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 【 2001年4月号 】



 欧 州 動 向
   〜日仏の国家予算における産業技術開発投資と公共事業投資の比較〜


T.日仏の国家予算における産業技術開発投資と公共事業投資の比較

1.問題意識

 我が国政府の産業技術開発に投じる予算は、欧米主要国政府に比べて格段に少ない。表1に民間における研究開発に対する政府からの研究開発資金の支出(支援)割合を示すが、日本政府が産業技術開発に投入する予算は、欧米の“数分の1”に過ぎない。これは重要な事実でありながら意外と知られていないように思う。


表1:各国の民間研究開発における政府資金支出割合
国 名(調査年) 政府資金支出割合
日本  (1998) 3.8%
米国  (1998) 15.2%
ドイツ (1997) 24.5%(*)
フランス(1997) 10.7%
英国  (1998) 11.7%
(*)ドイツの値には政府研究機関が含まれる。
(出典:我が国の研究開発活動主要指標の動向
(工業技術院1999年版・2000年版))


 小生は産業保護主義者ではないし、必要以上に産業界が政府資金に甘えることは健全な産業発展にとって決して好ましいとは思わないが、IT産業をはじめとして多くの産業は今や国際競争の時代に入っており、欧米各国が自国産業の競争力強化に一定レベルの取り組みを行っている以上、少なくとも我が国企業に対してもこれら諸国と同レベルの産業技術開発投資を行い、競争条件(スタートラインあるいは発射台の高さ)を対等にすることは国の役割として不可欠であると思う。
 では、我が国政府の産業技術開発に投じる予算は、何故これほどまでに少ないのであろうか。小生は、
【我が国は公共事業に国家予算を投入しすぎ、製造業の産業競争力の強化のための産業技術開発への取り組みに“しわ寄せ”がきているのではないか】という仮説をもっている。我が国では、「10人に1人が建設業に従事している」と言われ、にわかには信じられない気もするが、実は本当の話である。統計で事実確認をしてみたが、表2に示すようにまさに「10人に1人」であり、小生自身あまりの建設業就業者の多さに改めて驚いた次第である。


表2:我が国の就業者数(1999年平均値)
全就業者数 6,462万人
うち 建設業 657万人(10.2%)
製造業 1,354万人(20.8%)
(出典:総務庁労働力調査)


 たしか、小学校か中学校の社会科で「日本は資源がないので“加工貿易”で成り立っている国である。」ということを習ったことを記憶している。“加工貿易”は当時の社会科のテストでよく出題されるキーワードであった。加工貿易という用語は最近あまり用いられないように思うが、我が国の状況は基本的には現在も同じであり、今風に言えば、「日本は先端技術分野を中心とした製造業による産業立国を目標としている」というところであろう。小生は、製造業(※)の活力の維持・向上こそ我が国が繁栄を続けるエネルギーの源泉であり、各種産業への国家予算の投入の中で、製造業の産業競争力強化、すなわち産業技術開発の促進こそ最も重要視するべきものと信じている。ただ、産業振興に国家予算を傾斜配分するといったような戦後の産業復興時のようなことを主張しているのでは なく、また公共事業をなくすべきというような極端なことを言っているわけでもない。単に、欧米主要国と同程度の資源配分、即ちせめて“人並み”のことをしないと、国際競争時代には生き残っていけないのではないかということを言っているにに過ぎない。


※ 各種公式統計等では、「情報処理サービス業」は「製造業」には含まれていないが、本稿では製造業を広い意味でとらえIT産業全てを含むものとして記述している。

 しかるに、表1から分かるように我が国の現実は“人並み”にはほど遠い。我が国経済を支えている製造業が10人に2人に過ぎないのに対して、何故建設業が10人に1人も存在しているのか。低成長時代に入った現在では、必要以上に低付加価値産業を抱えておく余裕はないはずである。先に述べた「我が国は公共事業に国家予算を投入しすぎ、製造業の産業競争力の強化のための産業技術開発への取り組みにしわ寄せがきているのではないか」という仮説については、実は、小生はかねてよりこの疑問をもっており、我が国と主要先進国の公共事業に対する取り組みを比較してみたいと考えていた。現在、小生はパリに駐在し、このITインダストリー・レポートに対して比較的自由にレポート課題を設定できる立場にあるため、今回はこの小生の仮説が実証できるかどうかをテーマに採り あげてみた。
 結論から先に言えば、我が国はフランスに比較して公共事業に国家予算を投入しすぎであり、これに対して産業技術開発に対する国家予算は非常に少ない、ということができる。
 実は、本仮説の検証は、当初、英・独・仏の3ヶ国について行ってみようと思ったが、必要なデータをまとめた適当な統計が見あたらず、結局各国の予算資料を分析するしかなかったわけであるが、各国の大蔵省がまとめる予算書の項目立てが、我が国のように「公共事業関係費」としてまとまっておらず、種々の予算項目の内数として分散してしまっているため、我が国の公共事業関係費に対応する予算を算出することは非常に困難である。このため、今回はフランスについてのみ調べることとした。当地の調査会社を用いて、日本の公共事業関係費に対応する予算費目をフランス側の詳細な予算書からピックアップし、曖昧な部分については逐一仏経済・財政・産業省に確認することによりデータを収集した。このため、本稿で用いるフランスの公共事業関係費のデータについては、完全に正確ではない可能性はあるが、概ね実際との相違はないものと思う。
 また、政府の公共事業への取り組みについては、国と地方自治体でも役割分担があり、各国によってその役割分担の仕方も異なるであろう。従って、真に政府が公共事業に投入する予算について論じるためには、国家予算だけではなく全ての地方自治体の予算も含めた国全体の予算の使途を分析する必要があるが、この調査は膨大な作業となり現在の小生の立場では不可能であるため、今回は日仏両国の「国家予算」のみを比較の対象とした。ただし、上記の仮説について論じ、読者の皆様方に問題提起をするには差し支えないものと考えている。
 なお、以下に取り扱うデータは、使用可能な各種データの共通年度として、原則として1997年の値を用いた。産業技術開発予算、公共事業予算の国家予算全体に占めるシェアは、年度によってそれほど変化しないと考えられるため、この点は特に問題はないと思われる。
 また、近年、我が国では経済対策のため累次の補正予算が組まれているが、本調査では通常ベースでの予算で比較するため、「当初予算」(補正予算は含まれていない)を用いた。このため、補正予算を以下の分析に組み込めば、近年の我が国の公共事業の割合はさらに高くなるものと考えられる。



2.産業技術開発投資

 まず、我が国と欧米主要国の産業技術開発投資の全体動向について概観してみる。


表3:各国の全研究開発費(産学官全体)の対GDP比率(1997年)
国 名 対GDP比
日本 3.8%
米国 2.71%
ドイツ 2.31%
フランス 2.26%
英国 1.87%
(出典:OECD)



表4:各国の全研究開発費(産学官全体)に占める政府資金支出割合(1997年)
国 名 全研究開発費
(国防研究費を含む)
民生用研究開発費
(国防研究費を除く)
日本 20.4% 19.5%
米国 29.7% 13.2%
ドイツ 36.2% 33.8%
フランス 42.4% 33.7%
英国 31.1% 19.5%
(出典:我が国の研究開発活動主要指標の動向(工業技術院2000年版))



表5:各国の政府支出研究開発費の対GDP比率(1997年)
国 名 対GDP比
日本 0.59%
米国 0.91%
ドイツ 0.86%
フランス 1.05%
英国 0.74%
(出典:OECD)


 表3より、我が国では産学官の国全体の研究開発については、単位経済規模当たりとしては欧米主要国と同等以上の研究開発投資がなされていることが分かる。しかし、表4より、この国全体の研究開発投資のうち政府が資金を支出している割合は、欧米主要国の30〜40%に対して我が国は20.4%に過ぎない。米・英・仏では政府支出研究開発費のうち国防研究費が一定の割合を占めるが、国防研究費を除いた民生用研究開発費で比較しても、我が国の19.5%に対して独・仏では33%強と政府支出割合が高い。なお、国防研究費は現実には軍事用と民生用のデュアル・ユースとして産業競争力の強化にも寄与しているため無視できない存在であることに留意する必要がある。この政府支出研究開発費の各国の経済規模に対する比率について見ても、表5に示すように、我が国は欧米主要国よりも経済力に比較して国全体の研究開発資金の政府支出割合が少ないことが分かる。
 表4及び表5より、そもそも我が国政府は国全体の研究開発に対する研究開発費の支出割合が欧米主要国よりも低いわけであるが、それでも、欧米主要国の支出割合との差は、全研究開発費に占める割合(表4)で1/2〜2/3、対GDP比率(表5)でも1/2〜1/5の差でしかない。しかし、表1より民間の研究開発に対する政府資金支出割合については、欧米主要国と我が国の差は数倍となってしまう。
 以上から、次のようなことが言えると考えられる。

【我が国では、国全体の研究開発としては、欧米主要国と同等以上の取り組みがなされているが、政府の研究開発投資が欧米主要国に比較して少なく、その政府資金も産学官のうち学(大学)と官(公的研究機関)に比較的多く配分されているため、民間に対する政府支援が欧米主要国に比較して極めて少なくなり、この結果我が国の民間企業は欧米企業よりも自己資金による研究開発投資を増やさざるを得ない状況となっている。】

 民間企業において、一般的に政府資金では自己資金に比較して比較的チャレンジングな研究開発に取り組めるものと考えられるため、我が国の政府支出割合の低さは、民間企業において取り組める研究開発の性格にも影響を与えかねないのではないかと小生は考えている。



3.公共事業投資との比較

 日仏両国の国家予算を表6に示す。フランスの人口は日本の人口の半分弱なので、両国の国家予算の規模は概ねバランスのとれた値である。


表6:日仏両国の国家予算(1997年度)
  日 本 フランス
国家予算総額 77兆3,900億円 32兆4,221億円
一般歳出
うち 公共事業関係費
45兆1,067億円
9兆7,447億円
24兆4,682億円
-
国債費 16兆8,023億円 7兆9,539億円(*)
地方交付税交付金 15兆4,810億円
(*)国債費及び税金還付。地方交付税交付金の相当する予算も本項目に含まれる。
(注)為替レートは1フラン=20.73円
(IMF:International Financial Statistics)


 表7に日仏両国の公共事業関係費を示す。公共事業の内訳(@〜H)は、日本の予算項目に合わせた。フランスの公共事業関係費は、各省の予算に分散計上しているため、日本の予算項目に合わせて再整理したものである。


表7:日仏両国の公共事業関係費(1997年度)
  日 本 フランス
公共事業関係費 9兆7,447億円
@,A,C,E,F合計 7兆1,565億円 1兆2,849億円
 
@治山治水対策事業費 1兆5,965億円 713億円
A道路整備事業費 2兆7,064億円 1,410億円
B港湾漁港空港整備事業費 1兆2,375億円
C住宅市街地対策事業費 45兆1,067億円 6,787億円
D下水道環境衛生等 1兆7,511億円
   施設整備費
E農業農村整備事業費 1兆2,282億円 1,102億円
F森林保全都市幹線鉄道等 3,879億円 2,837億円
   整備事業費
G調整費等 349億円
H災害復旧等事業費 677億円
(注)予算項目は日本の国家予算の項目に合わせた。


 公共事業関係費には、G調整費等とH災害復旧等対策費を除くと7つの主たる分野がある。このうち、フランスのB港湾漁港空港整備事業費に対応する予算としては、海港整備予算が12.2億円あるが、空港整備は地方自治体が行っているため国家予算には空港整備関係の予算が計上されていない。D下水道環境衛生等施設整備費については、フランスでは住民税、地租、水道料金の一部がこれに充てられるが、住民税、地租は我が国での地方税に相当するものであるため、国家予算にはこれに対応する費目は表れない。このため、以下の公共事業比率の計算においては、@治山治水対策事業費、A道路整備事業費、C住宅市街地対策事業費、E農業農村整備事業費、F森林保全都市幹線鉄道等整備事業費を用いることとし(以下、本稿において「主要公共事業」という。我が国の国家予算においては、主要公共事業の合計額は全公共事業関係費の73.4%を占める。)、B港湾漁港空港整備事業費、D下水道環境衛生等施設整備費、G調整費等、H災害復旧等対策費については、計算から除外することとした。


表8:日仏両国の国家予算における主要公共事業の比率
  日 本 フランス
国家予算総額比 9.3% 4.0% (=2.3 : 1)
一般歳出比 15.9% 5.3% (=3.0 : 1)
国債費 16兆8,023億円 7兆9,539億円(*)
地方交付税交付金 15兆4,810億円
(注)一般歳出=国家予算総額−国債費−地方交付税交付金


 表8に示すように、我が国の国家予算に占める主要公共事業の比率は、国家予算総額ベースでフランスの約2.3倍、国債費と地方交付税交付金を除いた一般歳出ベースでフランスの約3.0倍となる。フランスの国土面積は日本の1.46倍であり、本来はフランスの方が比率が高くなる要素があるはずであるが、日本の方がはるかに値が大きい。
 表7の中で、フランスの道路整備事業費が日本の5.2%に過ぎないのが象徴的である。これは、フランスでは1997年に道路整備に投入された全費用8,294億円のうち、65%がPFI方式により高速道路の経営権を取得した会社によりなされたものであり(フランスの高速道路は都市部を除き有料である)、国家予算らの道路整備への支出は全体の19%、地方自治体予算からの支出は16%を占めるに過ぎないためである。しかし、よく考えてみれば日本の高速道路も道路公団が通行料を徴収して整備しているものであり、国家予算には関係ないため、フランスと比較条件は同じはずである。日本の道路整備事業費2兆7,064億円は、一体何に使われているのであろうか。


表9:各国の土木建設費総額
日本 4,316億ドル(100.0%)
米国 2,410億ドル( 55.8%)
ドイツ 963億ドル( 22.3%)
フランス 637億ドル( 14.8%)
英国 445億ドル( 10.3%)
※( )内は日本を100%とした割合
(出典:「世界の統計」1999)


 表9は各国における土木建設費総額であり、国の公共事業投資の他、地方自治体、民間の投資が含まれるが、本表からも如何に日本の土木建設費が突出しているかが分かる。



4.所 見

 上記の分析より、「我が国は公共事業に国家予算を投入しすぎ、製造業の産業競争力の強化のための産業技術開発への取り組みにしわ寄せがきているのではないか」との仮説が成り立つのではないかと思う。もちろん、公共事業投資と産業技術開発投資には1対1の相関関係があるわけではないが、我が国の公共事業関係費は、社会保障関係費や防衛関係費など多額の支出を要する予算がある中で、一般歳出比で21.6%もの割合を占めており、他の予算を圧迫していることは数字が示す通りである。
 はじめにも述べたように、小生は日本の公共事業をなくすべきなどと極端なことを言っているのではなく、“欧米主要国並”にするべきと考えているだけであり、一方で、国際競争に直面する我が国製造業(ここではIT産業全体を含む)に対しては、対等な国際競争条件を整備するとの観点から、我が国政府の産業技術開発投資を現在の3〜4倍にするべきである。
 科学技術基本法に基づく科学技術基本計画では、1996年度から2000年度までの科学技術関係経費の総額を約17兆円に増額することが必要としており、これはこれで重要であるが、この議論は主として我が国の大学等の脆弱な研究開発体制の建て直しから発したものであり、産業技術開発への投資は依然として「貧弱」であり何ら改善がなされていないこと関係者は認識する必要がある。
 本来、旧大蔵省は千円単位の細かな数字の予算査定を行うのではなく、このような国家としてのマクロ的な予算資源の配分は如何にあるべきかということを政策対象とするべきであったと思う(あるいは、政策対象とはしていたが、各方面からの圧力によりシェアを変えられなかったということか。)。1月の省庁再編 後に成立した経済財政諮問会議では、予算編成の基本方針を策定するが、このような議論が行われるのであろうか。
 1980年代の終わり頃に、米国等から我が国に対して「基礎研究ただ乗り論」などの圧力があり、産業技術開発政策を促進しにくい時期があったが、現在では「WTO補助金協定」が成立し、加盟国が研究開発に国家予算を投じる際のルールが存在するため、本ルールに則る限り国の産業技術開発投資について何ら躊躇するべき制約はない。
 IT産業界は最も国際競争の渦中にいる産業であり、上記のようなバックデータ付きの理詰めの議論を喚起していくことが必要ではないか。これまでにも、経団連や旧電子協等の業界団体から政府に対して、民間企業への技術開発支援の強化の要望がなされているが、バックデータなしで単にIT産業等を振興してほしいと要望するだけでは、要望行為自体が年中行事的に見られるだけである。IT産業界として、我が国政府の予算配分がいかにいびつであり、産業競争力強化の取り組みがいかに脆弱であるかを根拠付きで客観的に明らかにし、我が国も早急に欧米主要国並の“普通の資源配分”を行うべきであるこを、政府に要望し、世の中に問うていくことが必要ではないかと思う。



U.産業動向

<欧州:2000年の欧州IT市場は13%の成長>
 欧州テクノロジー観測所(Eito)によると、欧州のIT市場は2000年に13%の成長を記録し、米国の8.2%と日本の6.7%を上回った。欧州市場は、2兆120億ユーロ規模で、世界市場の29%を占めている。

<欧州:次世代携帯電話設備受注状況>
 次世代携帯電話の事業者選定が終了した国では、携帯電話設備メーカの受注獲得合戦が繰り広げられてきたが、電気通信事業者側の設備納入業者の選択が一段落した(2月下旬現在)。
 最大の受注を得たのはエリクソン(スウェーデン)。エリクソンは、GSM(現行の携帯電話)で最大手である。次いで二位で並んでいるのが、ノキア(フィンランド)、独シーメンス、加ノーテルである。ノキアはGSMで第二位、シーメンスは第三位である。ノーテルはGSMでは大きな実績はなかったが、次世代携帯電話ではすでに21%のシェア(金額ベース)を奪い、ノキアに並んでいると発表している。エリクソンはトップではあるものの、全体としては、エリクソンの強さが弱まり、ノキアが伸長した形である。
 一方敗者としては、まず米ルーセントが上げられる。同社はマラブ(西テレフォニカの独子会社)の契約しか取れていない。またモトローラはテレフォニカと契約したが、フランス・テレコム、Tモビル(ドイツ・テレコム子会社)、ブリティッシュ・テレコム、エアテルで敗退した。アルカテルはフランス・テレコム及びTMN(ポルトガル・テレコム子会社)と契約を交わしたが、TモビルとSFR(ヴィヴェンディ子会社)の契約には失敗した。

<ベルギー:次世代携帯電話事業者選定、終了>
 ベルギー政府は、次世代携帯電話事業権を、プロクシムス(ベルギーのベルガコムと英ヴォダフォンの子会社)、モビスター(フランス・テレコム子会社)、蘭KPNの3社に割り当てた。入札は4つの事業権を対象としていたが、有力候補が次々と応札を断念し、結局3つの事業権が割り当てられるにとどまった。



V.政策動向

<EU:第6次フレームワーク計画の基本計画案が発表>
 EUの第6次フレームワーク計画(2003年−2006年)のアウトラインが2月21日、欧州委のビュスカン科学・研究担当委員から発表された。1998年−2002年をカバーする第5次計画の149億ユーロに対し、次期計画では総額175億ユーロが計上される。優先分野としては、ゲノムとバイオテクノロジー、情報社会の技術、ナノテクノロジー、航空宇宙、食品安全、持続的発展、知識向上の7つがあげられている。

<仏:マルチメディア研究ネットワークを設置>
 仏政府は、インターネットのコンテンツの開発のため、“Riam”と名付けられた新しい研究・技術イノベーション・ネットワークを設置した。研究・技術イノベーション・ネットワークとは、通信網のことではなく、産学官連携を通じて産業界の技術開発を支援するバーチャルな研究(支援)組織のことである。Riamの予算は1億3,500万フランで、最先端技術の普及のため、様々なインターネットのコンテンツの制作に関する技術開発(映画、アニメ、合成画像、電子出版、インターラクティヴ・ソフトウェア、人材育成、著作権保護、等)を支援することを目的としている。



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