JEITA 知識情報処理技術に関するシンポジウム

「先端Web技術は企業を変えるか」

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【プログラム】
2008年10月23日 15:00-17:30 パネル討論 「先端Web技術は企業を変えるか」
モデレータ:
松井くにお氏(Fujitsu Laboratories of America, Inc. Vice President
パネリスト:

「先端Web技術」とは何か。

消費者向けだったものから、企業向けに使える技術

企業の現実的ニーズにしたがって、Web上で使われている/生き残っているのは先端

既存ソフトが遅れており、オープン化が必要。情報をより多く見つける方向で進化している。

(Web2.0著者)

Web2.0はありとあらゆるものをWeb上におく

PC→モバイル化と、オープン化(オープンソース、オープン化のためのツール)がある

(商売用のHPに関わることに従事、著書「Web2.0が殺すもの」)

色即是空、空即是色: 置かれているところによってWebは見え方が違ってくる

Webは何か → 答えはない

使えるものは使えば良い。

使っているものが先端であることの見極めは重要


サービス

  • SaaS, PaaSは企業の経営/業務を変えるものになるのか
  • マッシュアップ(サービス、データ)は企業に何をもたらすか
  • 「ロングテール神話」は本当か

SaaS, PaaSは、中小企業ではまだまだ。抱え込むメンタリティが変わらない限り難しい。現場レベルではまだ遠い。

大企業より中小企業の方が進んでいると思っていたが‥

中小企業でも20~30人規模になってしまうと、他人事だと「いいね」と言っているが、いざ導入となると決まらない。零細企業の方は積極的。

SalesForce, SaaSが入り込みはじめている。作り込みシステムでは対応はできない。柔軟なプラットフォームが必要。IT部門よりユーザ部門が求めている。セキュリティ面も心配されるが、結構対応はできている。


SaaSを長期間使った場合のコストは?

作りかえないとか、ユーザ数による。ユーザニーズに対応できる点が重要。

ビジネス自体がオープン化している(例:保険業)。コストや柔軟性が理由。

データをどこに置くかという問題は、金を銀行に預けるのか、タンス預金なのかと同じ。信頼できるプレーヤーが出てくる。メーラとして何を使うかよりメールを管理できることが重要。障壁をどう信用に変えていくか。日本は事例についてうるさい。技術は進むべき方向に必ず進む。

米国は良いものをすぐ取り入れるが、日本では‥

民族性抜きにWebは語れない。システムに詳しい人がいるとかえって導入が遅れる。社会的流行より近くの人の影響が大きい。


マッシュアップは企業に何をもたらすか?

GoogleMapが出たときは注目されたが、実はマッシュアップされているものは多くない

100%SaaSは難しい。官公庁でもデータを使うことはタブーではない。GoogleMapは使っている。ただ、進んだマッシュアップはまだ。会社の中のデータをマッシュアップするプロジェクトを進めている。早晩マッシュアップを取り入れるのが当たり前になってくる。

マッシュアップは企業が求めているものに近い。今すぐには厳しいかもしれないが、中期的には取り入れて行く。世の中の動きが早すぎてシステム部門ではすぐ取り入れてしまうが、統制をきかす必要がある。

自社開発でやるだけでは間に合わないというのが基本的な流れ。Officeのレガシーなデータの扱いが大変。データ連携のプラットフォームとしてPaaSのニーズがある。

マッシュアップが進みすぎて、引用ブログが増えすぎて、Webに対する信用がなくなってきている。GoogleMapの利用は増えているが、世の中にはちゃんとした地図が読めない人も多い、そのときはGoogleMapより手書きの地図が良い


サービスのEcoについて

マッシュアップが進むとEcoシステムになると言われているが、サービスのEcoについてはどうか?

マッシュアップ(クラウド)によって、Webサイトという概念がなくなる。全体のネットワークにかかわるアクティビティを無駄なく動かしていくことが必要。例えば、10Mバイトのデータを10人に送るというような無駄はなくなると思う。

水温の上昇(プランクトンの増加)が、「ルワンダにおける安定した生態系」を壊す要因になっている。このときナマズを投入することが安定化に貢献する。ここにビジネスチャンスがある(サービスにも同様なことがある)。Googleは自ら生態系を壊して、ナマズを呼び込もうとするビジネスモデルである。参考資料

SalesForceのプラットフォームも三者の共存共栄である。

安定化したときに刺激を与えるということでは、GoogleもMSの刺激になっている。MSも大きすぎると危険である。小さな世界ならコントロールできるが、大きくなるとコントロールできなくなる。

Googleは大きくなりすぎている。対国家となるとGoogleはどうなるのか。もう大きすぎてつぶせないのか。

米国のIT産業ではDellが4%、MSが4%であり、色んなプレーヤーがいるが、日本ではITのトップ5社で75%を占めておて、お付きのベンダーがいる。まだEcoシステムになっていない。


コミュニケーション/コラボレーション/ナレッジ

  • 企業SNS/ブログから新しいものは生まれるか。
  • 集合知は本当に有用か
  • メタデータは企業情報活用の特効薬になるか

企業内はアクセス権限の管理が重要。KMは叫ばれたが、うまくいった例は多くない。社内全員で情報共有するのは無理な話。SNSだろうがブログだろうが、本気で情報を書く人はいない(お互いがライバルである)。保険会社さんでは、情報の見える見えないを細かく制御しており、それでうまくいった。

(沖電気)

SNSはコミュニティーで情報公開範囲を細かく制御できる。顧客情報を黒塗りすることをやっている企業もある。「出せない情報があるからといって出さない」のではない方向に倒すのがハッピーなのでは

活性化のための全員参加は不要。大企業なら1%でも情報はあがる。ROMでも有用。コミュニティーに緩く参加させるのが良い。流れを作るべきである。

力みすぎて失敗している会社も多い。「何かを投げたら返してくれたらいいなぁ」ぐらいが良い。成功している会社は肩の力を抜いてやっている。そうすると新しいものも出てくる。

ブログは書くのが目的ではなく、情報を発信することが目的。ブログで才能ある人を出すことはできるが、ブログをやれば変わるわけではない。ブログを継続できるようにすることを考えることが必要。日本の企業SNSでは本音を言えない。


メタデータについて

メタデータは企業情報活用の特効薬になるか?

本格的にやろうとする無理が出てくる。不要なものを捨てるときに使うのが有用である。Google検索が良いのは、PageRankによってゴミを捨てているからである。閲覧数や最終アクセスなどが活用できる。半自動、半人手で肩の力を抜いてやるのが良い。

企業内には整備された基幹システムのデータ、ExcelやAccessなどの正規化されているがファイル内に閉じた少し整備されたデータ、整備されていないドキュメント類がある。基幹システムのデータはそのままでよいが、少し整備されているデータに関しては、SaaS , PaaSにのせていくのが良い。ドキュメント類は、すべてをタグづけするのは難しいので、検索できるようにするのが良い。IBMではドキュメントが整備されているが、日本は遅れている。

文書の中にある人名、住所などの意味づけをするMicroformatsがあるが、まだ普及していない。自動タギング技術を深堀しても企業は買ってくれない。ブラックボックスにして知らない間にタグ付けをするということをしないと難しい

メタデータは特効薬になるが、それを誰がやるかが問題である。プログラマはパズルを解くのは好きだが、ドキュメントを作るのは嫌いだ。

例えば、分析をしたいとなるとメタデータがないと厳しいのでは?分析するためにメタデータをつけたいということはないのか?

メタデータとして3つくらいキーワードをつけると有用だったが、登録のときにメタデータをつけるのは難しくて、結局普及しなかった。ドキュメントをSaaS に載せて、リポーティング機能を使うのが現実的である。

分析の切り口ではメタデータより、利用履歴が取得も簡単であり、活用されている。

Web上にある情報には偏りがあることに注意すべきだ。書きやすい部分に情報が偏る(例:「鑢を作る技術」をネットで探しても情報がない)。情報の偏りを考慮することも必要である。


会場から

(産総研)

ユーザ側視点(多様性、標準化のメリットなど)から見たEcoシステムは?

ユーザは弱者である。民衆が変えるというのは幻想。一部のエバンジェリストに流れる。

エンタプライズITでは情報の非対称性が大きい。業務系システムでは非対称性が解消されているが、Web系(情報系)はまだ市場として成り立っていない状態なので、非対称性を解消するためにエンタープライズ系の比較などに切り込まないとならない。

SNSはカラオケボックス、ブログはストリートミュージシャンである。Webに参加することで自分が発見され、チャンスが生まれる。ネットにプレゼンスを置いておくことが重要。

最強のミジンコになれるのがWebの世界である。

インターネットの長い歴史で見れば、初期は発信側主体だったが、ユーザに主権が移っている

Webに関わらずにいる企業は今はもうなくなっている。では現在携帯の上に公式HP を持っている企業は?今はいらないと思ってもかならずそのようになる。メンタルブロックを壊していかないといけない。良くも悪くもWebやグローバルに関わっていくしかない


(産総研)

知的生産性を直接計測できるのか?

アクセス履歴は直接観測できる。どのルートを通って何をしたのか。Yahoo/Googleから来た割合が 9:1というような異常な数字がアクセス履歴から見えてくる。

生産性向上を直接指標にあまりしない。「見る」ことを目的にするとか、ライバル同士のコミュニケーションなど、他の指標を使うことが多い。

代替指標の例はないのか?

セマンティックWebにちょと近づいたのがWeb2.0である。企業も「やってみる」という緩さが必要。イントラネット上に個々の社員の何かをデジタライズして置くところまでまだいっていないところが多い。RSSフィードを使っていないところも多い。メンタルなところが大きい。

欲しい情報が見つかるようになったなどのお客さんの声などが代替指標としてある。


(富士通ソフトウェアテクノロジ)

業務や業種を閉じた狭い世界ではメタデータが十分役立っている。絞り込まないところで計測をやっているから難しい。絞り込んだところでの指標としてはどんなものがあるか?

営業なら、社長ブログによって会話の糸口がつかめたなどがある。

検索できれば良いと言っていたデータが、メタデータによって検索されたことによって役立ったというような事例はあるか?

公開できれば役立つのだが、情報を公開することをためらっているのが課題である。

個人の生産性向上(情報収集・作成、連絡の効率化)は、論理的には40%ぐらいだが、本当に計測しようとすると伏魔殿に陥る。ビジネスゴール達成は個々に考えなければならない(例:製薬会社はスピードを指標にとれる)。意志決定ができる経営者は、指標を気にしないものだ!

ホワイトカラーの生産性を阻害しているものには、メール添付、何でもファイルサーバ)がある。プロジェクトポータルが有用である。


(NEC)

インターネットと企業内との違いとして、企業は 情報を持っている人間が、情報公開の可否を判断することが難しい。

気づかせツールによって、人、もの、場所、ことがらの4つを紐づけるのが有用。

今まで、概念はあっても技術が追いついていなかったが、それが出来るようになった。


まとめ

Webが企業を変えることは間違いない。「先端」はいらない

Web技術はあくまでも手段であることを忘れないように

企業システムは大きく飛躍するときなので、この分野を進めていきたい

Webはネットワークなので、いろいろなパートナになっていく

技術だけでは何も解決しないよ。人は愚かなのに、Webになると利口だとおもってしまう。愚かであることを頭において、10%でも進めばよい。

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