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IS-13-情端-5 端末装置に関する調査報告書

■ エグゼクティブサマリ ■
第1部 金融端末装置に関する調査報告
 金融端末装置の出荷統計は,1978年度より実施され,本年度で35年目になる。自主統計参加11社により,基幹系業務端末7機種について四半期毎に出荷台数,出荷額の統計を採り,これらの統計データと市場動向を基にした製品分野毎の分析や今後の出荷見通し調査を行っている。また,ソフトウェア,ソリューションサービスの比重の高まりから,1997年度より,自主統計参加9社により専用端末系/業務系計8種のソフトウェアについて半期毎の出荷額の統計を採り,上記装置出荷統計と併せて製品分野毎の分析や今後の出荷見通し調査を実施するなど充実を図ってきた。
 2012年度の金融端末装置全体の出荷実績は,国内では,ハードウェア,ソフトウェア合計で約1,026
億円(前年度比90%)であった。そのうちハードウェアが台数で約40,100台(前年度比95%),金額で約771億円(前年度比92%),ソフトウェアが約256億円(前年度比83%)であった。
 ハードウェアについては, 2011年度は2010年度の急激な回復の反動で出荷台数・金額とも大幅減少となったが,2012年度は2011年度から更に若干の減少結果となった。
ソフトウェアについては, ハードウェア以上に2011年度からの減少が大きい結果となった。全体に占めるソフトウェア比率は2010年度から3ポイント減少の25%であった。
2012年度までは東日本大震災や長引くデフレの影響により国内経済が沈滞していたが2012年末の政権交代以降, 為替の円高是正とともに国内景気に復調の兆しが現れてきた。2013年度は昨年度とほぼ同程度の出荷金額が見込まれるが, 2014年4月に消費税増税が予定されており, 需要の増減の可能性が予想される。
さらに今回は,今後の金融端末市場に影響が予測される以下のテーマを抽出し調査研究を実施した。
  
 ・通帳をとりまく現状と将来動向
 ・高速モバイルネットワークの現状と将来動向
 ・社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)
今後の課題として,ソフトウェア統計の充実,ソリューションサービス統計の具体化を図り,市場調査カバレッジを拡大することがあげられる。近年,他業界と協業しての製品や店舗展開が進んできたことによって,金融機関の専用端末というよりは,複合化された製品になってきたものもある。他方,ソフトウェア技術の向上により専用機器から汎用PCに置き換えられるものもある。このような製品をどう位置付けて統計に反映させていくかも今後の課題である。
 このように多様化するサービス・製品及び社会・経済環境に対して金融端末専門委員会としても柔軟な体制で臨み,他委員会との交流も含め,更なる市場調査の拡充を行う必要が出てくるであろう。これらの調査結果が今後の金融端末の方向性を示唆するとともに,金融並びに提携業界の連携を推進する一助となるものと確信する。

第2部 流通POS端末装置に関する調査報告
流通POS端末専門委員会では、流通業界を取巻く経済・社会状況を把握する中、流通POS及び周辺機器の技術動向の調査とともに、店舗におけるPOSの運用やソフトウェア動向、社会システム動向等の調査・研究を行っている。
POS市場においては、ネットワークやサーバなど基幹系と投資タイミングを分散させる傾向が見られ、米国発金融不安、東日本大震災の影響など近年の経済状況を背景とした消費者の購買意欲の減少が叫ばれる中、業界不振による投資の先延ばし等により、リプレースサイクルの長期化が顕著になってきている。POSシステム市場そのものが成熟してきていることもあり、運用を継続できないレベルまで老朽化が進まない限りはリプレースしないといった風潮があることは否めず、本年度も同様に投資は慎重になっていると推察される。
2012年度のPOS端末の国内出荷台数は前年度比99%の11.2万台、出荷金額は前年度比91%の365億円となり、出荷台数、出荷金額ともに過去10年間で最低の実績となった2010年度(11万台、364億7千万円)と同じレベルとなった。2012年度末に樹立した新政権の経済政策による期待感から、景気回復の兆しがあるものの、長年のデフレの影響もあり、不透明感から企業の投資意欲を刺激するには至っていない結果と考えられる。
出荷台数に占めるPC-POSの割合は1996年度から順調にその構成比を伸ばしてきており、2012年度も全体の8割を超え9割にほぼ届く結果となった。
POS端末の2017年度までの5ヵ年出荷台数見通し調査では、出荷台数はリプレース需要が2013年度から2015年度の間にあるとの見通しを示し、その後は微減する見通しとなっている。
PC-POSのPOS端末に占める割合は2013年度以降も9割を超えて飽和した状態が続くと見通されている。また、Windows搭載POSの割合は、2013年度から94%前後の高比率で推移すると見通されているが、タブレット端末やスマートフォン等をPOSとして利用する動きも予見される事から2015年以降は微減になると見通されている。
2012年度のカード決済端末の国内出荷台数は前年度比81%の11万2千台、出荷金額も前年度比68%の52.8億円と大幅な減少となった。これはDoPaサービスの終了に伴う、昨年の入れ替え需要の反動と思われる。2017年度までの5ヵ年出荷見通し調査における平均伸長率は据置型で2013年度,2014年度に掛けて、110%(対2012年度)と大手ショッピングセンターの入替え需要や交通系IC対応端末の設置により微増するが2015年度以降は10万台弱の台数で推移すると見通される。携帯型では2011年度のDoPaサービスの買い替え需要で増大した台数に対し37%と大幅減になり、その後の伸長率は2%未満の微減傾向が続く見通しとなった。
POS端末装置の2012年度の保守調査結果は,前回調査である2010年度と同様の結果が見られたが,一部に変化の兆しも見ることができる。2010年度は出張修理方法に関して「ユニット交換」から「部品交換」へシフトする傾向が見られることを報告したが、今回の調査ではその逆の傾向とも取れる「ユニット交換」から「本体交換」へシフトする傾向も見られた。また、部品/ユニットの交換時期について具体的目安を設ける傾向も表れている。サービスレベルの向上、コスト削減、保守部品ライフサイクルの短期化など、POS端末装置の保守の難しさも浮き彫りになっている。
PC-POSにおけるアプリケーション動向調査は隔年で今年度の調査はないが、POSシステムにおけるアプリケーションソフトウェアの重要性の観点から調査を継続している。
委員会としては、今後も引き続きPOS端末装置だけではなく、POS周辺機器、及びそれらをとりまくアプリケーションや決済等の社会システムなど全てを包含した議論を重ねる中、今後予想される社会システムの電子化やIT技術進展による店舗形態の在り方についても討議を深め、的確な情報発信に努めていく所存である。
流通業界を取巻く環境は依然として厳しい状況ではあるが、本報告書の内容は流通POS開発に関わる方々、および流通業界の方々の参考になるものと確信している。

第3部 ハンディターミナルに関する調査報告
ハンディターミナルは携帯型の特長を活かし,データの発生時点での収集並びに処理ができること
から流通,運輸,製造等のあらゆる業種で活用され,業務の省力化・効率化の促進に貢献してきた。
装置の機能に関しては利用者側から各業務に最適な機器の要求があり,装置開発メーカも利用者の要
求を満たすべく携帯性を追求する中で,高い耐環境性能,大画面液晶,大容量メモリ,近距離無線通信機能,3Gデータ通信機能,3G通話機能,NFCリーダーライタ機能等の搭載が進んでいる。
 ハンディターミナルは,流通,運輸,製造等の業種で情報収集・管理等の情報処理を担う装置とし
て活用されている。また,近年ではスマートフォン,タブレット端末等が業務利用されはじめており,広く携帯端末の一種としてハンディターミナルの業務利用範囲も広がりつつある。
 2012年度(平成24年度)のハンディターミナルの出荷実績は, 2011年度(平成23年度)と比較して,国内向け出荷では台数で9%減少し,金額でも13%減少した。また,輸出では台数で13%増加し,金額でも40%増加した。
 各カテゴリ別にみると,スキャナ一体型の国内向け出荷は,台数で4%減少し,金額でも9%減少した。輸出は,台数で10%減少し,金額でも7%減少した。
 標準型の国内向け出荷は,台数で30%減少し,金額でも31%減少した。また,輸出は台数で211%増加し,金額でも236%増加した。
 ノートパッド型の国内向け出荷は, 台数で2%減少し,金額はほぼ増減なしとなった。
 4カ年の出荷見通しでは,スキャナ一体型の国内向け出荷台数は,2013年以降は年平均約1%程度増加していくと見通した。
 標準型の国内向け出荷台数は,緩やかに減少し,2013年度には3万台を割り込むと見通した。
 ノートパッド型の国内向け出荷は,2016年までは緩やかな増加傾向が続くと見通した。

第4部 KIOSK端末装置に関する調査報告
1.調査の概要
 本年度は,KIOSK端末専門委員会発足の五年目であり,初年度で確立したKIOSK端末の自主統計調査をベースに業界動向,海外動向などの定性調査を行なった。特に,海外調査については,平成22年度,平成23年度に続き成長著しい中国のKIOSK展示会にて中国におけるKIOSK動向を調査した。また,関連する端末装置について調査会社よりヒアリングした。
 定義付けされたカテゴリーに沿って業界全体の動向を可視化することを目的に,自主統計調査を基本継続し,上半期・下半期に分けて統計を実施した。
2 調査の背景
 当専門委員会の目的は,KIOSK端末に関与する業界の発展に寄与することにあり,市場実態の把握,標準化の推進,共通的な情報発信や業界課題への対応を目的としている。国内市場における自主統計調査がある程度軌道にのってきたとの認識のもと,昨今のグローバル化の流れに着眼しグローバルでの位置付けに関して把握する試みを開始した。グローバルの中では,特に昨今急速な成長を遂げている中国市場を継続調査した。市場実態を可視化することを通じて業界の発展に寄与することを目標に,自主統計調査を継続した。継続にあたっては前年度の方式を継承し,上半期,下半期に分けて実施した。
3 調査のまとめと考察
平成24年度については,
(1)全体:台数で21,006台(対前年度比119%),金額で5,166百万円(対前年度比141%)であった。
(2)形態別:汎用KIOSK端末は台数で8,885台(対前年度比139%),金額で2,090百万円(対前年度比112%),専用KIOSK端末は台数で12,121台(対前年度比108%),金額で3,076百万円(対前年度比170%)であった。
(3)タイプ別:スタンドアローンタイプは台数で12,210台(対前年度比111%),金額で3,950百万円(対前年度比146%),デスクトップタイプは台数で8,796台(対前年度比133%),金額で1,216百万円(対前年度比125%)であった。
(4)分野別:「流通」分野・「サービス」分野の台数は全体台数の69%,同金額は全体金額の72%を占めており,特に,「流通」分野は台数で7,225台(対前年度比203%),金額で2,746百万円(対前年度比216%)であった。
平成24年度は,KIOSK端末としては,平成23年度の台数・金額と比較し増加したが,平成22年度までには回復していない。
今後の課題として,(1)統計の継続的実施と改善,(2)グローバル市場のKIOSK端末利用動向・実態調査,(3)クラウドコンピューティング時代におけるKIOSK端末の調査,(4)デジタルサイネージ等 新形態の普及・導入との関連調査 の4点を挙げる。

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