環境広告に関するICC基準


 


1991年12月3日
第68回EXECTIVE  BOARD により適用
 
 

ICC 国際商業会議所
(INTERNATIONAL CHAMBER OF COMMERCE )
THE WORLD BYSINESS ORGANIZATION
38, COURS ALBERT 1ER-75008 PARIS,FRANCE
TEL(33)(1)49-53-28-28
FAX (33)(1)49-53-28-59

 PUBLICATION N 509
ISBN 92-842-1143-3
 
 

平成11年 2月28日
日本電子工業振興協会
 VDT対策専門委員会

はじめに(INTRODUCTION)
国際法や国内法の背景に対応して、自主規制によるICC国際広告実務規定は広告における高度な倫理基準を推進することの根拠として広く受け入れられている。この規定は広告の消費者や地域社会に対する社会的責任を承知しており、かつ自己規律の一つの基本的手段として作成されている。

ますます環境問題が重要になってきていることや、環境に対する主張を判断したり確認することが複雑になってきているので、自主的な規制の範囲の拡大とビジネス上の環境広告の責任ある使用を支援することを目的として、ICCは環境広告規定を作成することを決定した。
この時、「ICC環境ラベリング計画のポジションペーパー」とともに、「持続可能な開発のためのICCビジネス憲章」のみならず、国家規定や指針も、それらが適用されている場合は、考慮した。

環境用語の定義は国家間や産業界においても未だ確固たるものがなく、種々ばらばらである。そのため確定した定義はこの規定に含んでいない。しかし、ICCでの今後の仕事で、国際公告実務規定の将来版において、そのような定義を推奨できるかもしれない。

適用範囲(SCOPE OF THE CODE)
この規定は、すべてのメディアにおいて環境主張を含むすべての広告に適用される。
この規定は、生産、包装、運搬、使用/消費あるいは廃棄さらにサービスや施設(一団として名づけられた所産物)に関係する環境または生態面の分野において、顕在的にまたは潜在的に言及されるあらゆる形態の広告を網羅する。すなわち、あらゆる広告がこの規定によって網羅される。

「ICC広告実務規定」には本規定で特定されない項目があるので、この規定は「ICC広告実務規定」の延長版として見られるべきです。この「ICC環境広告規定」は下記のICC市場実務規定と共に読まれるべきである。


解説(INTERPRETATION)
この規定は文字づらのみならず、精神においても適用されなければならない。

基本原則(BASIC PRINCEPLES)
すべての環境広告は法に則り、品行方正で、誠実で事実でなければならない。それはまた、環境の法規制と必須要求事項と一致したものであるべきであり、ビジネス界で一般に受け入れられているような公正な競争の原則を遵守するべきである。
いかなる広告や主張も、生態実績を改善するためにビジネス界が行った努力に対して、人々の信頼を損なうようであってはならない。

規則(RULES)

誠実(HONESTY)

第1条   広告は、環境に対する消費者の関心を悪用したり、環境に対する知識が足りないことを利用するような形態ではあるべきではない。


行動様式(ENVIRONMENTAL BEHAVIOR)

第2条   広告は、法律、自主規制、または一般に受け入れられている責任ある環境行動基準に違反する行動を承認したり、奨励するために出すべきでない。


真実の表明(TRUTHFUL PRESENTATION)

第3条   広告は、環境側面や製品の優位性について、あるいは環境問題に熱心な広告主によって取られる行動について、いかなる方法においても消費者をミスリードする(誤った方向に導く)ような記述や表明を含むべきではない。
企業広告は特定の製品や活動について言及することができる。しかし、会社や、グループあるいは産業の全成果に及ぶということを正当性なしに暗示することはできない。
製品や行動が環境にまったく影響がない、または良い影響しか与えないということを暗示している「環境にやさしい」あるいは「生態に安全」といった表現は、非常に高度な証明基準が無ければ、使用されるべきではない。


科学的調査(SCIENTIFIC RESEARCH)

第4条   広告は厳格な科学的調査に裏打ちされた場合に、環境影響についての技術的表明や科学的調査結果の使用だけにすべきである。
環境専門用語や科学的用語は、消費者が容易に理解できるようなかたちで、関連付けられて使用されるならば、容認される。


証明書(TESTIMONIALS)

第5条   環境科学技術が急速に発展しているので、広告において環境主張を支持するために「証明書あるいは保証」を使用する場合には、製品仕様の変化や市場状況の変化により、その証明書が陳腐化していないことを特に注意して確認すべきである。


優位性(SUPERIORITY)

第6条   競合相手に対する環境に関する優位性は、顕著な強みが明らかにされた場合にのみ主張できる。

製品にはある有害な成分やある被害影響がないという基本に則り、その分野の製品にその有害な成分が含まれたり、その被害影響があることが明確である場合のみに、競合製品について言及することができる。


製品成分と要素(PRODUCT INGREDIENTS AND ELEMENTS)

第7条   環境主張は、その主張が正当に評価される以上に、「製品寿命サイクルにおける諸段階」やあるいは「製品の諸性能」に関与していることを暗示すべきではない。そして必要な個所には「どの段階か」また、「どの性能か」を明確に表示すべきである。
広告が、環境に被害影響を与える成分や要素を削減することを述べる場合は、何が削減されたかを明らかにされなければならない。もし、その環境に被害影響を与える成分や要素の代替品が有る場合、その代替品は顕著な生態改善をもたらさなければならない。


符号とシンボル(SIGNS AND SYMBOLS)

第8条   「環境符号やシンボル」はその出所がはっきりと示され、その意味に混乱がない場合にのみ、使用されるべきである。これらの「符号やシンボル」は、偽って公式承認を得ていると示唆すべきではない。


廃棄物回収再生と廃棄(WASTE COLLECTION RECYCLING AND DISPOSAL)

第9条   もし、提唱している回収、処理もしくは廃棄の方法が一般的に受け入れられているか、実現しているか、または有効性の範囲が正確に記述されている場合、廃棄物の分別、回収、処理または廃棄に関して、広告で記述することができる。


実証(SUBSTANTIATION)

第10条   立証可能な事実に関係する記述、主張あるいはイラストは、実証できるべきである。広告主は、国際広告実務規定の運営に責任ある自主規制機関に、即座に証拠を提供できるよう、そのような有効な実証を持つべきである。

 

                                                         [戻る]