バッテリパックの紹介
私たちの身の周りでは、ノートパソコン、タブレット、携帯電話、カメラなどの電子機器において小型充電式電池(以降、小型二次電池と言います)が使われています。
小型二次電池とリチウムイオン電池
- 小型二次電池
- 二次電池とは、充電して繰り返し使える電池の総称です。
ノートパソコンやタブレットでは、二次電池を単品で使用することはなく、単品または複数の二次電池と、これを充放電制御するための基板や接続部品をケースで覆ったバッテリパックを組み合わせて使用しています。
参考までに、充電できない使い切りの電池を一次電池といいます。
小型二次電池には、ニカド電池(Ni-Cd電池)、ニッケル水素電池(Ni-MH電池)、リチウムイオン電池(Li-ion電池)があり、リチウムイオンポリマー電池(Li-Po 電池)はリチウムイオン電池の一種です。
- リチウムイオン電池(Li-ion電池)
- リチウムイオン電池は、現在実用化されている二次電池の中では、最もエネルギー密度が高く、高い電圧が得られるため、ノートパソコンやタブレットや携帯用の電子機器などのバッテリパックによく使われています。
安全性
電池は安全を考慮して設計されています
ノートパソコンやタブレットや携帯用の電子機器に使われるリチウムイオン電池は、軽量でありながら高容量という特徴を持った電池ですが、その一方で誤った使用方法やショートによって発熱、発火、破裂に至る可能性があります。
そのためリチウムイオン電池は、大きな事故に結びつかないように、電池そのものに安全を考慮した設計がなされています。
また、ノートパソコンやタブレットのバッテリパックとして使用する場合にも、過電圧、過放電、過電流などを防ぐための制御装置を組み込むなど安全面からの工夫がなされています。
異常が発生しても必ずしも発火に至るわけではありません
バッテリパックに異常が発生した場合も、必ずしも発火や破裂に至るわけではありません。
バッテリパックの稼働状態は常に監視されており、異常を検知したような場合には、充電機能を停止するなど、大きな事故に結びつかないように保護機能が設けられています。
万が一に備えてノートパソコン本体にも配慮がなされています
万が一バッテリパックが発火した場合のことも考慮し、バッテリパックだけでなく、ノートパソコン本体にも安全面からの配慮がなされています。ノートパソコン本体を覆っているプラスチック樹脂などには、国際規格に基づいた難燃性の高いものが採用されており、ノートパソコン本体に延焼が及ばないような配慮もなされています。
正しい使い方
使用環境にご注意ください
バッテリパックを使用したノートパソコンやタブレットは、次のとおり使用環境に注意してください。
- バッテリパックは、その使用中や充電時に熱を発生することがあります。常時手に触れる可能性のある部位の表面温度は、各社とも国際的な安全基準や社内標準で規定した温度に収まるよう設計されています。ただし、膝の上や肌に直接触れる状態で使用する場合は長時間継続して使用しないよう注意してください。低温やけどの原因になります。なお、表面温度が気になる場合は、各社のお問い合わせ窓口で確認することをお勧めします。
- バッテリパックやノートパソコン/タブレットを、高温の環境下(例:炎天下の車中、暖房器具の周辺など)に放置しないでください。充電性能が急激に低下したり、保護装置が作動し充放電できなくなるほか、電池内部でガスが発生しバッテリパックが膨れ、製品の破損につながることがあります。
- ノートパソコンをソファーやベッド、カーペットといった柔らかいものの上で使用しないでください。このように使用すると、ノートパソコン内部の温度が上昇し、バッテリの性能や寿命に影響します。
取り扱いにご注意ください
バッテリパックを使用したノートパソコンやタブレットは、次のとおり取り扱いに注意してください。
- バッテリパックはマニュアルに記載された充電方法以外で充電しないでください。
- バッテリパックに、押し潰す、叩くといった強い圧力を加えないでください。バッテリパック内部に電気的なショートが発生し、オーバーヒートに結びつく可能性があります。
- ノートパソコンやタブレットを落としたり、ぶつけたりしないでください。特にコンクリートなどの堅い表面への落下は、ノートパソコン/タブレット本体やバッテリパックに潜在的なダメージを与える可能性があります。バッテリパックに衝撃を与えた場合、あるいは外観に明らかな変形や破損が見られる場合には、使用をやめてください。
- バッテリパックを分解、改造しないでください。
- ノートパソコンを水やその他の液体で濡らさないでください。水分が乾き、正常に稼働しているように思えても、安全面での問題が引き起こされる可能性があります。
- お使いのノートパソコン用の正しいACアダプタを使用してください。他の機種用のものなど、正規のものでないACアダプタを使用すると、液漏れ、発熱、発火、破裂、バッテリパックが正常に充電されないなど安全面での問題が引き起こされる可能性があります。
- バッテリ駆動時間が短くなった場合は、純正の新しいバッテリパックと交換してください。
- 取り外したバッテリパックの端子(金属部分)がショートしないように、ネックレス、クリップ、コイン、鍵などが触れないように注意してください。
- バッテリパックを保管する場合は、30~50%程度の充電状態にして、できるだけ湿度の低い冷暗所で保管してください。また、子供の手の届かない場所に保管してください。
- ごみ廃棄場で処分されるごみの中にバッテリパックを捨てないでください。
- パソコンメーカーが作成しているマニュアルに記載されているバッテリパックの使用方法、保管方法、充電方法、廃棄方法に従って使用、廃棄を行ってください。
- タブレット端末の内蔵バッテリはお客様自身での交換はできませんので、バッテリは取り外さないでください。
バッテリパックの膨張について
主に、薄型のノートパソコンやタブレットには、リチウムイオンポリマーという、薄型のバッテリパックが搭載されています。
この、リチウムイオンポリマーバッテリは、劣化が進行すると、内部にガスが発生し、膨張する場合がありますが、これはリチウムイオンポリマーバッテリの一般的な特性であり、バッテリの故障や不具合ではありません。
ただし、バッテリパックが膨張すると、ノートパソコンやタブレットの画面や、内部の部品等の故障を誘発する可能性があります。バッテリパックが膨張した場合は、速やかにPC・タブレットのメーカーに、バッテリパックの交換修理を依頼するようにしてください。
なお、バッテリパックは消耗品ですので、ノートパソコンやタブレットの無償保証期間内であっても、バッテリパックの交換は有償対応になる場合があります。
バッテリパックを長持ちさせるためのヒント
ノートパソコンに搭載されたバッテリパックは、次の事項に注意することで、寿命にいたることを比較的遅くすることができます。
- 主にACアダプタを接続してノートパソコンを使用し、バッテリパックの電力をほとんど使用しないなど、100%の残量(満充電)近辺で充放電を繰り返すとバッテリパックの劣化を早めることがありますので、ノートパソコンを使用しない時は、ACアダプタをコンセントもしくはノートパソコンから外しておくと満充電状態でのバッテリパックの劣化の防止になります。
- ノートパソコンの機種によっては、バッテリの充電容量を最大80%程度に抑制することで、バッテリパックに対する負荷を軽減し、劣化を抑制する機能をサポートしている場合があります。ACアダプタを接続したままノートパソコンを使用するケースが多い場合は、このような機能を有効に活用することをお勧めします。
参考情報
次の事項にご注意ください。
- バッテリパックを長期間充電しないままにしておくと、再充電には非常に長い時間がかかります。
- バッテリパックを長期間充電せずに保管したり、パソコンに装着した状態で長期間充電せずに保管すると、バッテリパックの過放電を防ぐための保護機能が働き、バッテリパックが機能しなくなる場合があります。これを防ぐ手段として、半年に1回程度の割合で、バッテリパックを充電することを推奨します。
- バッテリパックの性能として、温度の低い環境下では一時的にバッテリ駆動時間が短くなります。
- 集中計算や高性能のグラフィック・アプリケーションの実行中など、ノートパソコンが、バッテリパックから電力を大量に消費するとき、バッテリパックとノートパソコンの温度が上昇することがあります。
バッテリパックのリサイクル
ノートパソコンの場合
寿命がきて使えなくなったバッテリパックは、再資源化(以降、リサイクルと言います)されます。
小形二次電池のリサイクル活動は、2001年に施行された『資源の有効な利用の促進に関する法律』に基づき、パソコンならびに小形二次電池の回収とリサイクルが義務付けられています。
パソコンならびに小形二次電池のリサイクル
- パソコン
- 事業系パソコン(企業や法人から排出されるパソコン)は2001年4月から、家庭系パソコン(個人や家庭から排出されるパソコン)は2003年10月から法律に基づいた回収・リサイクルが行われています。
参考資源有効利用促進法 パソコンのリサイクル
- 小型二次電池
- 資源有効利用促進法により2001年4月から、小型二次電池メーカーと小型二次電池を使用する機器メーカーに、回収・リサイクルが義務付けられています。
参考資源有効利用促進法 小形二次電池のリサイクル
タブレット端末の場合
タブレット端末を家庭から排出する場合は、一般廃棄物扱いとなりますので、各自治体の廃棄処理に関する条例または規則に従ってください。
参考大阪市
なお、一部、タブレット端末販売店でも回収を行っている場合が有りますので、ご確認ください。