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エンジニアインタビュー 小幡 昇さん

株式会社日立製作所 小幡 昇(おばた のぼる)さん

ソフトウェア事業部 Linuxチームテクニカルリーダ (2008年現在)

工作が大好きだった小学生の頃からプログラミングを覚え、中学時代は、 自作のゲームを楽しむ。 大学卒業後、ベンチャー企業に入社。その後、 海外の大学院に留学し、コンピュータサイエンスを本格的に学ぶ。
帰国後、日立製作所に入社し、それまでに培った多彩な知識と経験を 生かして、エンジニアのリーダーとして活躍中。35歳。

小幡 昇(おばた のぼる)さん

エンジニアの力を合わせるために必要なリーダーの役割

現在のお仕事について教えてください。

私は、オープンソースソフトウェア(OSS:オーエスエス)であるLinux(リナックス)を改良する仕事をしています。 以前、ベンチャー企業に勤めていた頃からLinuxに注目していたのですが、当時、Linuxは「信頼性」が弱点と言われていました。 信頼性が高いとは、故障や不具合がほとんど発生しないということです。企業で使うシステムには、私たちの生活を支えるものが多いので、 動作が止まったり不具合が起きるなどの事態を、極力少なくしなければなりません。 例えば、銀行や鉄道などのシステムが止まると、多くの人に影響を与えてしまいます。
この点、OSSであるLinuxは、信頼性が低いと考えられ、そのような重要なシステムで使われた実績は、あまりありませんでした。 しかし、LinuxのようなOSSは、世界中のソフトウェアエンジニアが開発に参加できるという点で、特定の企業がつくっているソフトウェアとは大きく異なり、 今後大きく発展する可能性のあるソフトウェアであると考えられています。 そこで、私は、昔からOSSに注目し、信頼性や品質の高さに定評のある日立製作所で、Linuxの可能性を追求してみたいと思ったのです。
今は、自分のチームのエンジニアのほか、一時的に米国の会社に滞在している日本人エンジニアを日本から指導しながら、 Linuxを日本の企業システムにも導入できるように改良する仕事をしています。今の目標は、銀行や鉄道のような社会を支える重要な企業システムに、もっともっとLinuxを取り入れてもらうことです。

リーダーとしてどんなお仕事をされているのですか。

Linuxの強化や開発も、一人で行うには限界がありますが、多くの人の力を合わせれば、一人分の何倍もの仕事ができるようになります。 企業システムのような大規模なソフトウェアの開発は、一人ではできません。大規模なソフトウェアになると、ソフトウェアそのものを分担して開発しなければなりませんし、 ソフトウェアの動作の確認なども、分担して行うことが必要となります。

小幡 昇

また、ソフトウェアは、ソフトウェアだけでは動きません。ソフトウェアが動く基盤となるハードウェア(コンピュータなどの機械)のエンジニアや、一緒に動く他のソフトウェアのエンジニアなど、 他のエンジニアと協力してはじめてソフトウェアを動かすことができます。そのような意味では、ソフトウェアの仕事は一人ではできず、多くの人が力を合わせてはじめてできるものだと言えます。 そして、多くのエンジニアが力を合わせるためには、全体をまとめるリーダーが必要になります。   

1日をどのように過ごされていますか。

例えば、こんな1日もあります。
小幡さんの1日のスケジュール

私たちの生活を、もっと便利にもっと楽しくするソフトウェア

ソフトウェアの魅力はどんなところにありますか。

高校生の皆さんの中には、もしかしたら、ITやプログラミングと聞くと、暗い部屋でパソコンをたたいているイメージを思い浮かべる人がいるかもしれません。 しかし、ITやコンピュータは、私たちに、便利で楽しい生活をもたらしてくれるものなのです。
ITやコンピュータがなかった時代と比べると、今では、はるかに私たちにできることが広がっています。 インターネットやEメールなど、昔にはなかったものが広まり、私たちのコミュニケーションも変化してきました。 昔では、出会うはずのなかった人と、今では、そうしたネットワークを通じて気軽に出会えるようになっています。 また、iPodなどの新しい機器や体験型のゲームなど、昔では考えられない楽しい製品も、ITによって生み出されてきました。
そのような意味では、ITやコンピュータは、私たちの生活を便利にするだけではなく、私たちの可能性を広げた“革命的”なものであると言えます。 中でも、コンピュータや機器を動かす役割を担うソフトウェアは、何でも生み出せる大きな可能性を秘めています。例えば、iPodやゲームのおもしろさも、 ソフトウェアによって実現されています。ソフトウェアによって、私たちの生活は、これからますます便利に、ますます楽しくなっていくのではないでしょうか。 ソフトウェアの可能性は、まだまだこれから広がっていくと思います。

豊富な知識と多彩な経験を兼ね備えたリーダーになるまで

小幡さんがソフトウェアに出会ったのはいつですか。

仕事でコンピュータを使っていた父親の影響で、小学生の頃からプログラミングを覚えはじめ、兄と2人でゲームをつくって楽しんでいました。 もともと、工作など何かをつくることが大好きだったので、自分がつくったとおりに動くプログラムは、とてもおもしろいと感じました。 中学・高校時代も、独学でゲームをつくったり、コンピュータグラフィック(コンピュータを使った画像制作)に凝ったりしていました。

大学は、情報系の学部に進学したのですか。

今でこそ、情報系の学部は数多く設置されていますが、私が大学に進学する当時、情報系の学部はあまり多くありませんでしたし、メジャーな分野とも言えませんでした。 そのため、大学では、機械工学を専攻しました。しかし、機械工学の分野でも、複雑な計算にはコンピュータを使っていましたし、 水泳サークルの大会で集計作業を軽減できるようなシステムを開発したりしていましたので、コンピュータとの縁は続いていました。
卒業後は、やはり長年慣れ親しんだコンピュータに関する仕事をしたいと思い、ベンチャー企業に就職して、コンピュータを駆使して専門的なデータを処理する仕事をしていました。 ハードウェアからソフトウェアまですべて自分の会社でつくっていたので、幅広い知識が必要とされる仕事でした。仕事自体はとてもおもしろかったのですが、 当時興味を持ち始めたLinuxを仕事で使いたいと考え始め、別の道に進むことにしました。

情報系の学問を勉強されたことはありますか。

小幡 昇

ベンチャー企業を退職した後、体系的な勉強がしたいと思い、米国の大学院に1年半ほど留学して、本格的にコンピュータサイエンス(情報系の土台となる分野)を勉強しました。 それまでにも、仕事で様々な知識を持っていましたが、学問上で、いろいろな知識がどう体系化されているのか知りたいと思ったのです。
米国の大学では、日本の大学よりも宿題が大量に出ますので、ついていくのが大変でしたが、最後は、修士論文を書き上げて、無事卒業することができました。

学問の世界では、仕事の世界よりも、ずっと広いことを考えます。現実的にはあり得ないような巨大な数字を扱うこともあります。
でも、そんな広大な世界を知ることで、現実の世界で自分が扱っている問題が、とても小さなものに感じられるようになります。 つまり、現実の世界で大きな問題が表れても、びっくりしない度胸がつくのです。また、現実の世界ではじめて立ち向かう問題でも、学問の世界でよく使われる方法を使って、解決できてしまうこともあります。 学問や勉強が何の役に立つか分からないと思っている人もいるかもしれませんが、実はこんな風に役に立つこともあるんです。

高校生の皆さんへのメッセージ

ソフトウェアエンジニアを目指すために必要なものは何でしょうか。

ソフトウェアエンジニアとして、プログラミングの能力は必須です。プログラムを書けないソフトウェアエンジニアはいません。 高校生でも、大学生でも、プログラミングをおもしろいと思える人には、ソフトウェアエンジニアの適性があると思います。 また、ネットワーク化が進む今の社会では、ネットワークに関する知識も意外と重要です。ソフトウェアエンジニアとしては、どちらもしっかりマスターした方がよいと思います。

最後に、高校生へのメッセージをお願いします。

米国に行って痛感したのですが、日本の若い人たちには“貪欲さ”が欠けていると思います。 米国の学生は、勉強にも就職にも貪欲で、何でも自分の手でつかみとって、夢や目標を実現しようとします。
高校生の皆さんも、大きな夢や高い目標を持って、貪欲になってください。エンジニアとして活躍するためには、いろいろな経験が必要です。大いに貪欲になって、 いろいろな知識や経験を自分のものにしてください。

小幡 昇

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