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端末装置に関する調査報告書
(IS-10-情端-4)




第1部 金融端末装置に関する調査報告

 金融端末装置の出荷統計は,1978年度より実施され,本年度で32年目になる。自主統計参加11社により,基幹系業務端末7機種について四半期毎に出荷台数,出荷額の統計を採り,これらの統計データと市場動向を基にした製品分野毎の分析や今後の出荷見通し調査を行っている。
 ソフトウェア,ソリューションサービスの比重の高まりから,1997年度より,自主統計参加9社により専用端末系/業務系計8種のソフトウェアについて半期毎の出荷額の統計を採り,上記装置出荷統計と併せて製品分野毎の分析や今後の出荷見通し調査を実施するなど充実を図ってきた。
 さらに今回は,環境型社会への対応として,不要となった金融端末装置の廃棄処理の実態を調査し対応策について提言を纏めた。

 2009年度の金融端末装置全体の出荷実績は,国内では,ハードウェア,ソフトウェア合計で約964億円(前年度比71%)であった。そのうちハードウェアが台数で約37,400台(前年度比73%),金額で約678億円(前年度比63%),ソフトウェアが約286億円(前年度比99%)であった。
 ハードウェアについては, 2006年度,2007年度と連続して増加して来たが,2008年度は米国金融危機の影響を受け減少に転じ,2009年度はさらに大幅な減少となった。また,全体にソフトウェアの比率は,2008年の21%から2009年度は30%と増加しており,対前年度比の落ち込みもハードウェアほど大きくはない。
 金融端末事業の比率がハードウェアからソフトウェアへと徐々に移行していることが伺える。
 2010年度以降は,一定の買い替え需要がでてくることが期待できること,また,顧客サービスの向上,事務処理効率化,法令順守,セキュリティ強化等へのシステム対応需要の高まりも期待でき,全体としては2009年度を底に緩やかな増加傾向を予想している。

 環境型社会への対応として,不要となった製品の処理にあたっては,高いリサイクル率で処理をすることが求められている。
 特に,金融端末装置においては,高いリサイクル率に加え,紙幣鑑別装置等のセキュリティ部分を搭載していることから,情報漏洩等のリスクを最小化する上で,適正な廃棄処理を実施する必要がある。

 今後の課題として,ソフトウェア統計の充実,ソリューションサービス統計の具体化を図り,市場調査カバレッジを拡大することがあげられる。ここ数年,他業界と協業しての製品や店舗展開が進んできたことによって,金融機関の専用端末というよりは,複合化された製品になってきたものもある。このような製品をどう位置付けて統計に反映させていくかも今後の課題である。
 このように多様化するサービス・製品及び社会・経済環境に対して金融端末専門委員会としても柔軟な体制で臨み,他委員会との交流も含め,更なる市場調査の拡充を行う必要が出てくるであろう。そして,これらの調査の結果が今後の金融端末の方向性を示唆するとともに,金融並びに提携業界の連携を推進する一助となるものと確信する。


第2部 流通POS端末装置に関する調査

 流通POS端末専門委員会では,流通業界を取巻く経済・社会状況を把握する中,流通POS及び周辺機器の技術動向の調査とともに,店舗におけるPOSの運用やソフトウェア動向,社会システム動向等の調査・研究を行っている。

 米国を発端とした,世界的な経済危機となる以前から,POSシステムは,ネットワークやサーバなど基幹系と投資タイミングを分散させる傾向が見られ,リプレースサイクルの長期化が顕著になってきている。POSシステム市場そのものが成熟してきていることもあり,致命的な老朽化がすすまない限りはリプレースしないといった風潮があることは否めない。
 2009年度のPOS端末の国内出荷台数は前年度比107%の13万8千台,出荷金額は前年度比94%の525億7千万円となり,2006年度,2007年度と2年間にわたって積極的な投資が行われた反動を受け大幅に実績を落とした2008年度に対し,出荷台数においてはわずかに回復の兆しを見せる結果となったが,その台数規模は,2000年問題による積極投資となった1999年度,前述の2006年度・2007年度を除く年度と同等規模となっている。
 出荷台数に占めるPC-POSの割合は1996年度から順調にその構成比を伸ばしてきており,2009年度も全体の9割に近い結果となった。
POS端末の2014年度までの5ヵ年出荷台数見通し調査では,出荷台数は今後も緩やかな伸びを示し,その伸長率も2013年度に向かい微増していく見通しとなっている。
 PC-POSのPOS端末に占める割合は2010年度以降も9割を超えて飽和した状態が2011年度まで続くと見通している。また,PC-POSの中で主流となっているWindows搭載POSの割合は,2010年度からしばらくは94%で横ばいとなり,2012年度頃微増しその後横ばいすると見通されている。
 2009年度のカード決済端末の国内出荷台数は前年度比74%の10万台弱,出荷金額も前年度比72%の54億円と大幅な減少となった。クレジットカードのICカード化に伴い2004年度から増加傾向に入り,2006年度に一挙に加速したリプレース需要が一段落したものと見られる。ただし,携帯型に限っては,出荷台数の前年度比で28%と激減しており,前年度に特定の企業において大幅な投資が行われた影響と考えられる。2014年度までの5ヵ年出荷見通し調査における平均伸長率は据置型で99%,携帯型で101%とほぼ横ばい傾向が続くと見通されている。
 PC-POSにおけるアプリケーション動向調査では,POSシステムにおけるアプリケーションソフトウェアの重要性の観点から,OS及びソフトウェアパッケージの種類と動向,サポートしている周辺機器と業務機能等の調査報告を行っているが,ソフトウェアパッケージの市場拡大を期待して市場売り上げが年率11%以上の伸びと予想する会社が前回調査の6割から4割に減少する反面,年率10%未満の伸びと予想する会社が2割弱から4割に急増するという,現在の流通市場の動向を反映した厳しい結果となっており,参考にされたい。
 POS端末装置の保守状況調査は隔年で今年度の調査はないが,ハードウェアを中心とする保守サービスの形態・内容・方法について調査を継続している。

 委員会としては,今後も引き続きPOS端末装置だけではなく,POS周辺機器,及びそれらをとりまくアプリケーションや決済等の社会システムなど全てを包含した議論を重ねる中,今後予想される社会システムの電子化やIT技術進展による店舗形態の在り方についても討議を深め,的確な情報発信に努めていく所存である。
 流通業界を取巻く環境は依然として厳しい状況ではあるが,本報告書の内容は流通POS開発に関わる委員会内外の方々,および流通業界の方々の参考になるものと確信している。


第3部 ハンディターミナルに関する調査

 ハンディターミナルは携帯型の特長を活かし,データの発生時点での収集並びに処理ができることから流通,運輸,製造等のあらゆる業種で活用され,業務の省力化・効率化の促進に貢献してきた。  装置の機能に関しては利用者側から各業務に最適な機器の要求があり,装置開発メーカも利用者の要求を満たすべく携帯性を追求する中で耐環境仕様の強化,並びに大画面表示化,メモリ大容量化,無線化等の高機能化,更には低価格化に取り組んでいる。
 ハンディターミナルは,流通,運輸,製造等の業種で情報収集・管理等の情報処理を担う装置として活用されており,その適用分野も年々拡大する傾向にある。しかしながら,近年ではノートパソコン,スマートフォン等の参入により携帯端末の応用分野が広がっており,ハンディターミナルの位置付けが曖昧になっているのも事実である。

 2009年度(平成21年度)のハンディターミナルの出荷実績は,世界的な経済環境の悪化の影響を受けた昨年度と同等のレベルで推移し,2008年度(平成20年度)と比較して,国内では台数でほぼ横ばい,金額では11%増加し,輸出では台数で1%,金額で8%減少した。
 各カテゴリ別にみると,スキャナ一体型では国内出荷が台数で1%減少したが,金額では16%増加し,輸出は台数でほぼ横ばい,金額では8%減少した。
 標準型の国内出荷台数は,大きく減少した昨年度と比較して,台数で19%増加,金額で14%増加ともち直したが,輸出では台数で10%減少し,金額でも11%減少した。
 ノートパッド型の出荷台数は,大きく減少した昨年度と比較して,46%減少し,出荷金額においても40%減少と,引き続き大きく落ち込んだ。

 4カ年の出荷見通しでは,スキャナ一体型の国内は,無線化,二次元シンボル対応といった高付加価値化の進展及び商品のトレーサビリティの向上を目的としたRFIDの普及と共に新たなマーケットが広がる可能性があると見ている。
 標準型の国内出荷は,リプレースを主体に大きく伸びた2009年以降ゆるやかに減少し,2013年度までは,市場規模4万台程度で推移すると見通した。
 ノートパッド型は大手顧客のリプレース時期により出荷台数/金額が大きく変動するため定性的な予測は難しい。

 調査活動を通じてわかったハンディターミナルを取り巻く問題点をまとめると下記の通りである。
  • 2010年度以降,市場は堅調に伸びるが,飛躍的な伸びがない。また,平均出荷単価は2009年度,一旦下げ止まり感が出てきたが,長期的にはゆるやかな低下が進む。
  • スマートフォン等の他の携帯型機器との差異が曖昧になってきている。
  • 各社のハンディターミナルの特性値の測定条件や用語に差異があり,ユーザが一律に比較できない。
 以上のような問題点を解決していくため,今後の委員会活動において,下記の点に着眼し,調査・検討活動を実施していく所存である。
  • 関連分野の専門家によるヒアリングの実施及び他の携帯機器分野との情報交換会を積極的に実施し,市場動向,技術動向を調査することにより,ハンディターミナル業界としてのレベルアップを図る。
  • ハンディターミナルの特長や適用事例をまとめることで,他の携帯型機器との差別化を図り,市場啓蒙を推進する。
  • ユーザの利便性を考えて,ハンディターミナルの主な用語,測定条件の標準化を推進する。
 今後とも本委員会ではハンディターミナルの普及活動を行なうため,調査した内容を委員会の中で議論を行い,各委員,ならびに関連方面への提言を行っていく方針である。
  • 自主統計を前年に引き続いて行い,データの信頼性向上に努め,本年度および来年度の市場動向について討議する。
  • ハンディターミナルの技術動向を調査する。
  • カタログ用語集を商品の技術進化,利用者の機種選定ニーズにあわせて改訂を進める。
  • 出荷数量の停滞,平均出荷単価の低下の原因を分析して,対応策を考察する。


第4部 KIOSK端末装置に関する調査

1.調査の概要

 本年度は,KIOSK端末専門委員会発足の二年目であり,初年度で確立したKIOSK端末の自主統計調査をベースに業界動向,海外動向などの定性調査と構成委員によるKIOSK端末普及に向けた課題と将来像,標準化の意義再検討などを実施した。
 定義付けされたカテゴリーに沿って,業界全体の動向を可視化することを目的に,上半期・下半期に分けて自主統計調査を実施した。

2.調査の背景

 当専門委員会の目的は,KIOSK端末に関与する業界の発展に寄与することにあり,市場実態の把握,標準化の推進,共通的な情報発信や業界課題への対応を目的としている。その中で,本年度も活動の軸として市場実態の把握をあげた。このKIOSK端末の分野は,形状・機能・活用分野,関係している企業など多岐にわたっており,その市場実態の把握には難しい面があり,産業界の中で明確な位置づけがされていない。この点を明らかにし市場実態を可視化することを通じて業界の発展に寄与することを目標に,自主統計調査を継続した。継続にあたっては前年度の方式を継承するも,今後の持続性を意識し上半期,下半期に分けて実施した。

3.調査のまとめと考察

 今回2回目の統計調査では,平成21年度の台数・金額を調査対象とし,調査した。
 調査内容の変更点は,専用KIOSKに関し昨年調査では現金取扱機器の有りと無しを分けて調査していたことに対して今回 2回目ではスタンドアローンタイプとデスクトップタイプ(机上設置)を分けて調査したこと,である。
回答結果を集約すると,平成21年度のKIOSK端末装置全体の出荷実績は,台数が約29,400台(対前年度比76%),金額で約96億円(対前年度比74%)であった。そのうち汎用KIOSK端末は台数で約14,300台(対前年度比71%),金額で約39.5億円(対前年度比61%),専用KIOSK端末は台数で約15,100台(対前年度比81%),金額で約56.5億円(対前年度比86%)であった。
 台数、金額とも前年度に比べ大幅に落ち込んだ統計結果であったと言える。08年度の金融危機の影響を受けたIT投資の抑制があったと推察できる。

4.今後の課題

 本年度は,委員会設置の初年度を継承する形で,現状のKIOSK端末の定義・カテゴリー分類を見直し自主統計による実態の把握を継続した。特にこの分野の端末装置は他の分類に属する装置と違って多様性に富んでおり,その実態がなかなか見えないという認識は初年度と同じである。そういう意味では,初年度を継続して統計を繰り返したことは,まずは有意義なものであると理解している。但し,KIOSK端末は,その利用形態・アプリケーションによってこれからも様々に変化していくものであり,さらに継続的にKIOSK端末の市場実績が把握できるように努める必要がある。
 このように多様化するサービス・製品及び社会・経済環境に対してKIOSK端末専門委員会としても柔軟な体制で臨み,他委員会との交流も含め,更なる市場調査の拡充を行う必要が出てくるであろう。そして,これらの調査結果が今後のKIOSK端末の方向性を示唆するとともに,KIOSK端末並びに提携業界の連携を推進する一助となるものと確信する。


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