3. WHOの見解 ( Fact Sheet 201より抜粋 )
Fact Sheet 201とは:
WHOの国際EMFプロジェクトが1998年7月に発行した「表示装置と人の健康」に関するWHOの公式見解です。
妊娠への悪影響:
眼への影響:
皮膚への影響:
ほかの因子:
以上の結論は国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)、国際労働機関(ILO)及びWHOによる検討結果とー致しています。
防護対策:
健康への関心:
職場にVDUが導入された当初、VDUは頭痛、めまい、疲労、白内障、異常妊娠、皮膚発疹といった多くの健康障害を引き起こす原因ではないかと懸念されました。
これを受けて、電磁界(EMF)が何らかの健康影響をもたらすのではないかと多くの科学研究が行われました。
室内空気汚染、職務に伴うストレス、VDU使用時の姿勢や腰掛け方といった人間工学的問題などを含めて,原因となる因子をWHOや他の研究機関が検討しました。その結果(詳細は以下を参照)、VDU作業に関連した健康影響の決定因子は、VDUからの電磁界の発生そのものではなく、職場環境にあるだろうとの見解を述べています。以下に科学的な検討結果の概要を示します。
北米、ヨーロッパ、オーストラリアでいくつかの妊娠異常を呈する集団(クラスタ)が認められ、VDU作業が妊娠に影響を与える可能性があるとの指摘が1970年代末に出されました。これらの集団(クラスタ)はVDU作業を行い、グループとしては奇形児出産や自然流産を異常な高頻度で経験していると思われる妊婦のグループでした。
これが多くの疫学研究と動物実験を北アメリカとヨーロッパで行わせる契機となりました。
これらの研究ではVDUからの電磁界曝露に起因する生殖過程へのいかなる影響をも見つけられませんでした。
しかしながら、もし生殖に影響を与えるとしたら、恐らくは仕事からもたらされるストレスといった、他の作業環境要因が関連しているのではないかという見解が示されました。
白内障や他の眼の疾病とVDU作業との間には何の関連も認められませんでした。しかし、VDUの表示画面のグレアや外光の反射が極端に大きい場合には、眼の疲労や頭痛の原因になることが分かっています。
発疹やかゆみといった皮膚症状の増加については、特にスカンジナビア諸国で研究されてきました。
しかしながら、これらの症状とVDUからの電磁界放射との関連を見いだすことは出来ませんでした。
こうした症状を持つ人々に対する再現実験(研究室での試験)によって、これらの症状は電磁界曝露とはなんら関係が無いことが分かりました。
研究者は室内作業環境に関連のある種々の因子についても検討しました。これには、室内空気の状態、室温、不適切な照明による眼の疲労、人間工学的に不適切な作業配置などが含まれます。
人によっては頭痛やめまい、筋・骨格系の不快を訴える事がありますが、VDU作業環境の適正化と人間工学的対策によって、これらの症状の多くは予防する事ができます。例えば、機器類の選定や照明、正しい姿勢を保ったり、筋や眼の疲労やストレスの原因となる緊張を少なくする様々な環境づくりがその対策に含まれます。
VDUから放射される電磁波による健康影響への不安は、健康影響の防護を目的とする多くの用品を生み出しました。VDU使用時のための防護エプロン、画面フィルタ、電磁波低減用品などがそうです。
しかし、もともとVDUからの電磁波放射などは各国の基準や国際的基準により許容された曝露限度値よりもはるかに低い値であるため、たとえこれらの用品を用いてさらに電磁波を低減させることができたとしても、実際的な意味はありません。
眼の疲労の原因となる画面のグレアを低減させる画面フィルタを除き、電磁波防護用品の使用をWHOは推奨していません。国際労働機構(ILO)も同様に電磁波放射の低減を目的とした防護用品の使用を推奨していません。
Fact Sheet 201の全文はこちらのWHOのホームページで参照できます。