平成14年5月21日
社団法人 電子情報技術産業協会
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社団法人電子情報技術産業協会(会長:森下洋一・松下電器産業会長)情報端末事業委員会(委員長:前田裕・沖電気工業常務取締役)では、金融端末,流通POS端末,ハンディターミナルのコンピュータ端末装置について各装置毎に専門委員会を設置し出荷状況を調査しているが、このたび平成13年度(2001年度:平成13年4月〜平成14年3月)の国内出荷実績をとりまとめると共に3カ年の国内出荷予測を行った。
なお、現在、3つの専門委員会では、平成13年度の市場動向の詳細と共に製品・技術的側面からの分析も含めて「端末装置に関する調査報告書(02-周-6)」を作成中(5月末に発行予定)であり、6月5日に開催を予定している「情報端末フェスティバル2002」でもその内容が報告される予定。
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1.金融端末装置の動向
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平成13年度(2001年度)の金融端末装置全体の出荷実績は、国内では、ハードウェア、ソフトウェア合計で約2,170億円(対前年度比96%)であった。そのうちハードウェアが台数で約7万台(対前年度比105%)、金額で約1,691億円(対前年度比91%)、ソフトウェアが約479億円(対前年度比115%)であった。
ハードウェアについては、1997年度以来の減少傾向が増加に転じた2000年度に対して2001年度は減少し、その結果、ソフトウェアについては大幅増で推移したものの、全体としては2000年度の実績を下回る結果となった。
これは、不良債権処理などを背景とした投資の抑制傾向に加え、一部大手金融機関の営業店システムの更改が一段落したことや、金融再編成による店舗統廃合の影響などが要因と考えられる。また、ATMがコンビニエンスストアへの設置需要により台数は増加したものの、ハードウェアの低価格需要により金額については減少していることも要因のひとつとして考えられる。
ソフトウェアについては、全体に占めるソフトウェア比率が22%と2000年度の18%に対し4ポイント増加しており重要性が伺える。
今後も、店舗統廃合やインターネットバンキング、携帯電話などサービス・チャネルの普及により従来の営業店舗数は減少していくと思われる。また、プラットフォームの汎用化、PC化によりハードウェア単価は低下傾向にある。しかしながら他業態との提携など店舗形態の変化により新しいシステム形態の製品需要も見込まれる。また、営業店は新商品の販売や相談サービスなどの提供拠点としてますます重要な位置付けとなり、これらに対応したソフトウェア需要の高まりにより全体市場としては、ほぼ横ばいではあるが今後も堅調に推移していくものと考えられる。
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2.流通POS端末装置の動向
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(1)
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POS端末装置の動向
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平成13年度(2001年度)のPOS端末の出荷実績は、国内では、台数で14万4千台(対前年度比117%)金額で約763億円(対前年度比119%)となった。
前年度比台数増の要因としては、1999年度に西暦2000年対応の影響により過去最高の出荷実績となった反動で2000年度の出荷数量全体が落ち込んだものの、リプレース・ビジネスを中心とした回復傾向が見られるとともに、2001年度は景気低迷が続くなか大規模小売店の「勝ち組」、「負け組」の差が顕著になってきており、その中で「勝ち組」による新規出店の増加、専門店/飲食店におけるPOSの導入率の増加などが考えられる。金額増の要因としては、高機能OSの採用や、セカンドLCDディスプレイ、デビット決済機能拡張によるピンパッドの接続サポートなど、機能拡張に伴うハードウェアの高機能化に伴うPOS製品単価の上昇による増加が考えられる。
今後も収益改善を目指し構造改革した大手チェーン店舗や、低価格路線で成功し急速な伸びを見せる企業などの「勝ち組」を中心とした積極的なリプレースや新規出店が続き、出荷台数の増加が続くことが予想される。
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(2)
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カード決済端末の動向
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平成13年度(2001年度)のカード決済端末の国内出荷実績は、台数で11万5千台(対前年度比70%)、金額で91億円(対前年度比64%)と大幅な減少となった。これは2000年度にデビット決済サービスの始まりを受け出荷台数が一時的に増加したものが、一段落したものと考えられる。また2006年度までに切り替えが予定されているクレジットカードのICカード化や、2002年度開始予定であるデビットカードのICカード化等の動向を見据えてのリプレースの手控えも影響しているものと考える。今後は、デビットカードやクレジットカードがIC化されることに伴い、従来の磁気カード型のクレジット決済中心からデビットも含む複数決済型への置換えが進むものと考えられる。
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3.ハンディターミナルの動向
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平成13年度(2001年度)のハンディターミナルの国内出荷実績は、台数で29万9千台(対前年度比112%)、金額で305億円(対前年度比90%)となった。スキャナ一体型で、大規模ユーザの新規導入があったため、出荷台数の大幅増となったが、高価格の標準型、ノート・パッド型の出荷台数が減少した影響を受けて出荷金額は減少した。小型・軽量及び耐環境性をセールスポイントとした製品が新製品として増加しており、業務に特化することで他の携帯端末との差別化を図る傾向がある。
今後は、スキャナ一体型での、無線の普及や2次元コード、液晶モジュールのカラー化など高機能端末への移行が予想され、標準型(プリンタ付きの機種)やノート・パッド型ではリプレース需要が考えられる。
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