2008年11月
国際標準化対応支援委員会(CISAP)PR委員会発行
2008年度 国際標準化対応支援委員会 総会開催
ISO/IEC Directivesについて (CISAP・PR委員会委員/新井謙一 日本電気(株))
「国際標準化活動2007」を発行しました。
国際標準化対応支援委員会 総会開催
 

 

 

 

   

 2008 年度国際標準化対応支援委員会総会が、5月27日(火)、神田駿河台山の上ホテル 銀河の間にて開催された。

 審議承認された議案は以下の通りである。

  議案:1. 前回議事録の確認

      2. 2007年度 事業報告書(案)

      3. 2007年度 収支決算報告書(案)

      4. 2008年度 委員会役員の紹介

      5. 2008年度 事業計画書(案)

      6. 2008年度 収支予算書(案)

      7. 国際標準化対応支援委員会補助基準・運用規程(TSC-06)

      8. 公益法人制度改革について

 

新役員の方々  神山副委員長  日比委員長  新井監事  平盛副委員長   

  

  今年度の国際標準化対応支援委員会新役員は以下の方々である。

委員長 日比 慶一 殿 シャープ(株)
副委員長 神山 和也 殿 (株)日立製作所
副委員長 平盛   誠 殿 TDK(株)
監事 新井 謙一 殿 日本電気(株)
監事 堤   茂信 殿 日本ビクター(株)

  なお、総会開催の後、東洋大学 経済学部 教授 山田 肇 殿を講師に迎え、「国際標準化の戦略的展開」をテーマにした講演会を開催した。

 その後、同ホテル別館に場所を移して出席者による懇親会を開催し、出席者相互の交流を深めた。

  

新委員長ご挨拶        国際標準化対応支援委員会委員長

                              日比 慶一 シャープ(株)

 

 

 

 今年度、「国際標準化対応支援委員会」の委員長を拝命致しました。

 昨今、政府・省庁による国際標準化戦略目標の設定、JEITAにおける取組み体制の強化などが進み、国際標準化への認識は十分に高まってきているため、ここでその重要性を繰り返す必要はないと思います。これからは、どのような標準化が望ましいのか、我が国の産業界にとって有益な標準化とは何か、を考え、実行するフェーズに移る必要があると思います。事業戦略と連携した標準化戦略については各社個別のお考えをお持ちだと思いますので、本委員会では会員企業各社に共通したメリットとなる活動とは何かを模索しながら、効果的かつ効率的な運営への改革を図っていきたいと考えます。

 折しも公益法人制度の改革を迎えて、本委員会の活動基盤や財務基盤の見直しが求められており、今年度の重要な課題となっています。この機会を積極的に捉えて、皆様にとって真に役に立つ「対応支援」を実現する活動への変革を検討していきたいと思いますので、皆様方のご協力を宜しくお願いいたします。 

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ISO/IEC Directives(以後Directives)は規格開発のルールブックであり、IEC関係者にとって参照が不可欠な文書である。Directives はこれまで数年おきに改訂されており、常に最新版を参照することが必要である。Directives はISOとIECで共通な Part1及びPart2、IEC専用のSupplement−Procedures specific to IEC (以後Supplement)の3部作で構成され、いずれも2004年に改訂されたが、このたび、Part1とSupplementの改版(最新版)が発行された。ここでは、Directives利用における留意点とPart1とSupplement最新版の改訂ポイントについて概説する。なお、DirectivesはIECのwebサイトに掲載されているので参照されたい。

1)ISO/IEC Directives利用における留意点

Directives Maintenance Team(DMT)による規格開発ルールに関する提案はSMB(標準管理評議会)で審議され、承認された場合にSMB決議が出される。SMB決議のうち重要なものはAdministrative Circular(AC)文書によって全ての国内委員会に通知される(約1ヶ月以内)。本来、SMB決議及びAC文書の内容は速やかにDirectivesに反映されるべきであるが、@従来、Directivesの改訂は数年おきであること、ADirectivesに反映されないAC文書が存在することにより、Directivesだけでルールの理解が事足りるということにはならない。今年から原則的に毎年Directivesを改訂することになったので、@で生ずる問題は改善に向かうと思われるが、Directivesに反映されないAC文書の存在については、規格開発関係者にとってAC文書そのものがあまりファミリアではないことを考慮すると、今後とも十分な留意が必要である。そうしたAC文書の例としては次のものがある。

   

・AC/9/2008:直接IS発行に進む反対投票のないCDV

・AC/48/2007:PASの手続き

・AC/8/2003:NPとCDVの同時回付

・AC/135/2002:規格中のessential differences in requirements(国際市場性)

・AC/172/2000:NP承認のために必要とされる専門家の数

・AC/149/2000:内部PASのPre Standardとしての活用

・AC/67/1999:PAS開発の手続き

 

特にPASに関しては、手続きが複雑な上に複数の関連したAC文書があるので、十分な理解が必要である。

2)ISO/IEC Directives最新版の改訂ポイント

現在のDirectivesの最新版は次のとおりである。

   

・ISO/IEC Directives Part1:Procedures for the technical work(Sixth edition, 2008)

・ISO/IEC Directives Part2:Rules for the structure and drafting of International Standards(Fifth edition, 2004)

・ISO/IEC Directives Supplement−Procedures specific to IEC(Third edition, 2008)

 

Part2は2004年の改版が最新版であるが、Part1とSupplementについて2008年に改版(最新版)が発行された。以下にPart1とSupplementの改訂ポイントを説明する。

2-1)Part1の改訂ポイント

◆1.11項 WG

ISOとIECのTC/SCによるJWG設置(1.11.5項)に関し、両機関の専門委員会が合意すべき事 項(管理責任及び業務、コンビナ、メンバーシップ)が追加された。これに関連して、附属書B(規定)「リエゾン及び業務割当てに関するISO/IEC手順」において、JWGの規格開発手順、著作権・ロゴ・販売、メンテナンス手順などが追加された。

◆2.5項 委員会段階

幹事国はPメンバーによるCDへのコメントをまとめ、コメント集を回付するが、改正CDの回付も しくはCDV登録処理を行う場合には、各コメントに対するアクションをコメント集に示さなければならないことが追加された。

◆2.14項 特許対象項目の参照(附属書Iも参照)

従来の“2.14項 特許対象項目の参照”という表題が“2.14項 特許対象項目の参照(附属書Iも参照)”に変更され、2007年3月に発行された文書「ITU-T/ITU-R/ISO/IEC共通特許方針の実施ガイドライン」が、附属書I(規定)として修正なくそのまま組み入れられた。この附属書Iは、付録として「ITU-T/ITU-R/ISO/IEC共通特許方針」と「特許声明及び実施許諾宣言フォーム」を含んでいる。

◆3.2項 PAS

従来、IECのみに適用する規定として、3.2.4項で“PAS承認=自動的にNP承認”となっていたが、この項が削除された。幾つかのTC/SCで、NPの第2番目の承認基準(必要な専門家の数)を回避するために3.2.4項が用いられてきたことへの反省である。この項を削除したことに伴う新たな手続きの詳細が、上記したAC/48/2007(PASの手続き)に示されている。

2-2)Supplement-Procedures specific to IECの改訂ポイント

◆4.3項 メンテナンス手順

メンテナンス完了日に関し、SPS(運営方針計画書)に記載すること、CDV段階で原案を提出する前に委員会の承認を得ることが明記された。

◆5項 特定の国別の特殊条件に関する文言の挿入(例外事項)

この条項により、各国の国内委員会は、自国の特殊条件に関する記述を参考情報として国際規格の中に盛り込むことが認められている。特殊条件が“永続的性質の程度が低い、実施上の違い”の場合の文言については、従来はCDVのまえがきに記述することになっていたが、参照している旨をまえがきに注意書きした上で附属書(参考)に記述しても良いことになった。

◆17項 メンバー国による安全関係のIEC出版物採用に際しての移行期間新たに17項として設定された。移行期間の記載に関する注意として、旧版の使用から新版の使用への適切な移行期間を示すために参考として与えられること、異なった市場における要求事項と合致しないような恣意的な移行期間を記述すべきでないこととしている。

◆附属書H(規定) 規格開発関連書式

附属書Hは規格開発関連書式の名称だけを記載しており、各書式はIECのwebサイトから入手することになっている。したがって、各書式はSupplementと無関係に適宜改訂されるので注意が必要である。2004年時点から現在までに、NP(新業務項目提案)、RVC(CDVに対する投票結果)、CC(委員会原案に対するコメント集)、RVD(FDIS投票結果報告)、RSMB(SMBへの報告)の各書式が改訂されている。

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下記をご覧ください。

 国際標準化活動2007

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