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平成20年度 ソフトウェアに関する調査報告書T(IS-09-情シ-1)概要 「ソフトウェア産業の地位向上」に向けた活動報告書 |
第一部 『日本のソフトウェア産業の未来像に関する提言』 | ||
現在の高度情報社会は、ソフトウェア技術によって支えられているといっても過言では
ない。特に近年は、企業情報システムだけでなく、家電やAV 機器等日常生活で利用する
電子機器・製品においても、ソフトウェアの重要性が飛躍的に高まっている。一方で日本
のソフトウェア産業に対しては、様々な課題が指摘されているが、この産業が魅力を持っ
て発展するためには、より構造的、戦略的な課題にも目を向けて、産業界自体が変革して
いこうとする意志が必要となる。また、ソフトウェア技術は、様々な産業・分野で使われ
ており、分野ごとにモデル化を行い、それぞれの産業の歴史的な経緯、ならびに、抱えて
いる構造的課題を分析した上で、日本のソフトウェア産業の未来像を検討すべきと考えら
れる。 そこで、下記のアプローチで検討を進めた。 | ||
(1) | 事業モデルと調査項目に関する検討 代表的な企業を抽出し、それらの企業の事業モデルや財務諸表等について比較を行っ た。 | |
(2) | 代表的な「企業」および「業界」の調査・分析 ソフトウェア産業を、扱うソフトウェアの種類によってセグメントに分類し、それぞ れのセグメントごとの歴史や現状、課題等を把握し、そこから、各業界における事業 モデルや利益構造の他、ソフトウェアの役割、重要性などについての分析を行った。 セグメントの分類は、1)エンタープライズ向けソフトウェア、2)組込み機器向け ソフトウェア、3)ゲームソフトウェア の3 種とした。 | |
(3) | 事業モデル別の未来像に関する検討と提言 (1)(2)の調査結果を踏まえ、ソフトウェア事業に関する事業モデル別に、目指す べき未来像に関する検討を実施した。 | |
我が国のソフトウェア産業の課題は、大きく捕らえると、「勝負の場の設定」と「競争力
の捻出」に集約され、これらの課題を乗り越えるためのキーワードとしては、「市場範囲の
設定」、「競争領域の見極め」、「ビジネスモデルの選択」、「オープンイノベーションの加速」、
「個人の発想力の活用」が重要であるとまとめた。 | ||
第二部 『ソフトウェアの魅力PR 活動』 | ||
ここ数年、大学の専攻選択において、いわゆる「理科離れ」や「工学離れ」が起きてい
る影響等もあってか、かつて突出した人気を誇った「電気・電子・情報系」の分野に関す
る人気は、以前と比較し低下傾向にある。また、ソフトウェア関連業界への就職人気につ
いても同様に低下傾向が見られる。そのような人気低下の背景には、IT・ソフトウェアが
日常生活に浸透し一般化していく中、同分野の「先進性」や「夢」、「凄さ」などが見えに
くくなっていることなどがあるのではないかと考えられる。業界イメージの悪化に関して
も一部には労働環境の厳しい部分があるものの、そのようなマイナスの側面だけではない
ソフトウェア業界、および、そこで働く技術者たちの本当の姿が知られていないことが、
真の問題ではないかと考えられる。ソフトウェアの持つ本当の魅力や、ソフトウェアエン
ジニアの本当の仕事を正しく伝えれば、ソフトウェア関連業界へのイメージも高まり、志
向する人も増えるのではと期待される。 そこで、本専門委員会にて、ソフトウェアの「本当の」魅力やソフトウェアエンジニア の「本当の」仕事を正しく伝えるための、高校生を対象にしたPR コンテンツの提供に取 り組み、『高校生向けWeb コンテンツ「ソフトウェアは未来をつくる」』を作成した。 | ||
第三部 『SEC 組込み系ガイドESxR の普及に関する提言』 | ||
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のソフトウェア・エンジニアリング・センター
(SEC)では、高品質で生産性の高い組込みソフトウェアを効率的に開発するための開発手
法・技法を整備・普及することを目的として、次に示す組込みソフトウェア開発ガイド
「ESxR」を提供している。 ESxR (Embedded System development example Reference) ◆ 組込みソフトウェア向け開発プロセスガイド ESPR (Embedded System development Process Reference) ◆ 組込みソフトウェア向けプロジェクトマネジメントガイド【計画書編】 ESMR (Embedded System development Management Reference) ◆ 組込みソフトウェア開発向けコーディング作法ガイド【C 言語版】 ESCR (Embedded System development Coding Reference) ◆ 組込みソフトウェア品質作り込みガイド ESQR (Embedded System development Quality Reference) 本専門委員会では、ESxR の目的と内容の理解、さらに各種セミナーやイベントの資料、 あるいは報告書にある適用事例などを参照することでESxR の適用のポイントも把握、そ して、経済産業省が行っている「組込みソフトウェア産業実態調査」2008 年度版でのESxR 導入状況の把握を行った上で、JEITA ソフトウェア事業委員会の構成企業におけるESxR の導入状況、有効性のアンケート調査を行い、その結果を分析することにより、ESxR 普 及のための提言としてまとめた。 組込みソフトウェア開発を行っている企業では、高品質で生産性の高い開発をするため に標準を策定すべきである。その際、今回検討対象としたIPA/SEC 発行のESxR は、基本 的な部分を国際標準の考え方を参照しており有効性が高いと考えられる。しかしながら、 本調査の結果では、JEITA 企業における導入状況は低いことが確認された。2 章に示した 「ESxR の目的と内容」、3 章の「適用事例のポイント」では、ESxR がどのようなものか、 どのように有効かを知ることが出来、適用を検討するのに役立つと考えられ、有効に活用 いただきたい。 | ||
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 今年度の活動は、下記の体制で実施した。 |