Part3事例 ITによる業務効率化:電子決裁システム 中野区 環境にやさしい街を実現する決裁の電子化

先進的な電子自治体の1つ、中野区は、2002年度からの電子区役所実現3か年プログラムにおいて、内部事務処理の電子化を進め、起案作成から決定、施行、保管といった決裁事務作業の効率を大幅に向上させている。電子決裁は、事務処理速度が飛躍的にアップするだけではなく、用紙や文書保管スペースの削減によるCO2排出量の大幅削減も可能にするなど、「人にも環境にもやさしい」システムとなっている。

事務処理速度の大幅な向上

デスクトップ上での未決案件一覧表示、過去の事例を基にした参照起案などの決裁事務サポート機能により、業務によっては作業時間が1/10にまで短縮されるなど、事務処理速度が大幅に向上した。

CO2排出量を45%削減

ペーパーレス化の推進により、紙使用量のほか、印刷やコピー、文書保管スペースの面積、業務効率化による作業時間の縮減などによるエネルギー消費が減少し、CO2排出量に換算して45%の削減を達成した。

庶務担当職の廃止による業務効率化

行政事務の効率化が求められる中、中野区では紙ベースの伝票や文書を大幅に減少させることで、文書管理業務を専門に行っていた庶務担当職を廃止した。

導入概要:電子決済システムのイメージ

電子決裁システムのイメージ

決裁の電子化による業務効率化

中野区では、2002年度からの電子区役所実現3か年プログラムにおいて、内部事務処理の電子化を進めた。その中で特にこだわったのが電子決裁システムの導入である。

電子決裁のメリットとしては、PCベースでの起案や、未決案件の把握が容易なことなどが挙げられる。前回の案件を参照し、一部修正して起案するといったケースでは、操作に慣れれば作業時間が1/10程度まで短縮された。また、現在の未決案件数や、重要度の高い案件が何かといったステータスを簡単に把握できる機能も、決裁の迅速化につながっている。

こうしたメリットを背景に、中野区では、休暇申請などを扱う庶務事務、予算から決算までを扱う財務会計については100%、事案決定では秘匿性の高いものや多量の書類が添付される案件などを除く、約70%が電子決裁の対象となっている。CO2排出量削減効果は、右ページの図に示すように、オフィススペース減少(主として作業効率化による業務従事時間の減少)による削減量が大きく、45%の大幅減少となっている。

また、紙ベースの書類が減ったことで、従来、書類の管理を一手に引き受けていた庶務担当職を廃止した。自治体の行政事務の効率化が求められる中、中野区も職員定数見直しを含めたさまざまな施策を行っているが、ITを利用した業務効率化が、大きな役割を果たしている。

削減効果:CO2排出量の比較

CO2排出量の比較

導入当初は苦労するかもしれないがそれに見合った効果は確実に得られる

メリットの多い電子決裁だが、すんなり導入が進んだというわけではなかった。

普段からPCを使い慣れていない職員から、操作方法に関する問い合わせ電話が殺到したり、せっかくの電子ファイルを、モニタ上ではなく紙にプリントアウトして検討することで、かえって紙の使用量が増えたりといった混乱が、導入から1年程度続いたという。

しかし、現在ではこうした混乱はほとんど収まっている。中野区には全国の自治体から数十件の視察申し込みがあるが、問い合わせに対し情報政策担当の平田課長は「私たちの事例はいくらでもお見せするので、迷っているなら導入すべき。当初は苦労するかもしれないが、見合った効果は十分に得られる」と語る。

デスクの上は、書類の山ではなく、1人1台のコンピュータ

▲デスクの上は、書類の山ではなく、1人1台のコンピュータ

組織概要 :中野区

中野区

人口 : 300,001人(2009年1月現在)
中野区役所 : 東京都中野区中野4-8-1
URL : http://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/
職員数 : 2,496名(2008年4月現在)
内部情報システムへの接続パソコン台数 : 約2,000台

平田祐子 氏政策室 情報政策分野
情報政策担当課長(CIO補佐官)
平田祐子 氏

情報化による環境にやさしい街を目指し、今後はRFIDを利用した視覚障がい者の誘導や、商店街活性化などにもつながる地域SNSとの連携など、区全体として『ユビキタス都市中野』を実現していくことを将来展望としている。

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この内容は2009年3月現在のものです。