パリ駐在員2002年報告書
「欧州における電子商取引のルール整備等に関する調査」
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【 要約 】
欧州連合は2000年3月のリスボン首脳会議において、来るべき10年間における経済社会上の戦略目的を、「より豊富かつより質の高い雇用と、より強固な社会的連帯をもたらす持続的成長を可能にする、世界でもっとも活発かつ競争力のある知識立脚型経済(圏)となること」と定めた。このような知識立脚型経済の実現に要請される三つの総合的な戦略のうちの第一が、「よりよい情報社会と研究開発に関する政策、競争力とイノベーションを促進する構造改革、域内市場統合の完成を通じ、知識立脚型の経済社会への移行を準備すること」である。総合的戦略とされる他の二つは、「欧州社会福祉モデルの現代化」と「適度なマクロ経済政策のミックスにより健全かつ持続的な成長の実現」であるが、知識立脚型経済の実現こそが他の二つの戦略的な課題達成の鍵とされたうえ、知識立脚型社会経済の実現にもっとも直接的に貢献するのが情報社会化であり、その下支えとなる情報通信技術の発達とされている。このリスボン首脳会議の決定は、情報社会への移行を単なる当面の課題ではなく、知識立脚型社会経済の選択として、来る10年間の戦略課題としている点が重要である。
欧州では鉱工業生産が伸び悩み、失業率も徐々に上昇する等、厳しい経済状況にある。情報通信分野を見ても、特に通信分野で企業の国外事業の縮小が相次ぐなど、厳しい状況にある。こうした中で、経済成長と雇用をもたらすもっとも有望な分野である情報通信分野における取り組みが、一層強化されている。具体的には、欧州連合の経済社会情報化の基本計画である「eEurope計画」に基づき官民を挙げた情報化を推進するとともに、「フレームワーク計画」の下で情報通信分野の研究開発が進められている。
本調査では、欧州連合が推進する以下のIT政策・研究政策について、その概要と特徴を調査し、分析した。
1.欧州連合のIT政策の概要
欧州連合では、情報通信分野における競争促進を目的とした法制度の整備が引き続き進められている。2002年には、新規事業者の通信分野への参入を用意とするためのテレコム・パッケージや、個人情報・プライバシー保護に関する指令が採択された。
また、欧州連合閣僚理事会がネットワークと情報安全に関する決議を行ったほか、欧州委員会からEラーニング・プログラムが提案される等、施策面でも情報化への取り組みが強化されている。
2.eEurope計画の進捗状況
欧州連合の情報社会政策は、1999年に策定された「eEurope計画」と、その下で2002年までに実施する政策項目を掲げた「eEurope2002行動計画」に基づき推進されている。
2002年6月には、eEurope2002行動計画の後継となる「eEurope2005行動計画」が決定された。eEurope2005行動計画では、eEurope2002行動計画が掲げていた最大の目標であるインターネットの普及が基本的に達成される状況を受け、インターネットが提供する様々な可能性を生産性の向上、現在的な公共サービスへの脱却、より快適な日常生活の実現などに着実に結びつけることを目指す。
3.研究開発政策
2002年6月、欧州連合の産業技術研究開発政策の中心をなすフレームワーク計画の第6次計画(2003〜2006年)が決定された。同計画では「欧州の研究の絞り込みと統合」というタイトルの下、情報社会技術を含め、7つの優先テーマを掲げている。
期間中の予算総額は175億ユーロで第5次計画の17%増、そのうち情報社会技術には全体の30%に当たる36億2500万ユーロが割り当てられており、予算額的に最大の分野となっている。
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