生の目標を明確にする義務があると書いている。許可を出す当局からも、政策的な目標と、企業・企業グループの目標が矛盾していないかを確認する必要がある。

  • 再生率の計測は、WEEE指令の附録1aにある10のカテゴリー分類により行われる。

  • 外国での処理に際しても、EU内での処理と同じ処理とする必要がある。廃棄物を輸出する場合、輸出量、再生量、どのような条件で再生されるかを明確にしなければならない。監督機関は、輸出される廃棄物に対する保証についても監督することになっている。

  • 国内での処理に係るチェックについては、処理業者がエコ・オーガニズムに対して品質証明書を提示する方法が考えられる。仏産業省では、廃棄物処理業者に対する認証制度の導入に向けて動いている。

U.政策動向

<EU:データグリッドプロジェクト及びEGEEプロジェクト>
 欧州における有名なHPC(High Performance Computing)プロジェクトに、データグリッドプロジェクトがある。このプロジェクトは欧州連合から980万ユーロの資金支援を受け、ESA(欧州宇宙機関)、CNRS(仏国立科学研究センター)、INFN(伊国立核物理学研究センター)、NIKHEF(蘭国立核物理学・高エネルギー物理学研究所)、PPARC(英素粒子物理学・天文学研究会議)が中心となって2001〜2003年にかけて実施されたもので、分散環境下での科学研究作業を協調させる技術的インフラの構築とテストを主目的とする。
 プロジェクトの最終報告書は、「プロジェクトの全期間を通じ、全体のパフォーマンスと成果に関して最高の満足を表明する」と結論づけている。最終成果であるデータグリッドソフトウェアは、以下の科学分野で既に使われている。

  − 高エネルギー物理学
  − 生体・医用画像処理
  − 地球観測

 さて、データグリッドプロジェクトの成功を受け、その成果を更に発展させる後継プロジェクト「EGEE」が2004年4月1日に開始される。EGEEプロジェクトは、データグリッドプロジェクトをはじめとする欧州のグリッドコンピューティングプロジェクトを糾合し、欧州における研究を支援するシームレスなグリッドコンピューティングインフラを創設することが目的である。EGEEプロジェクトは2004〜2007年の4年間を予定し、最初の2年間は高エネルギー物理学とバイオインフォマティクスの2つのアプリケーションを対象にパフォーマンス等の確認を行うこととしている。なお、EGEEプロジェクトには、CERN(欧州原子核研究機関)をはじめとする70の機関が参加することとなっており、これら機関間の接続にはGEANT(研究機関用高速ネットワーク)が用いられる。



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