情報処理機器用表示装置の静電気に関するガイドライン   JEIDA-G11-1996
および
情報処理機器用表示装置の低周波電磁界に関するガイドラインJEIDA-G-15-1996

 [ 概 要 ]

1.はじめに

  情報処理機器に使用される表示装置では、内部で使用している高電圧の影響で表示面が汚れることがあり、これを防止するために帯電防止処理が施されているものがあります。
また、表示装置から副次的に発生する電磁波は、ラジオ、テレビ等へ受信障害を与えるおそれがあるため、電源線から漏れ出す伝導性のノイズや筐体・ケーブルから空間に輻射されるノイズを低レベルに抑えています。
  近年、これらのほかに、表示装置では表示面の静電気や内部回路から漏れだす低周波の電磁波の人体への影響が懸念されています。低周波の電磁波に関して、諸外国および国際的な機関では、電磁波暴露基準の新規作成や既に発行されている基準の見直し作業が行われています。一方、人体への影響は世界の関係機関等で調査が進められていますが、まだ因果関係が明らかにされておらず、その検証には長時間を要するような状況にあります。
 表示装置の静電気や低周波電磁界(電磁波)は微弱なものであり、健康影響に関係するとは考えておりません。しかし、ユーザの中には、静電気や低周波電磁界による健康影響を気にする声があることは承知しており、そのようなユーザの要望に応えることもメーカの務めであることから、「VDTの安全性や性能の向上が目的ではなく、あくまでも電磁界による健康影響に関して不安を抱くユーザの要望に応えることを優先させて、より安心してもらえる製品を提供していく必要がある」と考え、(社)日本電子工業振興協会では、(社)日本事務機械工業会と協力して、静電気および低周波電磁界をより一層低減するために、本ガイドラインを作成しました。(静電気に関するガイドラインは1991年に、低周波電磁界は1993年に発行、1996年に一部修正。今後は国際的な動向に合わせて、それらと調和を図って改訂を行う可能性があります。)
 本ガイドラインを作成するにあたり、情報処理機器用表示装置の静電気・低周波電磁界の問題について、国内外の動向等を調査し、他のガイドライン等との調和を考慮しつつ、技術的、コスト的に実現可能なレベルでまとめました。
  暴露基準として医学的、科学的な調査・研究等に基づく世界保健機構(WHO)等の基準がありますが、本ガイドラインの静電気及び低周波電磁界の目標値としては、WHOなどの暴露基準から導かれる数値よりも低い値を設定しました。

2.適用範囲

 情報処理機器に使用される表示装置で、静電気および低周波電磁界を発生させるような表示装置に適用する。本ガイドラインの対象は、表示装置全般とする。(例えば、CRT
ディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイおよびその他の表示装置)
 なお、低周波電磁界に関して、28型を超える大型表示装置は、使用状態、視距離等を考慮し、本ガイドラインの適用を当面除外する。

3.目標値

(1)静電気

  表示面の静電気帯電は±500V以下であること。

(2)交流電界

  表示装置から放射される交流電界の限度値をつぎの表に示す。

交流電界の限度値(目標値)
  バンドT 
(5Hz〜2kHz) 
バンドU
(2kHz〜400kHz)
クラスT機器  50V/m 10V/m
クラスU機器 250V/m 10V/m

(3)交流磁界

  表示装置から放射される交流磁界の限度値をつぎの表に示す。
 

交流磁界の限度値(目標値)
バンドT 
(5Hz〜2kHz) 
バンドU
(2kHz〜400kHz)
クラスT機器
 およびクラスU機器
250nT(ナノテスラ)  25nT(ナノテスラ)

 
〔注〕
  クラスT機器,クラスU機器は安全に関する保護クラスによる機器分類である。
  詳細は、IEC 950 または JEIDA-37 「情報処理機器の安全規格」による。
 
 
 

                                                                                                   [戻る]