IT投資促進税制FAQ
(社) 電子情報技術産業協会
1.適用期間について
Q.平成15年1月1日から平成18年3月31日までに取得した資産が適用とはどういう事ですか?
A.平成15年1月1日から平成18年3月31日までの間に該当資産を取得し、事業の用に供した場合に適用できます。従って、単に取得しただけではなく、事業用として利用することが必要です。
Q.3月決算企業の場合、平成15年1/1〜3/31に取得等をした対象設備は平成15年度決算に税制適用処理をする事となっていますが、平成15年度も対象設備を導入する場合、2年度分の控除ができますか。その際も、法人税の20%が上限額ですか?
A.平成15年度において、2年度分の控除が可能です。但し、法人税の20%相当額が限度となります。
Q.3期連続で適用できますか?
A.取得及び使用開始の時期が平成15年1月1日から平成18年3月31日であれば、適用になります。
Q.繰越制度はありますか?
A.税額控除においては、当期の法人税額の20%相当額が限度となります。控除限度超過額は1年間の繰越が認められています。
Q.最終年度での翌期への繰越は可能でしょうか?
A.平成18年4月1日以降においても繰越は可能です。
Q.対象設備の取得と利用開始の両方が適用期間内(平成15年1/1〜平成18年3/31)でないと税制の対象とならないのですか?
A.そうです。期間内に取得し利用開始した場合のみ、適用となります。
Q.取得と利用開始が事業年度を跨いだ場合、適用する事業年度は取得時と利用開始時のどちらになるのでしょうか?
A.利用開始時期です。
2.適用の手続きについて
Q.適用を受ける為の手続きについて教えてください。(どのような書類、資料を準備すれば良いか等)
A.国税庁(税務署)より法人税申告書の別表として、IT税制用に、別表六の二(十一)「情報通信機器等を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」と、別表六の二(十一)付表「情報通信機器等の取得価額等に関する明細書」(平成15年4月14日付け官報 号外第82号)が新たに用意されています。明細書以外、特に本税制を受けるための特別な申請書はありません。
Q.取得や業務に使用を開始した証明は必要でしょうか?
A.通常の資産計上ならびに原価償却のため取得を証明する必要はありますが、特にIT投資促進税制を適用するための、業務に使用を開始した証明は必要ではありません。
Q.「対象となるハード・ソフトは、あくまで自社の事業の用に供されたことに限定されます。」とありますが、購入契約書ないしリース契約書の実行で認められますか?
A.「稼動」する事が要件です。したがって、事業年度末近くに購入した場合には、その事業年度に「稼動」したことの事実を証明できるような証拠を残しておくことが必要です。
Q.ASPやIDCを利用している経費は対象と認められますか?
A.これは経費でありIT投資促進減税の対象ではありません。
3.対象となる設備・価額について
Q.ケーブルなどのLAN製品は対象となりますか?
A.伝送用装置は対象となりますが、ケーブルは対象外です。
Q.クライアントPCの主記憶容量が128MBで初期購入しましたが、後ほど同一決算年度 内に128MBを追加した場合は認められますか?
A.設置時における記憶容量が256メガバイト以上の主記憶装置を有するものに限る、となっており対象になりません。最初に購入することをお勧めします。
Q.中古パソコン購入し、主記憶装置の追加して256MB以上にした場合は認められますか?
A.中古は認められません。あくまでも事業の用に供されたことのない「新品」に限ります。
Q.ソフトウェアは色々のカテゴリーがありますが、何か制限はありますか?
A.特に制限はありません。基本的にソフトウェアとして税会計上、無形固定資産に計上さ
れるものであれば対象になります。ただし、販売用ソフトウェア、研究開発用のソフト
ウエアは対象外なのでご注意ください。
Q.自社開発ソフトウェアは対象となりますか?
A.ソフトウェアの開発費を原価計算して資産計上すれば対象になります。
Q.ホームページ構築のためのソフトウェア等はソフトウェアとして対象ですが、コンテンツの開発費用は対象になるでしょうか?
A.一般にコンテンツはデータであり、ソフトウェアとは見なされません。あくまで税務会計上、無形固定資産に計上されるものが対象となります。
Q.SI契約でコンサルテーション、システム・デザイン等を含めて最終納入製品がソフトウェアである場合、どの部分が対象となるのでしょうか?
A. 税務会計上、ソフトウェアとして無形固定資産計上されるものが対象となります。
Q.据付費用や保守費用などは対象になりますか?
A.税務会計上、付随費用として取得原価に算入される支出であれば対象となります。一般的には、引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税は付随費用となりますが、保守費用は経費となります。
4.リースについて
Q.PCとソフトをシステムでリースする場合従来は一緒にリースを設定するケースが多いのですが、本税制を適用する場合、耐用年数がPC(4年)、ソフト(5年)とそれぞれ異なる事から、別々にリースを設定しなくてはならないのでしょうか?
A.本税制の対象となるためには、リース契約期間が4年以上かつ耐用年数以下であること
が条件となります。上記の場合、4年の契約であれば一緒にリースを設定することがで
きます。
5.他の税制との併用および関係について
Q.同一法人内の異なる対象設備において他の税制(中小企業促進税制など)との併用はできますか?
A.同一設備における併用は認められていませんが、異なる対象設備であれば併用は可能です。
Q.法人税以外の事業税や市民税も減税されますか?
A.市民税は、法人税額を基準に課税計算しますので、税額控除と特別償却のいずれの特例を用いても連動して減額となります。事業税は、所得金額を基準に課税計算しますので、特別償却を用いたときにだけ減額されることとなります。
Q.固定資産税はかかりますか?
A.固定資産税は通常通り課税されます。これらの減価償却費の計算はいったん固定資産に計上し、法人税別表16(減価償却資産の償却費の計算に関する明細表)上で計算することになります。ただし、ソフトウェアなどの無形固定資産は課税対象になりません。
6.経理処理について
Q.特別償却を適用した場合の経理処理はどうなりますか?
A.取得時は「什器備品」で資産計上し、決算時に「減価償却費」で費用処理します。
*1000万円のパソコンシステムを7月に事業の用に供した場合。(平成16年3月決算の場合)
減価償却費の計算(定率法、耐用年数4年)
普通償却費:10,000,000円×0.438×9/12=3,285,000円
特別償却費:10,000,000円×0.5=5,000,000円
特別償却制度を利用した場合の償却費
: 3,285,000円+5,000,000円=8,285,000円
7.その他
Q.赤字法人は恩恵を受けられますか?
A.赤字で法人税を納めていない場合は、直接的な減税効果はありません。
Q.赤字決算企業にとって何の効果もないのですか?
A.特別償却を選択することで課税の繰り延べ効果を得る事はできます。(繰越欠損金)
また、繰越制度は赤字法人にも認められています。
注)具体的な申請につきましては、所轄の税務署にてご確認下さい。
以上