Japan Electronics and Information Technology Association
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電子部品の変遷


能動素子の変遷 実装技術の変遷 電子部品の開発動向 形状変遷

1 能動素子の変遷

1-1 真空管の時代(1945年頃から1960年にかけて)

真空管の特徴
 この時代の能動素子は真空管であった。当時、米軍の開発した軍事用真空管は2,300種にも達したという。形状もST管、GT管、MT管、エーコン管などがあった。このうち民生用に使用された真空管はほんのわずかで、スーパー・ラジオ、ポータブル・ラジオから初期の白黒テレビやカラー・テレビに使用されている。
 代表的な真空管のサイズは「6C6」の場合で高さ約125mm、直径約38mm、直流250Vと交流約6.3Vの2電源、2mAないし30mAでスイッチON後ヒータ加熱まで20秒ぐらいかかった。
 また、真空管は、発熱が激しく、ガラス管は非常に高温になった。

1-2 トランジスタの時代(1955年頃から1980年にかけて)

トランジスタの特徴(代表例)
 この時代の能動素子はトランジスタである。しかしながら、真空管からトランジスタヘのシフトは、簡単に行われたわけではない。開発当初のトランジスタは雑音が多く、高周波特性も極めて悪く、多くの技術者は使用できるのか懐疑的でさえあった。真空管と比較して、最大の魅力は低電圧で低消費電力ということであった。このような中で次第に頭角を現し、民生用応用機器としてトランジスタ・ラジオやテープレコーダ、ラジカセ、VTRなどに使用された。代表的な初期のトランジスタ「T0-1」は直径 5〜6mm、ケース長 8〜10mm、リード長 30〜50mm、約10Vの直流1電源、数mAでスイッチON後すぐ動作し、真空管に比べて発熱は、ほとんどなかった。

1-3 ICの時代(1960年以降)

ICの特徴(代表例)
 トランジスタが登場して電子機器は大きく発展したが、その規模が増大するにつれ、実装で行き詰まり状態になりつつあった。このような中で、ICが登場してきたのである。だが、実際にICが採用されるようになるまでには課題が多く、解決に時間が必要であった。このICに劇的な変化をもたらしたのは驚異的な低消費電力動作可能なC-MOSという基本回路である。このC-MOS ICは、民生用電子機器では、電卓、デジタル腕時計などから用いられ始めた。1990年になると、その応用範囲は広がりCD、DVD、デジカメ、パソコン、携帯電話などを生み出した。ICは当初、規模の小さいSSICからMSI、LSIやがてULSI(論理回路はASICかASSP)となり、2010年頃にはなんとデジタルTVがワンチップ(約10億素子)の時代になるという。このICの実用化に伴い電子部品の大きな発展があった。代表的なDIPパッケージは初期の「18ピン・プラスチックDIP」の場合で長さ約22.6mm、幅約6.4mm、高さ約4.6mm、1Vないし5Vの1電源、素子あたり数nAである。スイッチON後すぐ動作し、通常の動作ではまったく発熱しない。だが、高速化とともに発熱が問題となってきた。


2 実装技術の変遷

2-1 真空管の時代(1945年頃から1960年にかけて)

 この時代の実装は電子部品をべ一クライト・ラグ板へ取り付け、配線は銅細線をエンパイヤ・チューブに通した空中配線を採用していた。真空管の消費電力が大きく、また、トランスの重量が特に重く、筐体は頑丈に作られている。

2-2 トランジスタの時代(1955年頃から1980年にかけて)

 1954年にアキシャル・リード部品用自動搭載機が開発され、プリント基板実装が可能となった。間もなく、より高能率な自動搭載機が次々に開発されていった。やがて、この実装技術は1970年代の代表的な民生用電子機器であるトランジスタ・ラジオやテレビ、電卓などに次々に採用されていった。これらをスルーホール技術(THT)と呼んでいる。

2-3 ICの時代(1960年以降)

 ICの導入により、やがて実装に大きな革命が起こった。この実装技術は表面実装技術(SMT)と呼ばれている。このSMT採用のプリント基板はあらゆるデジタル電子機器に採用されていった。今後更に実装技術はチップ・オン・ボード技術(COB)へと発展しくだろう。


3 電子部品の開発動向

3-1 真空管の時代(1945年頃から1960年にかけて)

受動部品
 この時代の受動部品は真空管を使用しているため、すべて耐圧が高く、形状は非常に大きかった。また、初期の電子機器は短波放送ぐらいまでであったが、やがて、テレビの時代となり、高周波特性を出すために受動部品の高周波対応研究が盛んに進められていった。
代表的な抵抗器
 当時の高周波、低周波増幅回路にはL型炭素皮膜抵抗器やソリッド抵抗器が、電源回路には酸化金属皮膜抵抗器、ホーロー抵抗器が一般的に使用されていた。真空管の関係で抵抗器の耐圧は高く、消費電力は大きかった。音量調整にはスイッチ付ボリウムが用いられていた。
代表的なコンデンサ
 同調回路にはエア・バリコンやチューナ、高周波増幅回路にはマイカ・コンデンサ、低周波増幅回路にはカップリングやデカップリング用としてぺ一パー・コンデンサ、そして、電源用には、オイル・コンデンサやアルミ電解コンデンサが使用されていた。
 コンデンサの耐圧も真空管の関係で高かった。
代表的なコイル
 高周波同調回路には高周波コイルが、電源回路などにはチョーク・コイルが用いられていた。
変換部品
 中間周波にはIFTが、電源回路には電源トランスが用いられていた。電源トランスは非常に重く形状も大きなものであった。スピーカはアウトプット・トランス付のダイナミック型であった。
接続部品
 当時の電子機器製品は外部との接続を必要としなかった。必要なのは寿命のある真空管交換用ソケットと、アンテナ端子電子部品の故障で良く飛ぶ電源ヒューズ・ホルダぐらいであった。

3-2 トランジスタの時代(1955年頃から1980年にかけて)

受動部品
 この時代、電子部品には大きな変化があった。それは電子機器の動作電圧ならびに消費電力がトランスタの導入により劇的に削減されたことである。これにより受動部品の形状の小形化が可能となった。 この小形化が一層の電子機器の小形化に拍車をかけたといえる。
代表的な抵抗器
 小形P型炭素皮膜抵抗器、小形酸化皮膜抵抗器などが開発されている。形状は真空管時代と比較して一挙に1/10となった。そして、1977年にはチップ抵抗器が開発されている。
代表的なコンデンサ
 同調回路用としてポリバリコンが開発されている。増幅回路用コンデンサとして大きく発展したのはフィルム・コンデンサとセラミック・コンデンサであった。いずれも特性に優れ、小形であり電子機器の要求にマッチしていた。
 電源回路用には小形のタンタル・コンデンサと小形の電解コンデンサが登場している。
代表的なコイル
 アンテナ用としてロッド・フェライト・コイルが開発されている。この時代、同調回路に大きな変化があり、電子同調が登場している。
変換部品
 ラジオやテレビ用小形IFTの需要が急増している。この頃、FMラジオやテレビ用セラミック・フイルタ、セラミック振動子が登場している。スピーカはトランジスタ・ラジオ向けの超小形スピーカの開発、トランジスタの採用により回路的にアウトプット・トランスが不要となりスピーカから取り除かれた。また、ラジカセやポータブルカセット用磁気ヘッド材料の開発が進んだのもこの頃である。更に、ラジカセやポータブルカセットを支えたのが高性能モータであった。
 大きな技術変化として電源がドロッパー電源からスイッチング電源へ、フィルタではCR、LCフィルタ以上の性能をもつセラミック・フィルタやSAWフイルタが登場してきた。
接続部品
 各種電子機器にプリント基板が採用され、プリント基板用コネクタに需要が伸びている。この他に、テレビに用いられるアンテナ端子やカラー・ブラウン管用ソケット、イヤホン用プラグ、ジャックなどのように次第に外部との接続コネクタが付くようになってきた。イヤホンはトランジスタ・ラジオにも用いらている。

3-3 ICの時代(1960年以降)

受動部品
 このIC時代、まずアナログ音声をデジタル処理するようになってきた。このため、従来の受動部品のほとんどがICに内蔵されるようになり、受動部品に変化が起こり始めている。アナログ回路のIC化が困難であるため、特に注目されたのが高周波電子部品であった。更に、IC周辺回路用に受動部品の新しい需要があったが、やがてこの分野もIC化されるであろう。
 1980年代になると、画像領域のデジタル化も可能となり一層のIC化に拍車がかかった。これに代わり、新しい電子部品の応用としてEMI関連や安全部品、センサ用の受動部品が注目されるようになってきた。
代表的な抵抗器
 抵抗器のほとんどがIC内蔵となるが、インターフェイス用のネットワーク抵抗が、プル・アップ、プル・ダウンおよびインピーダンス・マッチングなどに使用されており、この分野ではハイブリッド化が進んでいる。
 アナログ回路では増幅回路の周辺にチップ抵抗器が使用されている。形状は過去50年間のうちに0.6×0.3mmで何と1/10000になってきた。最近は、電源用低抵抗抵抗器や超精密抵抗器、デジタル機器用半固定抵抗器などが注目されている。
 音量調整用のボリウムはリモコン時代にはICによるアップ・ダウン方式となり、大きく姿を変えている。
代表的なコンデンサ
 積層セラミック、タンタル、アルミ電解のチップ・コンデンサが次々に誕生している。コンデンサはデジタル機器の中でEMI部品として、またスイッチング電源部品として注目されている。更に、その延長線として、チップ・トリマやLCチップ・フィルタも開発された。
代表的なコイル
 コイルも超小形化が進み、巻線タイプやフェライト・タイプの厚膜、薄膜チップ・コイルが登場してきた。
変換部品
 SAWフィルタの開発、積層フィルタのチップ化が進み、携帯端末の発展に寄与した。また、スイッチング電源用トランスの小形化が進められた。磁気ヘッドはパーマロイ・ヘッドから薄膜ヘッドとなり、モータ軸受にも大きな技術的発展があった。この頃から磁気テープに代わって磁気ディスクや光ディスクが注目され、CD、MD用の変換部品が登場している。
接続部品
 デジタル機器用の各種コネクタやプラグ、ジャック、タクティール・スイッチなどが次々に開発されていった。更に、キーボードやジョイ・スティック、PCカード用コネクタ、USB、IEEE1394コネクタ、光ファイバ・コネクタなどが登場している。


4 形状変遷

4-1 受動部品

抵抗器、コンデンサ、コイルのイメージ的形状変遷

抵抗器、コンデンサ、コイルの形状変遷


 スルーホール時代(1950年代〜1970年代)

 表面実装時代(1970年以降)

4-2 変換部品

記憶媒体の形状変遷



スピーカ、チューナ、モータ、電源の形状変遷




4-3 接続部品

接続部品の形状変遷







「電子部品技術史」(EIAJ 1999.5)より抜粋