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平成21年2月27日

(社)電子情報技術産業協会
ソリューションサービス事業委員会



2008年度「日米IT投資比較分析」の調査報告書の公開について



 日本の経済環境は厳しさを増してきています。景気後退期の直接的な要因として、米国のサブプライムローン問題や世界的な原料/資源価格の高騰などと言われておりますが、長期的に見ても日本では少子高齢化による労働力人口の減少や社会保障費の増大、新興諸国の経済成長による存在感の低下など、長期的/構造的な課題を抱えています。
 こういった中、国内経済の活性化にあたっては、ITの活用による国民生活の利便性向上や企業の生産性向上を図ることが一つの有力な手段と考えられます。しかし実際には、国内のIT支出は、伸び/経済規模や人口に比べた額のいずれをとっても他の先進国に比べて低いことが、さまざまな調査から明らかになっています。
 当協会ソリューションサービス事業委員会では、企業におけるIT支出に関して、こういったIT支出の状況を生む背景を、特に米国との比較し、IT投資の金額や成長率の違いの理由などについて調査いたしました。なお、分析にあたってはInternational Data Corporation(IDC)の調査資料、官公庁の公表データに加え、今回調査のために実施した日米アンケート結果などを利用しています。
 このたび、その調査結果がまとまりましたので、概要を紹介すると共に、資料を公開いたします。



1. 調査期間、調査対象

  日米における従業員規模300人以上の中堅から大規模企業(全業種)とし、社内/組織内情報システムの戦略や予算立案/決定/購入意思決定への関与者に対して、2008年7月、アンケート調査を実施。有効回答は、日本200社、米国192社。


2. 調査結果(概要)

@ IT支出額の状況
 2007年の実績では、日本は米国に続き世界第二位の支出額である。しかし、GDP比でみると、日本は欧米諸国の後塵を拝し、13位に甘んじている。

A 日米IT投資
 IT予算の内訳は日米とも新規投資が30数%あり、事業計画遂行上でのITの活用が重要と回答する割合や、経営者の意識、新技術導入への姿勢などの面で、日米の大きな相違はみられない。

B 労働生産性とIT投資
 米国の労働生産性は世界で3位であるが、日本の労働生産性は世界で20位であり、日米の労働生産性の差は約40%にのぼる。アンケート結果でも、IT投資は生産性の向上につながっていると言う実感はある。各国の労働生産性と一人当たりのIT支出をプロットすると相関関係がみられる(相関係数0.59)。

C 日米のITの活用方法
 専任CIO設置状況は米国が6割を超えるのに対し、日本では4割程度。また、投資対の測定方法を見ると、米国ではROIなどの財務的評価手法をとっている率が高い。一方、IT課題や生産性向上の阻害要因では、日本では人材不足が上位にリストアップされている。また、米国ではIT投資分野として、売上拡大やビジネス成長を目的とする回答が多い。


2008年度「日米IT投資比較分析」調査報告書
[ *PDF形式 [265KB] ]



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