
【 2005年9月号 】
■ はじめに
フランス政府は2005年7月12日に「国土整備・開発省間委員会」(CIADT)を開催し、競争力拠点計画の認定地域圏67プロジェクトを決定、会合後にドミニク・ドビルパン首相がその内容を発表した。
■ 競争力拠点計画の概要
フランス政府が進めている競争力拠点計画は、2004年9月14日に新しい産業政策の柱として発表されたものである。同計画は、地理的に近接する企業、大学などの教育機関、研究組織が、特定分野において技術革新プロジェクトを共同で推進することにより、その地域の経済規模や科学技術の水準を高めるとともに、これを通じてフランス産業の国際的な競争力強化、国内産業の再活性化、雇用創出を図ることを意図するものである。そのため、「創造的で国際的な展開を期待できるプロジェクト」を策定した地域を政府が競争力拠点として指定し、政府が資金援助を行うとともに、プロジェクトに参加する企業に対し、国外へ生産・研究拠点を移転しないとの誓約のもと、法人税の免税や社会保険料の企業負担軽減などの優遇措置を供与することとしている。
■ 競争力拠点の3分類
2004年12月から2005年2月に行われた募集に対し、予想を大きく超える105件の応募があったことから、当初予定よりも大幅に多い67か所が競争力拠点として認定された。そのうち6か所を「グローバル拠点」、9か所を「準グローバル拠点」と位置づけ、それぞれの特定分野における競争力拠点の軸として積極的に支援することとした(表1参照)。その他の52か所については、「地域クラスター」として地域経済発展の原動力としての機能が期待される拠点として扱われる。同じ分野に特化した拠点は、お互いに競争関係とはせず、ネットワークとして協力関係を構築するとしている。
認定された競争力拠点
○ グローバル拠点(6カ所)

○ 準グローバル拠点(9カ所)

■ 競争力拠点に係る予算措置
認可拠点数が当初予定よりも増加されたことに伴い、拠出される予算も倍増された。2006〜2008年の3年間で、当初予定された7.5億ユーロから少なくとも合計15億ユーロの予算が拠出されることが見込まれている。拠出内訳は以下のとおりである。
- 各関連省庁(産業、研究、農業、防衛)からの予算が合計4億ユーロ。財源の一部は民営化収入。
- 研究所向けの税制優遇措置と社会保険料の減免措置が3億ユーロ。
- 預金供託金庫、OSEO(中小企業支援団体)、全国研究庁及び産業技術革新庁から合計8億ユーロ。OSEO、全国研究庁及び産業技術革新庁は、補助金(民間からの場合もある)、返済可能な貸付金、預金供託金庫は、自己資金及び設備援助(事務所の不動産、研究者の住宅、ブロードバンドネットワーク)の形で拠出。
■ プロジェクト参加企業への優遇措置
プロジェクトに参加する企業は、法人税(個人企業の場合は所得税)が、EU取決めの上限である3年間10万ユーロを超えない範囲で、最初の3年間100%、その後2年間50%免除される。また企業は最大5年間、年間見積課税免除の権利が与えられる。社会保険料負担についても、最大6年間、中小企業は50%、大企業は25%減額される。ただし、これらの措置の対象は、競争力拠点に承認されたR&Dプロジェクトに参加する企業全般とされるか、研究者のみに絞られるかは現時点では明らかにされていない。なお、競争力拠点であるか否かにかかわらず、雇用状況の厳しい地域については、当該地域で活動拠点を維持する企業に対し、国の予算から、従業員1人につき1000ユーロの事業税が免税される。7月15日及び16日のレゼコー紙の報道によれば、これらの措置は、グローバル拠点及び準グローバル拠点の15か所で予算規模の半分以上を占めるとしている。
さらに、グローバル拠点及び準グローバル拠点については、産業技術革新庁からの融資や、研究員の増員(2006年に3000人)が優先的に行われる。
今後、政府と各認可拠点との間で枠組み協定を結び、具体的な研究開発計画に対して案件毎に資金を拠出することとなる。プロジェクトの進捗状況については、省庁間のワーキンググループにより定期的に評価が行われる。
■ 優先特定分野
競争力拠点に認定されたプロジェクトをみることにより、フランス政府が国際競争力の維持強化を意図している分野が明らかになる。
- IT(ジェムプリュス社のICチップ・ICカード、タレス社の電子機器、STマイクロ社の半導体)
- 運輸(エアバス社(トゥールーズ市)の航空・宇宙、輸送機器(TGV))
- 医療・健康(ジェノポール(エヴリー市)やキャンセノポール(トゥールーズ市)、メディテック・サンテ(イル・ド・フランス)、バイオバレー(アルザス)、ビオポール(リヨン市)及びそのビールス研究、バイオ治療法や農業食物における分野での技術革新(ペイ・ド・ラ・ロワール)、欧州の最大製薬研究所であるサノフィ・アベンティス社
■ 今後の動向
フランス政府は、2005年中にも競争力拠点のプロジェクト募集を再度行うことを予定している。今回認定を受けられなかったプロジェクトも、複数か所で集約するなどにより認定される可能性がある。また、経済的に厳しい地域の活性化を図るために、観光、文化、環境といった分野も対象に加えられることが見込まれている。
■ その他
<産業動向;フランスの携帯電話加入者数の動向>
フランス電子通信・郵便規制機関(ARCEP)は、7月25日に2005年第2四半期の携帯電話市場に関する統計を発表した。これによれば、フランスの同四半期の携帯電話新規加入者は45万6000人(前年同期30万2千人)、加入者総数は4540万人(同4224万人)となった。フランスの携帯電話普及率は75.2%(同70.0%)となったが、西欧の平均を未だに大きく下回っている状況である。事業者別加入者総数は、フランステレコム系のOrange Franceが47.3%(前年比48.3%)とシェアを若干減少させる一方、SFR(Vodafoneが出資)が35.8%(同35.4%)、Bouygues Telecom(フランスにおいてiモードを採用)が16.9%(同16.3%)とそれぞれ僅かではあるがシェアを増加させている。
© JEITA,2005
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