2009年01月
国際標準化対応支援委員会(CISAP)PR委員会発行

 
 
 
[開催日程]
 

2008年10月16日(木)、第4回ステアリングコミッティ、アドホック/プリアドホック

2008年10月17日(金)、プレナリ会議

[場所]
 
韓国済州島、Jeju ShineVille
[参加者]
 

日中韓から延べ約50人が参加

・日本:長谷川常務(JEITA)をHoD(Head of Delegation)とし、会員企業からは三菱電機、東芝、富士通、日立製作所、シャープ、日本オラクル、ソニー、業界団体からはIEC-APC、JBMIA、JEITA、経済産業省産業技術環境局(オブザーバ)から井上室長、寺田氏、JEITA北京事務所から関根氏の計17人が参加。

・韓国(ホスト):KSA(韓国標準協会)、KEA(韓国電子産業振興会)を中心に大学、企業からSamsungなど、研究機関からETRI(電子通信研究所)や政府(オブザーバ)からKATS(韓国技術標準院)など計約17名の参加。

・中国:CESI(中国電子技術標準化研究所)を中心に、企業からZTE、Digital Wave、政府(オブザーバ)からはSAC(中国国家標準化管理委員会)からなど計約20名の参加。

 

1.はじめに

 

 国際標準化の舞台では、中国が2001年12月にWTOに加盟して以来国家戦略として重点的に推進し、「標準化第十一次五カ年発展計画綱要」でも取り組みをさらに強化している。当初中国は国際標準化への取り組み経験が浅く、ごり押し的なところもありWAPIの標準化に見られるように国際標準化の場でも摩擦を引き起こしてきた。

 韓国は国内市場が十分な規模ではないため、常に輸出市場を意識した製品・技術開発を行う必要に迫られている。このために国際整合や自国技術の国際標準化への国家戦略としての意欲が非常に高い。KATSは2005年8月、2010年までに205技術の国際標準採択を目指す「IT標準化5ヵ年計画(2006〜2010)」を発表し、標準化にむけた国内の技術開発を奨励すると共に、国際標準化提案の強化を積極的に推進してきている。これらを背景に国際標準化の舞台では中国、韓国からの国際標準化提案、出席者が急増してきており、摩擦の温床となっている。日本の国益をにらみ、中国、韓国との連携および良好なコミュニケーションパイプの構築が急務となってきていた。

 この状況を踏まえ、中国、韓国と標準化案件について民間企業、民間標準化団体における実務担当者により、事前に情報交換をよく行うことにより相互に理解しあい、将来に向けて協調していく枠組みとして、2007年にCJK-SITE(Standards Cooperation on IT & Electronics) が発足した。

 標準化に関する情報交換は、政府レベルでは北東アジア標準協力フォーラムなど、上位レベルによる政策レベルの議論がすでになされている。一方CJK-SITEは民間企業、民間標準化団体における実務担当者レベル中心で、日中韓の標準化実務担当者レベルでの情報共有、協調を行うことが特徴である。また、政府はオブザーバとして参加していただき、情報交換がさらに有意義、有機的に行える仕組みになっている。会議開催のホスト国を日中韓の3カ国で、一年ごとに持ちまわり運営する。昨年の中国総会につぎ、2年目である今年は韓国総会であった。来年は日本開催となり責務が重い。

 

2. 会議の概要

 

2.1 アドホック会議

 

 16日の午前中に3つのアドホック会議(ホームネットワーク、デザインオートメーション、情報シェアリング)と、2つのプリアドホック会議(RFIDと環境マーキング)が開催された。ホームネットワークのアドホックのコンビナを平川氏(東芝)が務め、日中韓から計15人が参加し、IEC/TC100 High Level Meeting、 iTopHome、 IGRSなどのアップデートが行われた。デザインオートメーションに関するアドホックのコンビナを高橋氏(日立)が務め、日中韓から計7人が参加し、電子カタログ運用方法やIEC/TC93への関与などが議論された。情報シェアリングシステムのアドホックのコンビナを成井氏(ソニー)が務め、将来国際に提案される案件を事前に日中韓でシェアをするシステムの構築案を作成した。また、RFIDと環境マーキングに関してアドホック化するかどうかが事前に議論され、その結果をステアリングコミッティへあげた。

 

 

2.2 ステアリングコミッティ会議

 

 16日の午後には各国の代表(限定メンバー)により第4回ステアリングコミッティ会議が開催された。午前中に行われた2つの事前会議(RFIDと環境マーキング)での議論が報告、議論された。RFIDプリアドホック会議では、現在進んでいるRFIDの案件はISO/IEC JTC1/SC31での議論に委ねることにし、アドホックの設立は見送ることになった。CJK-SITEではターゲットをNew Generation electric IDentification(NG-eID)とし、今後スコープを明確にしてアドホックを目指すことにした。これにより、現在すでに動いているRFID関係の案件には踏み込まずに、さらに将来的な案件については、協調して議論していける枠組みを確保することができた。また、環境マーキングに関するプリアドホック会議は、データで管理すべきという日本と、ラベルで運用すべきという韓国とでコンセンサスが取れず、アドホック設立は見送られた。しかしながら議論は、継続することとした。

 新しいアドホックの設立提案として中国からSOA(Service Oriented Architecture )とDigital Content Management & Protectionが提案された。情報としてまだ不十分なので、スコープや背景、ゴールなどを準備することを中国に依頼し、平行して日本、韓国は持ち帰り検討をすることになった。次回のステアリングコミッティ会議で、アドホックを設立するかどうかの議論がなされることになった。今年の5月にISOのCOPOLCOで韓国から提案された、ACアダプタの標準化についての詳細情報の説明が求められ、それを受けてKATSからその場で口頭報告され、さらに会議後、英語版の詳細な資料が提供された。

 中国から、さらに効率よく議論するため、規定どおり人数を絞って行うべきとの提案があり了承された。次回からは各国5人以内でステアリングコミッティ会議が行われることになる。

 

 

2.3 プレナリ会議

 

 17日朝からの韓国のHoDであるSekwang Park氏が議長を務め、プレナリ会議が開催された。それぞれの国のHoDからの挨拶に続き、前回会議のミーティングミニッツの確認、前日のステアリングコミッティ会議の報告、アドホック会議の報告が行われた。日本の松山氏(シャープ)からIEC MSB (Market Strategy Board)の紹介があった。

 2日間の資料は原則18日中にCJK-SITEのサーバにアップロードされることが確認され、最後に議長から参加者への謝辞があり、会議は終了した。

 

  日本代表団

 

3.今後の予定

 

 2009年は3年目になり、中国、韓国についで日本開催となる。中国韓国からの参加にビザの取得が必要なため、時間的に十分な余裕をもって開催準備を進めることが必要となる。また、中国から提案である2つの新しいアドホックの設立への対応をしていく必要がある。中国への対応として、SOAについては鈴木氏(日本オラクル)に背景の調査と次回幹事会での説明をお願いした。Digital Content Management & ProtectionについてJTC1関連SCについては成井氏が情報規格調査会を通して参考情報を流し、ISO関連のTCに対しては寺田氏(経産省)が担当者を調べることとなっている。12月初旬のCJK-SITE幹事会で報告および対応策の協議を行った。

2009年度の開催予定は、

・第5回ステアリングコミッティ:6月25日または7月2日

・第3回プレナリおよび第6回ステアリングコミッティ(同時開催):11月12、13日または11月5、6日

・次回アドホック会議は、プレナリ、ステアリング会議ときりはなして中国開催という案がでており、現在調整中。

集合写真

 

4.終わりに

 

 今年度の総会開催で2年目が経過し、国際標準化案件に関する事前情報の入手、情報交換、標準化関係者とも良好な関係進み始めてきた。それに伴い、IECやJTC1関係の国際会議の場での顔見知りも増え、意思疎通もスムーズに行き始めてきたように感じられる。

以上

 

 
 

第13回JISC-CENELEC情報交換会の概要

 

 欧州の地域標準化団体には、ISO、IEC、ITUに対応してそれぞれ、CEN、CENELEC、ETSIがあり、ESB (European Standards Bodies)と呼ばれている。JISCでは、電機分野のCENELECと定期的な情報交換会を行っており、今年で13回目、はじめてスペインのマドリードで10月6日から8日に開催した。下記は、10月8日の総会に参加したメンバーの集合写真である。欧州側は36名、日本側は41名で特に鉄道関係が12名と最大であった。

 初日の10月6日には7つのワーキンググループ会合が開催され、JEITAはICT、EMF、EMC、情報アクセシビリティ(ICTと合同開催)、環境などに関係する。本稿では、その中でAV&IT標準化に関係が深いICTワーキンググループ(WG)について報告する。

写真1 第13回JISC-CENELEC情報交換会総会の集合写真

 

ICT-WG

 

 このWGは、日本側がIEC/TC100国際幹事(報告者)、副幹事(ソニー/江崎氏)、欧州側がCENELEC TC206議長(Julian Sesena)という組合せで、IECとCENELECが年に一回、AV&IT分野の標準化について議論する場であると言っても過言ではなかろう。このWGは2005年10月にスタートし、今年で4回目である。CENELECでは、例えば環境分野のCLC/TC111Xの様にIECと同じ番号にXを付けたミラー委員会があるが、TC100については、設立当時の幹事国であったオランダがCLCにミラー委員会ができるのを嫌い、CLC/TC206、205、209等がIEC/TC100に関係する委員会である。CLC/TC206はその中でもIEC/TC100に最も関係が深い。

 4年間の活動を通して、欧州側の動きがよく見えるようになってきた。ホームネットワークが一つのテーマであるが、日本でも「集合住宅のIT化、情報配線が難しい」と言われているが、欧州でも同様の課題を抱えている。CLC/TC205にSmartHouseという活動があり、最近ではTAHI (The Application Home Initiative)としてIFI (Interoperability Framework Initiative)を押し進める活動を行っている。デジタルTV関連では、英国が導入を予定している第二世代の地上デジタル放送方式DVB-T2、衛星放送を携帯受信するDVB-SH (Satellite Handheld)が紹介された。また、デジタル放送用STBはVery Basicと呼ぶ単純なものから、リターン回線無しのデータ放送が使えるEnhanced、リターン回線を備えたInteractive、さらにインターネット閲覧機能を加えたInteractive + Internet、の4種類に区分して検討を進めている。

 本年度の一番大きな収穫は、欧州ではCENELECがデジタル放送受信機の要求条件を決める標準化団体であると判明したことである。毎年、EBU、DVB、CENELEC、ETSIがJTC (Joint Technical Committee)を毎年一月に開催して、デジタル放送関連の規格作業をETSI→ITUとするか、CENELEC→IECとするかを決めている。欧州の場合、放送事業者と受信機メーカのバランスが取れているDVBがETSIとCENELECを上手に使っているということになろう。

 デジタル放送については上述の通りであるが、通信事業者が入っているIPTV受信機については、地域標準化の枠組みは、まだ明確になっていない様子である。JEITAとしても関心がある分野であり、今後も情報交換を継続する必要がある。

 JEITA側からは、IEC/TC100でSTB消費電力測定法の検討が開始されたこと、省エネ推進戦略を策定しているIEC/SMB/SG1からTC100に3つの勧告が出される予定であること、IPTV受信機の標準化についてITU-T、JTC 1、ETSIと協力して作業するようにとIEC/SMBから指令が出たのでCENELECにも協力をして欲しいこと、などを報告した。

 

あとがき

 

 IEC/TC100は、幹事国がオランダであった時代はCENELECと「付かず離れず」で微妙な距離を保って活動してきた。2004年より幹事国が日本となり、CENELECとは、一時、疎遠になっていたが、このICT-WGの活動により、年に一回ではあるがF2F会合ができ、有効に活用させていただいている。CENELECはドレスデン協定により、IEC活動で特別のポジションを占めていることあり、情報交換会への参加は非常に有意義であり、今後も継続していきたい。

写真2 DVB-T2実験装置を作成しているSIDSA社を訪問

以上

 

 
 

 2008-10-2、3にGenevaにて、TC/SC オフィサーズワークショップが開催された。IEC中央事務局(CO)が半日ずつ2日間に亘り、各TC/SCの幹事、議長に対して、IECの標準化戦略、標準化手続き、IT Toolなど標準化業務を遂行するにあたり必要な最新の事項について網羅的に解説した。その中から、JEITAの標準化関係者に特に重要と思われる事項について紹介する。

 

IEC Procedure

 

(1) Directives news

 ISO/IECの標準化ルールを定めたDirectivesについて改定を進めている。ISO専用、IEC専用のSupplementの分量を減らし、共通部分を増やしていく考え。またPart 2記載の編集に関わる部分も手を加える予定。一方、ISO/IEC JTC 1にも独自のDirectivesがあるが、これもISO/IEC Directivesに合せていく方向で進んでいる。

(2) Publicly Available Specification (PAS)

 これまでPASは成立すると自動的に作業項目に組み入れられる仕組みになっていたが、NP提案の裏道に悪用される恐れがあるため、PASをIS、TSに持ち上げる場合には新たにNP提案を出すよう手続きを改正した。(AC 48、2007)

(3) Maintenance

 メンテナンスの手続き、用語がオフィサにも十分理解されていないことがアンケートの結果判明し、Directivesの記述を改正する予定。

(4) Strategic Business Plan (SBP)

 これまで各TCは、TCの活動内容を示すStrategic Policy Statement(SPS)を作成してきたが、Global relevanceを推進するため、SPSをよりわかりやすく戦略的に記載したStrategic Business Plan (SBP)に置き換えることになった。昨年から10のTCがトライアルを行なった。TC3とTC48のSBPがよくできていることから、それらの改定版をSBPの好例として、今後、全TCにSBPの提出を求めることになった。

(5) Database standards

 図記号やコンポーネントの仕様など、エレメント数が非常に大きくなる規格については、紙ではなくデータベース形式で規格が提供されている。Directives IEC SupplementのAnnex Jにデータベース形式規格のメンテナンス手続きが記載されている。

(6)IEC/IEEE cooperation

 IECとIEEEは既にDual Logoでの規格発行について協定を結んでいる(AC/138/2002)が、それらの規格のメンテナンス手続きについて明確に規定した(AC/24/2007)。さらに、IEEEとの協調を推進するため、共同開発プロジェクトを設置して規格が開発できるよう手続きを整備した(AC/22/2008)。

 

IEC IT Tools

 IECのCollaboration toolsについて解説があった。これまでのFTPに代わるもので、審議文書アーカイブ、タスクのスケジュール管理などの機能が盛り込まれている。アクセスのためのID、Passwordは幹事・議長等オフィサはCOから、Expertは各NCから配付される。

 

Processes and services

 CDVとFDISのEditing作業について説明があった。CDVについては、Editorの修正コメントに基づきプロジェクトリーダ、幹事が編集、FDIS段階ではCOが全面的に文書処理を行なう。

以上