政府情報システムのソリューションサービス事業分野における
適正取引の確保に向けた提言について

  • TOP>
  • 政府情報システムのソリューションサービス事業分野における適正取引の確保に向けた提言について

2023年 9月 26日

一般社団法人 電子情報技術産業協会
ソリューションサービス事業委員会
IT サービス調達政策専門委員会

ソリューションサービス事業委員会ITサービス調達政策専門委員会(以下、「本専門委員会」)は、情報システム調達に係る諸課題の解決に向けた政府動向等の把握に努め、情報システム調達に関する諸政策に対し、関係機関への意見、提言等を通して、適切な制度の採用や、ガイドライン等への反映を図る活動を推進しております。今般、本専門委員会にて、政府情報システムのソリューションサービス事業分野における国際競争力強化や価値向上の観点を踏まえ、提供価値に対する適正取引の実現を目的に検討・提言活動をスタートさせました。
昨今の急激な物価上昇や政府の分配戦略「所得の向上につながる賃上げ」による政策としての賃上げ要請などがある中、企業においてはコストの上昇と賃上げの実現の両方に対応しつつ利益を確保することが求められております。そのような環境下で政府情報システムの開発・運用調達においては、予算が確定済みである、複数年契約を締結済であるなどの事情から契約における人件費単価の見直しが難しく、各社最新技術活用や効率化による生産性向上を通じた運用経費削減など、個別努力で対応しているものの、コストの上昇と賃上げの実現の両方に対応することが困難になってきているのが実態です。労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分を取引価格に反映しない取引は、下請法上の「買いたたき」に該当するおそれがあると公正取引委員会より指摘がなされている一方で、「経済財政運営と改革の基本方針2023 加速する新しい資本主義~未来への投資の拡大と構造的賃上げの実現~」(いわゆる「骨太方針」)においては従業者へよび従業者の賃上げに向けた原資を必要としておりますが、残念ながらコスト上昇分を企業努力のみでは吸収することは非常に困難です。このため他業界においては公共工事事業にて国土交通省が外部環境を踏まえた労務単価の見直しを行うなど、労働市場の実勢価格の反映を図っています。こうした状況を踏まえ本専門委員会では、ソリューションサービス事業分野における外部環境や提供価値を踏まえた適正取引の実現に向けて、下記のとおり関係方面に提言してまいります。

  • 急激な物価上昇の中、下請取引の適正化を図りながら政府の分配戦略である賃上げのモメンタムを今後も継続していくために、今後調達される政府情報システムの開発・運用・保守における契約の人件費単価等の引き上げ(下請企業との価格交渉に応じたコスト転化を反映した契約の人件費単価引き上げを含む)を容認いただきたい。また、予算要求時は前年度予算額との比較ではなく、適正な人件費単価で積上げた費用を考慮して予算編成をお願いしたい
  • 契約の人件費単価の引き上げを認めていただく際には、適正取引の観点より、作業量を変えずに工数の削減を求めるということが発生しないようにしていただきたい
  • 継続的な適正取引のため、予算確保がされた後も調達時点の物価状況に応じて予算が増減され適正なものとなるよう、柔軟な予算確保の仕組みを検討いただきたい

本活動を通じて、政府情報システムのソリューションサービス事業分野における国際競争力強化や価値向上の一助になるべく取り組んでまいります。

本件に対するお問合せ先

一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA) 事業戦略本部 事業推進部
〒100-0004東京都千代田区大手町1丁目1番3号 大手センタービル
 itt3@jeita.or.jp

PAGE TOP