<2008年度 JEITAソフトウェア事業委員会セミナー:資料室>
ソフトウェアに関する調査活動成果のご紹介
●ソフトウェア技術者の育成に関する調査報告と提言 |
●組込み系ソフトウェア開発の課題分析と提言 |
●ソフトウェアリソースの最適活用に関する調査報告と提言
|
|
■ 講演概要 ■
会場風景
講演
- ソフトウェア事業委員会活動のご紹介
- ソフトウェア技術者の育成に関する調査報告と提言
- 組込み系ソフトウェアの開発の課題分析と提言
- ソフトウェアリソースの最適活用に関する調査報告
- 質疑応答
1. ソフトウェア事業委員会活動のご紹介
-
日本のソフトウェア事業を取り巻く種々の状況が紹介された後に、それらを背景としたソフトウェア事業委員会の設置目的、参加企業、委員会傘下の3専門委員会の概要が紹介された。
- 日本のソフトウェア事業を取り巻く種々の状況
- 日本のソフトウェア産業に対する現状認識
- あらゆる産業分野でのソフトウェアの重要性の高まり
- 一方、産業として抱える課題も多い
- ソフトウェア事業の位置づけ
- ソフトウェアは企業システム、社会インフラ、コンシューマ向け製品を支え、あらゆる産業の競争力の源泉となってきている
- 組込みソフトウェアの重要性の拡大
- 日本の製造業を代表する自動車・携帯電話・情報家電の3領域を中心にソフトウェア開発規模がここ数年で急激に拡大
- ITサービス領域での日本のプレゼンス
- 日本は家電などには強みがあるが、システム製品/サービスについては海外勢のプレゼンスが高い
- ITベンダーのグローバル化
- 市場機会の縮小の危惧
- グローバルチャンピオンと中印ディスカウンタからの挟み撃ち
- ソフトウェア人材確保への懸念
- 本委員会設置の目的
- 本委員会への参加企業
- 委員会組織構成
2. ソフトウェア技術者の育成に関する調査報告と提言
- ソフトウェア事業を支える優秀なソフトウェア技術者をいかに育成・確保するかという問題に対して、ソフトウェア事業戦略専門委員会が2007年度まで取組んできたソフトウェア技術者の育成に関する調査活動とそれに基づく提言内容が紹介され、最後に2008年度の活動予定が紹介された。
- ソフトウェア事業戦略専門委員会の活動概況
- 活動体制
- 今までの取組み状況
- ソフトウェア技術者の採用・育成に関する調査
- 海外ソフトウェア技術者の採用と育成に関する調査
- 米国の大学教育に関する調査
- 米国ソフトウェア企業のインターンシップ・新卒採用に関する調査
- 米国技術者の仕事・キャリアアップに関する調査
- 米国企業の人事・雇用制度に関する調査
- わが国のソフトウェア技術者の採用と育成に向けた提言
- スキル基準・キャリアパス・プロフェッショナル認定制度に関する提言
- 企業におけるスキル基準、キャリアパス、プロフェッショナル認定制度の導入状況
- スキル基準運用における課題
- プロフェッショナル認定制度が導入出来ない理由
- プロフェッショナル認定制度の運用における課題
- まとめと提言
- 企業と大学の連携に関する提言
- 国内のインターンシップの現状
- 海外のインターンシップ
- インターンシップを効果的に活用するには
- 企業が大学に期待するスキル
- 企業が期待するスキルを大学で身につけるには
- ソフトウェアの魅力PRの必要性について
- 日本のソフトウェア産業の未来に向けて
- 2008年度の取組みテーマ
- 日本のソフトウェア産業の地位向上を目指して
- 日本のソフトウェア産業のあるべき姿を検討
- 「ソフトウェアの魅力」PR事業
- IPA SECとの連携
3. 組込み系ソフトウェアの開発の課題分析と提言
- 組込み系ソフトウェア開発において、大規模化・複雑化・短納期化・多機種化の波にどのように立ち向かうべきかという問題に対して、ソフトウェア事業基盤専門委員会が2007年度まで取組んできた組込み系ソフトウェア開発の課題分析と提言の活動内容について、2007年度の調査結果を中心に紹介され、最後に2008年度の活動予定が紹介された。
- 組込み系ソフトウェア開発に関する問題意識
- 開発現場の現状 と 現場から見た課題
- コード中心の開発
- 有効に機能しない再利用、不明確な全体構造
- 全体構造が把握されないまま進行する開発
- 有効な施策と現実のギャップ
- 課題解決に向けての本専門委員会の取組み
- 2005年度: 実態・課題の把握、足元を知る
- 2006年度: “品質確保”問題に集中
- 2007年度: “効果的な取組み”の実態把握
- ハードウェア部門等との連携の取組み
- ハードウェア部門等との共同作業の標準化
- 要求と仕様定義における相互連携
- 上流工程での評価連携(シミュレーションの活用)
- 「ハードウェア部門等との連携の取組み」に関する提言
- 自動化の取組み
- ソースコードの自動生成
- テストの自動化
- 「自動化の取組み」への提言
- 上流工程重視の取組み
- 要求 (要求定義・要求管理)
- 設計 (アーキテクチャ設計・設計評価)
- 人材 (アーキテクト育成)
- 「上流工程重視の取組み」への提言
- 多機種開発の取組み
- 今後強化すべき施策
- アーキテクチャ主導開発 (トップダウンアプローチ)
- 現状からの脱出: 現状認識の重要性
- コード中心開発から戦略的アーキテクチャ主導開発へ
- 上流工程重視開発 (フロントローディング)
- トップダウンアプローチとボトムアップアプローチの融合
- 遂行能力をもつ技術者チームの構築
- 戦略的・長期的な視点に立ったアーキテクトの育成
- 2008年度の活動予定
- 組込み系ソフトウェアの開発スピードアップに向けて
- 「開発スピードアップ」の主要課題の検討
- 「開発スピードアップ」に関するワークショップ
- 「開発スピードアップ」に関するアンケート調査
- 「開発スピードアップ」の取組みに関する海外調査
- CEATEC 2008での活動成果報告講演
4. ソフトウェアリソースの最適活用に関する調査報告
- オフショア活用の効果的拡大、優秀な人材確保のためのソフトウェアリソースの最適活用という問題に対して、ソフトウェアリソース対応専門委員会が2007年度まで取組んできた調査活動とそれに基づく提言内容が紹介され、最後に2008年度の活動予定が紹介された。
- ソフトウェアリソース対応専門委員会の紹介
- リソースの最適活用に関する問題認識
- 米国調査活動
- 日米アンケート調査でのオフショア活用能力レベルの日米比較:相違点
- 開発ソフトウェアタイプ別のオフショア活用能力レベル比較
- 仮説検証のアプローチ(米国調査)
- 日米の比較における相違点の起因追究
- 米国と日本のオフショア開発比較
- 具体的事例紹介
- 銀行内システムをインドへアウトソースしている銀行の事例
- ハードウェア及びその管理ソフトウェアパッケージ開発会社の事例
- 欧州調査活動
- 欧州調査結果(総括)
- 具体的事例紹介: グローバル分散開発体制を実現している企業の事例
- 日・米・欧の比較
- オフショア先(委託先)への調査活動
- 提言: IT企業が克服すべき対策
- 個人に依存しない開発スタイルへの変革
- ドキュメントベースの開発プロセスの徹底
- オフショア先の位置づけの段階的変更
- 日本企業が機種計画と開発体制でやるべきこと
- 日本企業の永遠の課題
- 提言: 政府へ依頼したい政策
- 個役割分担の明確化と運用の徹底 ⇒SLCP/JCF適用と徹底
- 見積技術の精度向上と標準工期・体制確保
- 政府への改善要望
- 提言: 日本のIT企業を活性化させるための施策
- 日本企業の研究開発体制における改善
- 日本企業が開発スタイルとして身に付けるべきこと
- 大学教育における研究と開発
- 2008年度活動予定: 効果的なオフショア活用に向けて
- 効果的なオフショア活用の検討
- オフショア先の実態調査の実施
- オフショア活用における分散開発環境への対策
- 関連団体との情報交換
- オフショア統計的データの情報提供
5. 質疑応答
- 日本の大学に求めるスキルが「プログラミング力」と「コミュニケーション力」というのは、米国のコーオプ(Co-op)教育に代表される実践力が付く教育に対して、情けない結果に思えるが?
-
今回のアンケート結果は、現状の日本の大学でのレベルに対して求めるものをまとめたもので、あるべき姿としての期待スキルは別に議論が必要と思う。
- インターンシップとコーオプ教育との違いは?
-
コーオプ教育も広義にはインターンシップの一つであるが、体系的に座学と企業における実践を繰り返すことにより効果は大きく異なる。22ページの「長期インターンシップ」と「Co-op教育」は同じ意味で用いている。
- コーオプ教育を日本に導入するにあたっては、大学に求めるスキルも変わってくるのでは?
-
コーオプ教育を導入する上での一番の課題は、大学におけるカリキュラム体系を大幅に見直すことであるが、今回「日本の大学に求めるスキルは何か」を検討したように、コーオプ教育実施に向けての必要スキル検討も必要になると思われる。
- ソフトウェアの魅力PRのポイントの一つに、ソフトウェアエンジニアの本当の姿を見せることを挙げているが、実際の現場を見せることが逆効果にならないか?
-
本来ソフトウェアの仕事は面白く楽しいはず。日本の現状のソフトウェア業界の中でもゲームソフトなどの分野で見せて、効果のあるものをPR出来るように検討したい。
- オフショア先の距離が仕様書の明確化に関係するか?
-
距離にはあまり関係しない。米国では、インドを活用して24時間の開発体制を実現している(仕様レビューを効率よく実施している)。米国の裏側に位置するインドとは24時間の開発体制を可能にしている。日本ならば、ブラジルが対応するが、現状のブラジルではまだ活用は難しい。中国は日本にとっては近くていいが、仕様確認にはお互いの十分なコミュニケーションが必要である。
- ドキュメントベースによる成功例はあるか?
-
ドキュメントをしっかり作成したオフショア活用の成功例はたくさんある。当専門委員会の会員会社でも、成功例は当然あるし、すべて失敗している訳ではない。逆にドキュメントをしっかり作成すれば必ず成功するとは限らない。ドキュメントベースは十分条件ではなく、必要条件である。しっかり管理しながら推進することが大事である。
©JEITA,2007
|