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パリ駐在員報告
 【 2004年8月号 】



 仏における廃電気電子機器リサイクル法制化の動向(その4)


T.仏における廃電気電子機器リサイクル法制化の動向

1.はじめに
 欧州駐在員報告2003年8月号、同11月号及び2004年1月号、同5月号でご紹介したように、仏では2つの欧州指令、廃電気電子機器(WEEE)指令及び電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限(RoHS)指令の国内法制化が進められている。
 2003年12月、当該法制化のための政令案(第5版)が発表された。この第5版については、最終版になるものとされていたことから、仏経済・財政・産業省の産業・通信技術・郵政総局(以下、「仏産業省」)との間で2度にわたり意見交換を行い、当方懸念事項を伝えたところである。
 ところが、本年6月30日、政令案第6版が関係者宛に配布された。この第6版では、政令の実施に関わる機関の役割が変更になるなど、政令の骨格が大きく変わっている。そのため、再度仏産業省から説明を受けるとともに、当方懸念事項を伝えるべく、在欧日系企業14社の参加を賜り、7月7日に意見交換の機会を設けた。
 その概要について、仏産業省からの回答を中心に、簡単にご紹介する。なお、仏法制化のこれまでの動きについては、冒頭にご紹介した過去の拙稿をご参照されたい。

2.法制化の状況
 政令案及びその下の省令案の作成状況については、以下のとおり。

  • 政令案第6版は、仏産業省の協力の下、仏環境省が最終版に近づけるべく改良を行ったもの。更に変更を加えられるべきもの。

  • 夏の間に最終版を作成し、9月末に政令案を政府が認可することを目標としている。

  • 政府認可の後、コンセイユ・デタ(政府提出法案に対する諮問機関)の検討を経て、年末までに最終的に決議されることとなっている。

  • いずれにせよ、2005年8月13日に実施される予定であることに変わりはない。

  • 省令案についても並行で作業を行っている。政令が採択されれば、数週間以内に省令も採択される。

 当方からは、予定されていたスケジュールから大幅に遅れており、準備が間に合わないことが懸念されることから、実施の猶予についても検討するよう申し入れた。

3.廃電気電子機器の区分
 政令案第5版では、廃電気電子機器は「家庭用」「非家庭用」及び「業務用」の3つに区分されていた。第6版では、非家庭用がなくなり、家庭用と業務用の2つとなった。しかしながら、依然として家庭用と業務用の区分が明確でないことから、説明を求めたところ、以下のとおり。

  • 政令上は、ある製品は家庭用でも業務用でもあり得る。誰が使って、最終的に誰が捨てるかによって決まる。

  • つまり、市町村が用意したゴミ箱に行くのか、業務用のゴミ処理の経路に載るか、ということである。

  • 生産者として、ある製品を作ると登録する際に、登録組織はそれが家庭用なのか業務用なのかを尋ねるであろう。

4.第一次回収拠点
 政令案第6版は、廃電気電子機器を一般家庭から回収した際に最初に集積される拠点(第一次回収拠点)の整備に関し、第一次回収拠点で選別を行うための施設を生産者の責任で設置するよう求めている。仏では3万6千の市町村があり、その全てに生産者の責任で当該施設を設置することは、現実問題として不可能である。
 本件に関しては、「環境省の担当」ということで、仏産業省も明確な答えを持っていない部分が見受けられたが、概ね以下のとおりである。

  • 選別施設を作らない市町村があった場合、生産者が代わりに作ることができるという意味である。しかし、政令案の文言では、義務であるという解釈もできないことはない。

  • 私見であるが、(欧州指令で定められた)住民1人当たり年間4kgという選別回収目標を達成できれば、仏の全ての市町村に選別回収施設を作る義務はなくなるのではないか。

  • 誰が作り、誰が管理し、誰が費用を支払うのかは分からない。全て検討中である。ただし、政令レベルの問題ではないと思う。

 当方からは、本件について義務との解釈がなされないよう、「生産者が市町村に協力することができる」といった文言に修正されるべきである旨、申し入れた。

5.ビジブル・フィー
 ビジブル・フィーの義務のない国ができるとすれば、消費者がビジブル・フィーの義務のない国へと流れる懸念がある。そもそも、仏がビジブル・フィーを導入する意向か否かを含めて情報提供を求めたところ、以下のとおりである。

  • 消費者がビジブル・フィーのない国へと流れる懸念は、全く正しい。

  • 論理的には、ビジブル・フィーの義務のない国で上市すると、除去費用は価格に含まれることになる。即ち、ビジブル・フィーの有無は、廃棄物を処理する業界の競争力の問題である。

  • 仏政府が考えているビジブル・フィーの特徴は4つ。@義務であること、A忠実、つまり本当の価格であること、B調和のとれたものであること、C流通業者がマージンを載せないこと。

  • 各カテゴリでビジブル・フィーを固定せず、サイズによるものとしたい(注:テレビで一律、ではなく、テレビでもサイズにより変わるという意味)。公正取引委員会がガイドラインを出すことになっている。

  • ランプについては、業務用のものにもビジブル・フィーを載せることができるようにしようと考えている。ただし、こうした製品は一部であり、公正取引委員会の諮問にかけているところ。

  • 他国の状況について言えば、ベルギーはビジブル・フィーを付ける。ドイツ・イギリスはおそらく付けないであろう。

6.調整機関
 政令案第5版では、企業の果たすべき廃棄物に係る義務を代行する組織であるエコ・オーガニズムと、エコ・オーガニズム間の義務と費用を調整する組織である監督機関の2つが、政令の実施に係る主要組織であった。
しかるに、政令案第6版では、政令の実施に係る組織として新たに調整機関なる組織が設けられた。この調整機関は具体的な役割が不明であり、エコ・オーガニズムや監督機関との役割・責任分担も不明であることから、説明を求めたところ、以下のとおりである。

  • エコ・オーガニズムは複数作られるであろう一方、これらが別々に市町村に拠点を整備し始めると数が限りなくなることを、仏環境省が懸念している。

  • このため、エコ・オーガニズムは複数あっても、市町村との関係ではこれらを1本に束ねるべきで、その任を調整機関が担う。

  • 調整機関の役割については政令案に書いているが、誰が作るのか、どのような機関にするのか、市町村との関係をどうするのかについては議論中である。

  • ただし、原則的な役割は2つ。1つは、市町村がいくつもの窓口を持たないようにすること。もう1つは全てのエコ・オーガニズム及び生産者が公平に廃棄物にアクセスできるようにすること。

  • いずれにせよ、エコ・オーガニズムや生産者が一緒になって、回収システムを地域ごとに整備するなど、仏全土がカバーされるバランスの取れたシステムができることが重要。これを市場原理に預けて、エコ・オーガニズムと市町村の関係を作っていくこともできる。ある種の競争市場にかけたらよいのではないか。

 当方からは、生産者の意見を聞きつつ、調整機関の役割を早期に明確にするとともに、それが生産者に無用の負担を課さず、また競争的なものとなるようにすべきとの旨、申し入れた。併せて、調整機関とエコ・オーガニズムや監督機関の間の関係を明確にすべきとの旨、申し入れた。


U.政策動向

<仏:IT業界、改めて政府援助を求める>
 仏IT業界は7月5日、パリ市内で全国会議を開催し、大規模プロジェクトの推進を求める青書をドベジャン仏産業担当閣外相に提出した。仏IT業界は、昨年も雇用と競争力の危機的現状について白書を作成し国に報告しており、今回が2回目となる。  青書では、プロジェクトの対象となりうる分野として、成長と雇用創出が保証される以下の8つを挙げている。

  • 超高速インターネット
  • ハイビジョン
  • 安全でインテリジェントな自動車
  • 国土防衛
  • デジタル認証
  • エネルギー利用の効率化
  • 健康のためのIT
  • マイクロエレクトロニクス技術

 青書は、また、仏電子情報業界の雇用者数は、情報通信バブルの崩壊や企業の国外進出に伴い、1998年の30万人から2003年には22万人に減少し、このままでは2008年には10万人にまで減少することが予測されるとしている。また、2000年の政府及び企業のITに対する投資額(対GDP比)は仏では0.25%に過ぎず、EU15ヶ国平均の0.35%、日本の1.02%に比べ低水準にあるとしている。こうした現状に対し、IT業界は研究開発への公的財政援助や大規模プロジェクトにより、雇用削減に歯止めをかけるとともに、競争力を強化する狙いである。
 ドベジャン仏産業担当閣外相は、IT業界は戦略的業界であり、国の援助を期待して良いとする一方で、公共融資は万能薬になり得ないと批判している。



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