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平成20年度 ソフトウェアに関する調査報告書V(IS-09-情シ-3)概要 ソフトウェアリソースの最適活用に関する調査報告書 |
| 1. | 活動目的と今までの経緯 | ||
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我が国の産業の中核技術としてソフトウェアの果たす役割が一段と重要になっている。一方
で、ソフトウェア開発規模の増大や複雑化への対応、開発コストの低減、品質の確保や高度な
技術を有する人材の育成等、ソフトウェア業界が抱える課題も多い。 このような状況を踏まえて、我が国ソフトウェア産業の国際競争力強化、事業基盤の確立、 ソフトウェアリソース確保の観点から業界共通の課題を抽出し、必要な施策を提言する等、ソ フトウェア業界の更なる活性化に向けた活動を積極的に推進してきた。 ソフトウェア開発においてメーカおよびソフトウェアベンダーは、市場競争力強化のために オフショアリングを推進、拡大させて行くことが必要不可欠な状況にあり、オフショアを積極 的に推進する際に企業が講ずべき方策および日本として講ずべき政策等、オフショア活用のあ り方について提言するために「ソフトウェアリソース対応専門委員会」が発足された。 図-1「ソフトウェアリソース対応専門委員会の活動推移」に示すように、 | |||
| (1) | 2005 年度(平成17 年度)は日本国内の現状調査を実施 | ||
| (2) | 2006 年度(平成18 年度)は日米企業のアンケート調査を基に日米企業の相違点および その相違点の起因について米国企業現地調査を実施 | ||
| (3) | 2007 年度(平成19 年度)は欧州企業の現地調査を実施すると共に経産省やIPA/SEC との意見交換に着手し、日本IT 企業が生き残るための提言書をまとめて、活動3 年間 の当専門委員会としての活動の区切りとした。 | ||
| しかし、各国へのオフショア事情も年々変化を遂げており、最新動向を今後も把握しておく
必要がある。特に組込み系ソフトウェアの重要性は今後も上がっていく傾向であり、生産性や
品質向上は必須条件となる。また、日本のソフトウェア産業に対する若者の人気が薄れてきて
いる現状や、今後とも価格競争力が激化する中での日本IT 企業の生き残り策をさらに検討す
る必要がある。 今後とも「ソフトウェアリソース対応のあり方」がポイントととなり、「効果的なオフショ ア活用に向けた課題と提言」を検討するために、2008 年度から2 年間を目処に当専門委員会 の事業計画を策定し、当専門委員会の活動を継続させた。 2008 年度(平成20 年度)では、オフショア先の実態調査のために、2008 年11 月16 日(日) 〜11 月23 日(日)にかけて欧米が上手くオフショア活用しているインドと、これから活用が 期待できるベトナムに絞って調査団を派遣して現地調査を実施した。 本報告書は、今回の「インド・ベトナム実態調査派遣」の結果を中心に報告するものであり、 各訪問先から日本企業に対して欧米との違いを中心に有意義な情報が収集でき、今後の対策に 大いに参考になるポイントをまとめることが出来た。 | |||
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| 図-1「ソフトウェアリソース専門委員会の活動推移」 | |||
| 2.2008年度の活動内容 | |||
| 2.1 インド・ベトナム調査概要 | |||
| (1) | 調査目的 | ||
| 2008 年度は、オフショア先(オフショアベンダー)から見た日本、米国、欧州企業の共通点
と相違点を明確にして、オフショアを積極的に推進する際に、企業が講ずるべき方策および日
本として講ずるべき政策を抽出し、オフショア活用のあり方についての提言を取りまとめる。 | |||
| (2) | 調査期間 | ||
| 2008 年11 月16 日(日) 〜 11 月23 日(日) | |||
| (3) | 訪問先 | ||
| @インド(バンガロール):ソフトウェア企業4 社 Aベトナム(ホーチミン):ソフトウェア企業3 社 | |||
| 2.2 調査内容 | |||
| 当専門委員会では、2006 年度〜2007 年度の米国、
欧州のオフショア委託元調査結果と、2007年度に調査した中国、インド(日本法人)に対して
行ったオフショア先に対する調査を元に、以下の問題点の仮説を立て、
インド・ベトナムのオフショア先にヒアリング調査を実施した。 @仕様の完成度が低いため、仕様変更が多い A見積精度が低い B納期が短い C品質要求が高い D案件ベースの活用で連携が継続しない E開発プロセス定義と徹底度合い Fコミュニケーションの難易度 | |||
| 2.3 調査内容 | |||
| 2.3.1 仮説との調査結果 | |||
| (1) | 仕様の完成度よりも、仕様決定の遅さが問題 | ||
| 日本の仕様の方が欧米に比べて細かいという認識であった。また、どの企業も仕様変更が日
本企業は多いという認識であった。 | |||
| (2) | 積精度が低い(仮説通り) | ||
| 見積精度が低い原因として、要求定義の違い、習熟度の違いが上げられている。 | |||
| (3) | 意思決定の遅さにより、納期が厳しくなっている(仮説通り) | ||
| 納期が短い点は共通して指摘されたが、それよりも、意思決定の遅さ、開発プロセスでのス
ケジューリングの違いについて問題視された。 | |||
| (4) | 品質要求が高い(仮説通り) | ||
| 日本企業は最終的な品質だけでなく、中間品質にも完全性を求めている。また、発注元の管
理方法を押し付ける傾向がある。欧米企業は中間での管理方法についてはあまり口を出さない。 | |||
| (5) | 案件ベースの発注であり、運用、保守を含めた連携が出来ていない(仮説通り) | ||
| 日本企業からの発注は、ほとんどが案件ベースで、試行期間も長い傾向にある。日本企業は
オフショア先を単なる開発の受託先と考えている。欧米企業は、継続性が高く、試行プロジェ
クトから本格的なプロジェクトへの移行も早い。パートナーとして共同で業務を進める場合が
多く、システム開発から運用までをアウトソースしている。契約形態としてはODC(Offshore
Development Center)契約が主体となる。 | |||
| (6) | 開発プロセス定義と徹底度合い | ||
| 日本企業は、ウォーターフォール型で開発を行い中間工程でも完全性を求めている。欧米企
業はスパイラル型での開発が主体である。 | |||
| (7) | コミュニケーションの難易度 | ||
| 日本企業は、日本語でのコミュニケーションを要求している。委託先も努力はしているが、
日本企業も英語を習得して欲しいとの要望があった。 | |||
| 2.3.2 今回の調査で判った事項 | |||
| 今回の調査へのベンダー側の対応は、主にマネージャクラスによるものであったからかもし れないが、技術的なことよりもパートナーシップ、マネージメントの観点のものが多くみられた。 | |||
| (1) | スピードが遅い度 | ||
| 欧米に比べて意思決定スピードが遅いことを、複数ベンダーから指摘された。特に、
・オフショア推進:初期の試行から本格的プロジェクトへの移行が遅い
・仕様変更:仕様変更の多さというよりも仕様変更の実施可否の決断が遅い。
ベンダー側も日本の意思決定が利害関連者との調整で進められることは理解しつつも、この
スピードの遅さに苦しんでいることがうかがわれた。。 | |||
| (2) | 品質に関して完全性を追求される | ||
| ビジネス上十分な品質以上の品質を求められているとベンダー側は感じている。
工程フェーズ毎の中間品質の評価も詳細すぎる(厳しすぎる)と感じている。 | |||
| (3) | 開発プロセスのウォーターフォール度が強い | ||
| 欧米からはスパイラル度が高い開発方法を要求されることがあるのに対して、日本からはウ
ォーターフォールをベースとする開発方法を常に求められる。一部のベンダーでは、短期間(2
〜4 週間)サイクル開発を繰り返すアジャイル開発に挑戦している。 | |||
| (4) | 保守作業までやらないとプロジェクトが継続しない | ||
| 欧米からはスパイラル度が高い開発方法を要求されることがあるのに対して、日本からはウ
ォーターフォールをベースとする開発方法を常に求められる。一部のベンダーでは、短期間(2
〜4 週間)サイクル開発を繰り返すアジャイル開発に挑戦している。 | |||
| (5) | 開発プロセスのウォーターフォール度が強い | ||
| 欧米からはメンテナンス作業がベースとして多く、その上に新規開発作業が加わる。そのた
め、人材確保、技術者へのドメイン知識蓄積などの面で安定できる。日本からは単発の新規プ
ロジェクトが多く、技術者としては興味をひくが、継続的に安定的な関係を結ぶのが難しい。 | |||
| 2.4 提言 | |||
| 2.4.1 日本IT 企業への提言 | |||
| (1) | グローバル企業の手法と異なることの自覚 | ||
| 日本のやり方は、日本国内でのビジネスに要求されること、日本社会構造に根ざすことなど
によって、ある妥当性を持って培われてきたものである。欧米のやり方についても同様である。 ここで大切なのは、欧米のやり方がグローバルとして認知されていて、日本のやり方が日本 固有のものとみなされている点である。欧米のやり方については、当然プレーヤーの数・規模 が膨大であり、その経験・人材は日本のやり方に比べて豊富になる。現在は、中国ベンダーが 日本企業を主要顧客として重要視しているため目立たないが、それが崩れたときには、日本固 有のやり方をオフショアで実施することは、高コストとなることを覚悟する必要がある。 | |||
| (2) | グローバル化戦略の明確化 | ||
| 現在の日本IT 産業は極端な輸入超過であり、グローバルマーケットへの大きな進出の目途
はたっていない。また、IT 企業に限ったことではないが、企業内部においても人材面などグロ
ーバル化は遅れている。 個々のIT 企業において、そのグローバル戦略を明確化し、グローバル化を進めるなら、ア ウトソースの使い方も含めて企業内のグローバル化も同時に推進すべきと考える。ソフトウェ アはハードウェアと異なり、マーケティングにおいても開発においても、「人」依存の度合いが 大きく、企業内のグローバル化なしにグローバルマーケットへの進出というのは考えにくい。 例えば、「外国籍技術者を含む社内人材の多様化」、「グローバルに適した場所への各種拠点設立」 が考えられる。 | |||
| 2.4.2 政府への提言 | |||
| グローバルに通用するIT 技術を日本で育成する必要がある。 グリーンIT、SaaS(Software as a Service)/PaaS(Platform as a Service)などの新技 術を、公共系で実プロジェクト検証できる機会を設けることにより、グローバルに横展開でき る技術を、IT 企業が蓄積できるようにすることが必要である。 それにより、IT 企業のグローバル進出を後押しし、オフショア拠点を含むIT 企業のグロー バル化も推進されると考える。 | |||
| 3.今後の活動 | |||
| 日本のIT 企業におけるソフトウェアの効果的なオフショア活用を推進するために、オフシ ョア開発及びリソースの実態調査としてオフショア活用に成功している欧米企業とオフショア 先(インド、ベトナム)の調査を実施してきた。 2009 年度は、更にはそれらの情報を基にニアショア活用の実態調査として、中国(内陸部)、 日本の地方都市ソフトウェアベンダーの調査も含め、今後5 年〜10 年後のオフショア活用のあ り方を探り、日本企業がオフショアを積極的に推進する際に「IT 企業が講ずべき方策」、「日本 として講ずべき政策」等について提言する。 | |||