
【 2001年10月号 】
J.英仏独の情報通信政策
1.はじめに
米国のIT施策については各国が注目していることもあり、比較的よく知られているかと思う。一方、欧州のIT政策は、EUのeEurope計画が有名であるが、個々の国でどのようなIT施策が採られてきたかは、意外と知られていないように思う。また、eEurope計画のみを見ていると、欧州委員会がEU諸国のIT政策を先導しているかのように見えるが、少なくとも小生が駐在しているフランスでは、eEurope計画とは別にフランス政府はIT政策に力を入れており、必ずしもeEurope計画が全てではないように感じられる。
このため、今回は英独仏で近年どのようなIT政策がとられてきたかを概観してみることにした。多くの読者の方々に興味深い内容かどうかは分からないが、何かの参考になることもあるのではないかと思う。なお、ここでは原則として首相がITを国家の重要政策として採り上げるなど、国全体としての取り組みを採り上げた。
2.各国のIT施策の概要
2.1 英国
1994年11月にIT政策ビジョンとして「未来の情報スーパーハイウェイの創造」が発表された。このビジョンにはプロジェクト等の個別施策は含まれていなかったが、その後、1995〜1996年に具体的な取り組みが開始された。中でも、1996年2月に発表された総合的プログラムである「情報社会イニシアティブ」が特筆される。このイニシアチブはいくつかのサブ・プログラムを有し、IT技術により英国の競争力の強化を目指した1996年2月の「ビジネスのための情報社会イニシアティブ」、一般市民へのITの普及を目指した1996年12月の「IT for All」が中心的施策であった。1996年末にはメージャー首相(当時)がITに関する基本的政策を発表した。
1997年5月にメージャー政権から現在のブレア政権に変わり、ブレア政権は情報社会イニシアティブを継続する意向を示したものの、1998年5月に政権独自のIT政策ビジョンとして「我々の情報時代、政府ビジョン」を発表した。このビジョンを更に深め、1998年12月に競争力白書において英産業の他の主要国との生産性の差を埋めるためIT国家目標を設定した。続いて、ブレア首相は内閣官房のパーフォーマンス・イノベーション・ユニットに、このIT国家目標の具体策として省庁横断的なIT戦略を検討・指揮するよう指示した。この結果、1999年9月に、ブレア首相が「e-commerce@its.best.uk」報告書においてIT国家戦略を発表した。このなかには60もの行動計画が含まれている。さらに、ブレア首相は、IT産業政策だけではなく、2000年3月に国民へのIT普及や行政の情報化についても政策目標を提示した。2000年9月には「UKオンライン」報告書が作成され、同時に「UKオンライン」キャンペーンが開始された。
現在は「UKオンライン」の名の下に各種施策が進められているところである。首相府や貿易産業省のホームページを見ると、一番上のタイトルの所にUKオンラインのロゴがあしらわれており、英政府のITへの注力振りがうかがわれる。
《 英IT政策の経緯 》 |
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◆ 1994年11月: |
「未来のスーパーハイウェイの創造−英国におけるブロードバンド通信の発展」政策ビジョンを発表 |
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◆ 1995年11月: |
教育・雇用省が「教育分野でのスーパーハイウェイ」政策を発表(教育の情報化) |
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◆ 1996年 2月: |
「情報社会イニシアティブ」を発表 |
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◆ 1996年 2月: |
貿易産業省が「ビジネスのための情報社会イニシアティブ」を発表(IT技術の活用による産業競争力の強化) |
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◆ 1996年10月: |
Central Information Technology Unitが「政府サービスの電子的利用に関する政府の指針」を発表(行政の情報化) |
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◆ 1996年12月: |
「IT for All」政策を発表(ITリテラシーの向上) |
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◆ 1996年末 : |
メージャー首相(当時)が「情報社会の構築−国家戦略」と題する報告書において、ITに関する基本的政策を発表 |
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・国民一人一人が新情報技術を理解し利用する。
・企業が新しいテクノロジーをフルに活用する。
・英国のIT、通信、マルチメディア各産業を発展させる。
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◆ 1998年 5月: |
ブレア首相が「我々の情報時代、政府ビジョン」と題する政策ビジョンを発表 |
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◆ 1998年12月: |
「我々の競争力ある未来−知識主導型経済の構築」と題する競争力白書において、“英国がグローバルなデジタル経済においてリーダシップを握る”という国家目標を設定 |
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・英国を2002年までに電子商取引のために世界最高の環境を有する国にする。
・英国の中小企業を、情報通信技術の利用において、G7の中で最高のレベルに引き上げる。
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◆ 1999年 9月: |
ブレア首相が「e-commerce@its.best.uk」と題する報告書において、英国を電子商取引のために世界最高の環境を有する国にする戦略を発表 |
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◆ 2000年 3月: |
ブレア首相が以下の政策目標を提示 |
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・全ての政府のサービスを2005年までにオンライン化する。
・インターネット接続を希望する者は全て2005年までにそれが持てるようにする。
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◆ 2000年 9月: |
「UKオンライン」を開始 |
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《 UKオンラインの目標 》 |
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・電子商取引の促進:英国を2002年までに電子商取引のために世界最高の環境を有する国にする。英国におけるB2B、B2Cの電子商取引の割合を他のG7諸国よりも高くする。 |
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・国民へのIT普及:インターネット接続を希望する者は全て2005年までにそれが持てるようにする。 |
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・中小企業のIT化:100万社のオンライン取引を行う中小企業を創造する。中小企業が電子商取引の利用で世界最高のレベルになるようにする |
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・行政の情報化:全ての政府のサービスを2005年までにオンライン化する。2002年までに中央政府の調達手続きを完全に電子化する。
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・産業競争力の強化:英国のIT産業、エレクトロニクス産業、通信産業、コンテンツ産業の競争力を強化する。 |
2.2 フランス
フランス政府は1994年にフランス・テレコム元総裁のジェラルド・テリー氏にIT政策について報告書の作成を依頼し、1994年9月に「フランスにおける情報ハイウェイ・サービス」報告書が提出された。本報告書では、光ファイバーへの国の大規模な投資を求めていたが、政府は同氏の提案の全てを採用しようとはしなかった。しかし、このレポートはフランス政府がITに目を向けた始まりとして注目される。その後、情報ハイウェイに関する研究開発施策やいくつかの報告書の提出はあったものの、ITが政府の重要政策として明確に登場したのは現在のジョスパン政権(社会党)に移行した1997年半ばになってからである。なお、フランスの政治形態は大統領制であるが、現在は大統領と首相(議会多数派)の政党が異なるコアビタスィオンの状況にあるため、内政は首相が主導権を握っており、このためIT政策も首相が主導している。
まず、1997年8月、ジョスパン首相はウルタンのサマー・コミュニケーション・キャンパスで、情報社会への参加の重要性を解き、IT国家戦略を策定することを表明した。こうして、1998年1月に「情報社会に向けた政府行動計画(PAGSI)」が策定された。本行動計画では、3つの国の役割と6つの優先分野が設定されている。1998年夏には、PAGSIを受けこれをさらに具体化した「情報社会に向けた省庁別行動計画(PAMSI)」が作成された。1999年1月及び2000年7月に第2回及び第3回の情報社会省庁間委員会が開催され、PAGSIの進捗状況を評価するとともに、ジョスパン首相がその後の重点施策を発表した。この間、1999年2月には、「情報社会におけるフランス」と題した特別メモにより、IT政策を強力に推進するジョスパン首相の決意が表明されている。2000年10月には、国家改革省庁間委員会で行政の情報化に関する政策が発表された。2001年4月には、産学の有識者からなる情報技術戦略委員会が立ち上げられた。この委員会は、米クリントン前大統領が設置したPITAC(Presidential Information Technologies Advisory Council)に倣ったものである。2001年7月には、国土整備開発省庁間委員会において、2005年を目途に全国民に高速通信網を利用可能とするブロードバンドに関する政策が発表された。
1998年1月のPAGSI及びその後2回(1999年1月,2000年7月)のジョスパン首相の発表によるPAGSI重点施策が現在のフランスのIT政策の中心であり、これに沿って各種施策が進められているところである。
《 仏IT政策の経緯 》
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◆ 1997年 8月:ジョスパン首相がIT国家戦略の策定計画を表明 |
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◆ 1998年 1月:第1回情報社会省庁間委員会を開催。「情報社会に向けた政府行動計画(PAGSI)」を発表。 |
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〜3つの国の役割〜 |
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・産業界や国民に情報社会の重要性を認識させる。
・法制度を整備する。
・公共サービスをIT化する。 |
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〜6つの優先分野〜 |
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@教育の情報化、A文化、B行政の情報化、C電子商取引及び産業界のIT利用の促進、Dイノベーション及び研究開発の促進、E法制度の整備 |
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◆1999年 1月:第2回情報社会省庁間委員会を開催。PAGSIの進捗状況を評価するとともに、ジョスパン首相が1999〜2000年のPAGSI重点施策を発表。 |
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◆1999年 2月:ジョスパン首相が「情報社会におけるフランス」と題した政府からの書簡(特別メモ)を発表。 |
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◆2000年 7月:第3回情報社会省庁間委員会を開催。PAGSIの進捗状況を評価するとともに、ジョスパン首相が2000年以降のPAGSI重点施策を発表。 |
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◆2000年10月:国家改革省庁間委員会で行政の情報化に関する政策を発表 |
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◆2001年 4月:情報技術戦略委員会を立ち上げ |
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◆2001年 7月:国土整備開発省庁間委員会でブロードバンドに関する政策を発表 |
《 2000年7月の重点施策の目標 》
〜デジタル・デバイドの解消〜 |
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@全国民にITをマスターする機会を提供 |
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・公共施設にIT設備とIT講習サービスを整備
・若者にマルチメディア・トレーナーとして4,000の雇用を創出
・生徒を対象としたインターネット&マルチメディア免状制度を創設
・2002年までに120万人の求職者に対してIT職業訓練を実施
・職業訓練センターにIT機器を設置
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Aインターネット接続の促進 |
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・教育機関へのインターネット接続を更に推進
・インターネット接続料金の低下のため加入者回線網を自由化
・民間企業から個人・団体へのIT機器の寄付を促進
・公共機関から団体へIT機器を寄付
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B均衡のとれた地域開発 |
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・地域における高速通信ネットワーク整備を促進。特に研究用については、地方自治体によるネットワーク・インフラへの投資条件を緩和。 |
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C南北間のデジタル・デバイドの解消 |
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〜将来に向けて〜 |
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DIT技術者の育成 |
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・高等教育を強化
・IT留学生及び国外技術者を優遇
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EIT分野の研究開発の強化 |
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・IT研究開発予算を拡充。INRIA(国立情報処理・自動化研究所)を拡大するとともに、CNRS(国立科学研究センター)に新たにIT部門を設置。
・教育/研究用ネットワークを高速化
・情報技術戦略委員会を設置
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2.3 ドイツ
ドイツ政府は1996年2月、「Info 2000」行動計画を発表した。この計画は、「ドイツは、情報社会に変貌することによってのみ、世界経済におけるその競争的立場を保持できる。」との考えに基づいており、12項目の政策目標を設定した。
1998年9月のシュレーダー政権の誕生後、同11月にシュレーダー首相は新しいIT国家戦略と行動計画を策定することを表明した。これを受けて約1年後の1999年9月に、連邦経済技術省と連邦教育研究省が「21世紀の情報社会におけるイノベーションと雇用」と題した総合的な行動計画を発表した。2000年9月には、シュレーダー首相が「Internet for All」と題した情報社会に向けての10ステップを発表した。2000年12月には21世紀の情報社会におけるイノベーションと雇用行動計画の進捗状況報告書が、2001年3月にはInternet for Allの進捗状況報告書がそれぞれ作成されている。
現在、「21世紀の情報社会におけるイノベーションと雇用」行動計画と、この流れの上にある「Internet for All」が独IT政策の中心となっている。一般国民向けには、シュレーダー政権のIT政策をPRし、多くのドイツ国民がインターネットを利用することを奨励するため、2000年9月に、「Germany is spelled .de(ドイツは.deと綴られる)」キャンペーンが開始された。
《 独IT政策の経緯 》
◆1996年 2月:「Info 2000−ドイツの情報社会への道」と題する行動計画を発表
◆1998年11月:シュレーダー首相が新しい国家戦略と行動計画の策定計画を表明
◆1999年 9月:連邦経済技術省と連邦教育研究省が「21世紀の情報社会におけるイノベーションと雇用」と題する行動計画を発表
・電子商取引等のインターネットの利用を促進するための法制度の整備
・ITイノベーションの促進
・国民へのインターネットの普及
・教育の情報化
・人材育成
・行政の情報化、
・ITインフラ整備
◆2000年 9月:シュレーダー首相が「Internet for All−情報社会に向けての10ステップ」を発表
◆2000年 9月:「Germany is spelled .de(ドイツは.deと綴られる)」キャンペーンを開始
《 Internet for Allの目標 》
〜情報社会に向けての10ステップ〜
・インターネット技能に関する教育を一般的な教育の一部とする
・学校・教育機関へのパソコンのスポンサーリング(提供)の促進
・失業者へのインターネット教育
・通信料金低下のための加入者回線分野での電気通信事業者間の競争の促進
・インターネットの個人利用の促進ための非課税措置
・“e-government”−“連邦オンライン2005”
・電子商取引の促進(法制度の整備)
・インターネットの安全性
・産業界の責任強化(自主規制)
・“.deutschland erneuern(ドイツを刷新する)”と名付けられたキャンペーンの実施
3.総括
EU全体を見渡した場合、早い国では1994年頃から国レベルでのIT戦略を発表している。1994年といえば、欧州委員会のバンゲマン報告書「欧州とグローバル情報社会」の発表や、米ゴア前副大統領によるNII構想に次ぐ「GII構想」の提案が行われた年である。上記の英仏独3ヶ国の中では、英独が共に1996年2月に国家戦略を打ち出している。ただし、1994年にビジョンを提示した英国の方がややIT政策への着手が早いように思われる。一方で、フランスの国家戦略は1998年であり、若干出遅れている。それでも、我が国の「e-Japan戦略」及びこれを具体化した「e-Japan重点計画」の策定は2001年に入ってからであり、国全体レベルでのIT政策への着手は欧州各国の方がはるかに早い。欧州は、いくつもの先進国が隣接しているため、政府の政策面でも各国政府が自国のメンツをかけて切磋琢磨しているようにも見える。
欧州のIT政策としては、EUのeEurope計画が有名であるが、EU加盟各国を個別に見てみると、eEurope計画に先んじて各国の取り組みがあり、これをまとめる形でeEurope計画が存在していることが分かる。
各国のIT国家戦略の内容は、国民へのIT普及、教育の情報化、人材育成、行政の情報化、産業界のIT利用の促進、電子商取引の促進、研究開発の促進等の産業競争力の強化を柱にすえている点で、概ね似たり寄ったりである。これは、各国に特別の特徴がないというよりも、各国は共通の課題に直面しているということである。
4.e-Japanに関する私見
先頃、我が国でも漸くIT国家戦略が策定された。IT政策自体は旧通産省、旧郵政省の時代から続いており、「e-Japan戦略」「e-Japan重点計画」の内容自体は、既に従来から取り組まれてきた政策の延長線上にあるものが多いが、国全体としての取り組みとしての姿勢を作ったことが重要である。あとは、かけ声だけではなく本当に国家の資源配分を公共事業ではなくITに少しでも移していけるかどうかがポイントであろう。
「e-Japan戦略」「e-Japan重点計画」の内容は、概ね英仏独の国家戦略と同様であるが、敢えて小生の私見を述べれば2点気になる点がある。
先ず、ITには、@IT技術を利用していく面と、AIT技術を生み出していく面がある。前者は、国民へのIT普及、教育の情報化、電子商取引の促進等であり、後者は、IT研究開発の促進、イノベーションの促進など産業競争力の強化に関係する。しかし、大本のe-Japan戦略には産業競争力の観点(後者A)は含まれていない。e-Japan重点計画の中で「横断的な課題」の中の一小項目として僅かに「研究開発の推進」が含まれているに過ぎない。IT国家戦略ではIT技術の利用を促進すること(前者@)が中心になるのは時代の要請から当然であるが、英仏独のIT国家戦略には後者も含まれているように、我が国ももう少し“厚かましい”戦略をつくってもよかったのではないかと思う。そもそも、何のためにIT国家戦略を作るかと言えば、国民が幸せになるためであり、そのためにはみんながインターネットを使えるようになるだけでは不十分で、最終的には国の経済力が向上して豊かな生活が国民に還元される必要があると考えるためである。
2点目は、IT国家戦略を利用して従来型の公共事業が紛れ込んでいる点である。e-Japanの来年度の計画である「e-Japan2002プログラム」を見ると、「直轄国道における情報BOX等の全国ネットワーク化など、・・・(国土交通省)」という記述があるが、このような土木事業こそ排除すべき内容ではないか。情報BOXとは単なる光ファイバーを収容する「土管」のことであり、1kmを整備するだけでも多額の資金が必要である。そもそも、「直轄国道」に限定しているところがくせ者である。本当に情報BOXを整備する必要があるのであれば、県道や高速道路ではなぜだめなのであろうか。それは、小生の理解が間違っていなければ、直轄国道は国土交通省の道路特別会計の支出対象であるからである。情報BOXが100%無意味ではないにしても、本来の道路整備を実施しても予算に余剰が発生するのであれば、それは国の他のプライオリティの高い政策に活用するか、国民の税負担を軽減すべきである。その意味で、情報BOX整備はITの名を借りた道路特別会計の予算消化事業と言われても仕方がないと思う。
若干の気になる点があるとはいえ、国のトップがITの重要性を認め政策を先導することは重要である。強力なリーダーシップのもとIT政策が推進されることを期待したい。
K.産業動向
<蘭・白:KPNとベルガコムの合併交渉、決裂>
蘭電気通信事業者のKPNとベルギーの電気通信事業者のベルガコムは8月31日、両社の合併交渉が決裂したと発表した。決裂の原因は電気通信株の低迷による両社の評価額の不一致であった。KPNは、230億ユーロもの負債を抱え、財務状況の改善のため合併相手を探していたが、同社は今回の合併失敗で厳しい状況に追い込まれた。
<英:ヴォダフォン、次世代携帯電話への投資を10%削減>
世界最大の携帯電話事業者である英ヴォダフォンは、今後2年間の次世代携帯電話への投資を、当初予定の163億ユーロから、16億ユーロ削減すると発表した。今回の削減は、次世代携帯電話の導入が遅れていることを理由としている。日本では今秋から次世代携帯電話が導入されるが、欧州では2002年導入という当初計画が遅れる見込みである。
なお、エリクソンのヘルストレム社長は、メーカ側の見方として、欧州での次世代携帯電話の営業は2002年半ばに開始され、本格的営業は2003年上半期と見ているが、その理由としては多額の資金を投資してしまった電気通信事業者にとっては、それ以上の遅れはもはや許されない状況に追い込まれていることを挙げている。
<デンマーク:4社が次世代携帯電話事業権選定に応札>
デンマークにおける4件の次世代携帯電話事業権に対する競争入札は9月5日に締め切られ、以下の4社が応札した。入札審査の結果は2〜3週間後に発表される。
・TDC(旧テレデンマーク)
・オレンジ(フランス・テレコム傘下)
・テリア(スウェーデン)
・テレノール(ノルウェー)
L.政策動向
<仏:マルチメディア総合学術都市にグルノーブルが決定>
8月20日、「ヴィラ・メディチ」計画の建設地域として、アルプス地方のグルノーブルが決定した。同計画はフランス教育省が推進しているものであるが、マルチメディアに関する教育・訓練、芸術創造、研究、会議等を行い、EU全域から有能な人材を集め、マルチメディアの総合学術都市を形成することを目指している。
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