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情産-17-情端-5 端末装置に関する調査報告書

■ エグゼクティブサマリ ■
1.金融端末装置に関する調査報告

 金融端末装置の出荷統計は,1978年度より実施され,本年度で39年目になる。自主統計参加8社により,基幹系業務端末7機種について,四半期毎に出荷台数,出荷額の統計を採り,これらの統計データと市場動向を基にした製品分野毎の分析や今後の出荷見通し調査を行っている。
 また,ソフトウェアやソリューションサービスにおいては,自主統計参加7社により専用端末系/業務系計7種のソフトウェアについて半期毎の出荷額の統計を採り,上記装置出荷統計と併せて製品分野毎の分析や今後の出荷見通し調査を実施するなど充実を図っている。

 2016年度の金融端末装置全体の国内出荷実績は,ハードウェア,ソフトウェア合計で,約1,171億円(前年度比102%)であった。そのうちハードウェアが台数で,約73,900台(前年度比99%),金額で約903億円(前年度比101%),ソフトウェアが約267億円(前年度比106%)であった。
 ハードウェアの出荷台数は,テラーズマシンとATM/CDの出荷減少に伴って,前年度を若干下回る結果となった。一方,出荷金額については,現金処理機の大口の新規及びリプレース需要の下支えもあり,前年度を若干上回る結果となった。
 ソフトウェアの出荷金額は,専用端末ソフトと業務系ソフトがともに前年度より増加した。これにより,出荷金額に占めるソフトウェア比率は23%(前年度22%)となった。

 2016年度は,前年度に引き続き円安を背景とした企業収益の拡大が見られたものの,日銀によるマイナス金利政策の影響から金融機関のシステム投資抑制もあり,更改需要を中心にほぼ横ばいであった。
 2017年度は,端末により差はあるが,ハードウェア,ソフトウェア合計で出荷金額は少なからず減少するものと見込んでいる。但し,端末更改需要の時期や規模等の変動要素があり,今後の需要予測については増減する可能性がある。

 さらに,今後の金融端末市場に影響がありそうな以下のテーマを抽出し,調査・研究を実施した。
 ・ICカードの普及に関する最新状況の調査
 ・通帳及び金融ICカードに関する最新動向の調査
 ・フィンテックに関する最新動向の調査
 ・ロボットによる新しいサービスへのシフトの調査

 今後の課題としては, 4ヶ年出荷見通し調査・分析の精度向上が挙げられる。特定金融機関のリプレース特需や単価の下落傾向等,予測の難しい要素がある中,自主統計参加各社から寄せられるアンケート調査結果をどう分析し,次年度以降の予測精度を上げるかが課題となろう。
 近年,ハードウェアやソフトウェア技術の向上により専用機器から汎用端末に置き換えられるものもある。統計対象についても提供される金融サービスの変化と共に,使用されるハードウェア・ソフトウェアも様変わりしてきているため,見直す時期に来ていると思われる。併せて,フィンテックの進展をどのように位置付けし,統計に反映させていくのかも今後の課題である。
 このように多様化するサービス・製品及び社会・経済環境に対して金融端末専門委員会としても柔軟な体制で臨み,他委員会との交流も含め,更なる市場調査の拡充を行う必要が出てくるであろう。これらの調査結果が今後の金融端末の方向性を示唆するとともに,金融並びに提携業界の連携を推進する一助となるものと確信する。


2.流通POS端末装置に関する調査報告

 流通POS端末専門委員会では,流通業界を取巻く経済・社会状況を把握する中,流通POS及び周辺機器の技術動向の調査とともに,店舗におけるPOSの運用やソフトウェア動向,社会システム動向等の調査・研究を行っている。

 2016年度の日本経済は,雇用・所得面では有効求人倍率が上昇し,失業率が低下しているほか,総雇用者所得もプラスで推移しており,海外経済や国際金融資本市場の不確実性に留意が必要な状況ではあるが,環境の改善が進む中で緩やかな回復基調が続いている。このように雇用・所得が改善を見せる中,個人消費や民間設備投資の回復はやや力強さを欠いており,家計や企業が明るい展望を抱くことが出来るような環境を整備していくことが重要と考えられる。
 流通小売業界においては,スマートフォン活用やオムニチャネルといったソリューションにより消費者の需要をより的確につかみ,リアル店舗とECサイトの融合による売上増やリピート率アップの取組みが進捗している。POSシステムにおける販売時点情報に含まれる顧客購買履歴,ポイント,決済といった情報がより重要となっていることを窺い知ることができる。

 POSシステム市場における2016年度のPOS端末出荷台数実績は約14.7万台となり前年度比97%という結果となった。前年度比ではマイナスとなったが2008年〜2014年度の7年間で出荷台数が14万台を上回った実績はなく,前年度(15.1万台)の好調を維持していると考えられる。今回の結果は2000年対策のリプレースで17万台規模が出荷された2006年度および2007年度から9〜10年が経過し,リプレースの周期が訪れたことに加え軽減税率の補助金による買い替え需要が起因したものと窺える。
 POS端末出荷単価実績は約28.4万円となり,2015年度に対し101%の結果となった。前年度と比較すると横這いという結果になったが過去10年間をマクロ的に捉えると下落傾向は継続していると読み取れる。POS端末出荷台数全体に占めるPC系POS出荷台数の割合は87%であった。2005年度以降は8割以上で推移しており,安定して高い割合を保っていることが読み取れる。

 POS端末の今後の出荷見通しは,2017〜2019年度にかけては好調維持で推移すると見通している。
この背景には軽減税率対応やクレジットIC化対応および2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けたインフラ整備や決済方法の多様化と新規サービス拡大,インバウンド需要の増加等に伴うPOSシステムの更新が促進されると見込んでいることが窺える。
 また商品スキャンと精算機を別々に設置して,回転率の向上を図ったセミセルフ方式のレジ導入実績が前年に続き増加してきている。キャッシャーの人手不足対策としてセルフPOSの需要が高まってきていることが窺える。
 PC系POSの出荷台数比率はPOS端末全体に占める約9割をPC系POSが占めている状況であり,この傾向は2017年度以降も同様に2021年度まで継続していくと見通された。
搭載OSとしてはWindows系OSがPC系POSの主流であり,2017年度以降も継続して90%を超えた構成比率が継続する見通し結果となった。OPOSをはじめとしたWindows開発環境の優位性や既存アプリケーション資産の流用を重視する傾向は今後も継続していくと見込まれていることが窺える。
 2016年度のカード決済端末の出荷台数は約182千台となり,2015年度の約166千台と比較して約16千台の増加,伸長率は121%となった。前年度とほぼ同じ伸長率で増加傾向となっており,カード決済端末に対する入れ替え需要が継続していることが窺える。これは外国人観光客によるインバウンド需要の増大が広く認識され,カード決済端末の新規・追加導入を行う小売店が増加したことと,業界全体でICカードクレジットによるセキュリティ対策の必要性が周知されつつあることが増加要因として窺える。

 POS端末装置保守状況調査は,自主統計参加会社11社に対して実施,9社からアンケートの回答を得た。これは前回2014年度調査における回答会社数の割合とほぼ同様であり,調査結果は国内のPOS端末における保守の動向を示しているといえる。
 2016年度の調査結果は大枠では2014年度と同様の結果が見られたが,傾向としての変化が見られたのは主に以下5点
 ・保守の一部をユーザー自身で修理を行う傾向
 ・課金時間の基準を設けないなどサービス向上に努めている会社が多くなっている傾向
 ・基準として明確化しやすい「納品日」を無償保証期間の開始日としている会社が多くなっている傾向
 ・定期保守契約料金に「出張料」「技術料」を含め顧客満足度向上に努める傾向
 ・ユニット部品化により,保守部品コスト削減に努めている傾向

 PC系POS端末アプリケーション調査は隔年で今年度の調査はないが,POSシステムにおけるアプリケーション動向把握の重要性の観点から調査を継続している。

 委員会としては,今後も引き続きPOS端末装置だけではなく,POS周辺機器,及びそれらをとりまくアプリケーションや決済等の社会システムなど全てを包含した議論を重ねる中,今後予想される店舗形態の在り方についても討議を深め,的確な情報発信に努めていく所存である。
 流通業界を取巻く環境は依然として厳しい状況ではあるが,本報告書の内容は流通POS開発に関わる方々,および流通業界の方々の参考になるものと確信している。


3.ハンディターミナルに関する調査報告

2.1 2016年の市場規模

 ハンディターミナルは携帯型の特長を活かし,データの発生時点での収集並びに処理ができることから流通,運輸,製造等のあらゆる業種で活用され,業務の省力化・効率化の促進に貢献してきた。
 装置の機能に関しては利用者側から各業務に最適な機器の要求があり,装置開発メーカも利用者の要求を満たすべく携帯性を追求する中で,高い耐環境性能,大画面液晶,大容量メモリ,近距離無線通信機能,広域無線通信機能,通話機能,NFCリーダライタ機能,RFIDリーダライタ機能等の搭載が進んでいる。
 近年ではハンディターミナルに加えて,スマートフォン,タブレット端末等の携帯端末が業務利用されており,またハンディターミナルの業務範囲も広がりつつある。

 2016年度(平成28年度)のハンディターミナルの出荷実績は,2015年度(平成27年度)と比較して,国内向け出荷では台数で24%減少し,金額では34%減少した。また,輸出では台数で6%減少し,金額では5%減少であった。
 各カテゴリ別にみると,スキャナ一体型の国内向け出荷は,台数で24%減少し,金額では39%減少した。輸出は,台数で6%減少し,金額では3%減少した。
 標準型の国内向け出荷は,台数で28%減少し,金額でも15%減少した。
 ノートパッド型の国内向け出荷は,台数で15%減少し,金額でも23%減少した。

 2016年度出荷実績と比較した2017年度以降4ヵ年の見通しは,スキャナ一体型の国内向け出荷台数は増加し,その後微増傾向が続くと見通した。
 標準型の国内向け出荷台数は,微減傾向から横ばいに推移すると見通した。
 ノートパッド型の国内向け出荷台数は,微減傾向が続くと見通した。



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