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2007年10月11日
(社)電子情報技術産業協会
ソリューションサービス事業委員会
ITサービス調達政策専門委員会


「情報システムに係る政府調達の基本指針 実務手引書」(第二版)に関するコメント



 2007年3月1日に公表された「情報システムに係る政府調達の基本指針」に基づく取組の円滑な実施を目的に2007年9月19日、総務省行政管理局より「情報システムに係る政府調達の基本指針 実務手引書」(第二版)が公表されました。

 「情報システムに係る政府調達の基本指針」は、最適化計画の対象となる官公庁分野の大規模情報システムの再構築における調達指針であり、公共IT調達の果たすべき役割を積極的に見直し、情報システムの質を高めパフォーマンスを向上させることを目的としています。

 JEITAソリューションサービス事業委員会(委員長 富士通総研 伊藤大挙)のもとに設置されているITサービス調達政策専門委員会(委員長 日立製作所 紅林徹也)では、この基本指針に基づく実務手引書の作成に当たり、その重要性を鑑み積極的に協力して参りました。

 基本指針は、複数の業務が搭載されている大規模な情報システムを再構築するに当たって、その構成要素を「共通基盤システム」と複数の「個別機能システム」に分けて調達・構築するという『分離調達』を前提としています。

 従来、官公庁分野の大規模情報システムの調達は、全てを1社のベンダーから調達する『一括調達』で行われてきました。これは、「発注者側にITの専門化が少ない」、「追加の予算措置が困難」、「契約条件が厳しい」といった特性を持つ公共IT調達において、「工程の遅延」や「想定外の費用の発生」等の様々なリスクを受注した1社のベンダーが責任を持って対処するという意味で、合理的な調達方式です。

 しかし、『分離調達』では、発注を分割することになり、発注者側に「システム統合責任」や「複数の事業者との調整作業」等の新たな作業が発生する一方、受注者側にも「受注者間の責任範囲が不明確になりやすい」、「他の受注者の進捗によって作業に大きな影響を受ける可能性がある」などのリスクの発生が予想され、発注者、受注者の双方にとってより難易度の高い作業の実施が求められることになります。

 JEITAは、このように難易度の高い調達方式が、一方的なリスクの押し付けにならないように、発注者、受注者双方が協力して取り組み、双方に発生するリスクを合理的に軽減あるいは解消させることが、信頼性の高い公共ITシステムを構築するためには最も重要であるとの考えに基づき、発言して参りました。

 その結果、今回公表された実務手引書(第二版)では、今後も継続して検討すべき点も多く残ってはいるものの、従来は取り上げられなかったいくつかの点において重要な改善がなされ、一歩前進したと評価しています。

 具体的には、「契約変更を可能とする変更管理」や「提案書の記載事項を契約の一部として認める」などの考え方は、従来の調達慣行から一歩踏み込んだ積極的な改善と言えます。

 しかしながら、「違約罰を推奨し、不必要に契約リスクを増大させている」ことや「準委任契約とすべき作業を請負契約にて実施しようとしている」など更なる改善が必要な部分も残っています。

 実務手引書(第二版)作成に当たっては、現状の硬直化した予算制度や官公庁の慣習をそのままに「公平性」「透明性」を追求した結果、「実現可能性」「合理性」に関する視点での改善が十分ではなかったと判断しています。

 今後もJEITAは公共IT調達に関して総務省行政管理局に継続的に改善を求めていくとともに、公共IT調達が国内情報処理産業に大きな影響力を有することから、JEITAはIT産業を代表する業界団体として、今後も公共IT調達の他国の実情や中長期的展望等に関して調査し、情報システムに係る政府調達のあるべき姿を積極的に提言して行きたいと考えております。

以上


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