2.ディスプレイの市場動向(2000年実績および2003年までの需要予測)
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情報端末用ディスプレイ市場は2000年も順調に推移した。
2000年のCRTモニタ世界市場は,好調であったパソコンやワークステーションの販売増加に後押しされ,1999年比13%増の1億1,255万台となった。また,国内市場は,低価格バンドルのパソコン需要に支えられ,価格の安いCRTが予想以上の伸びを見せ,台数ベースで前年比73%増の519万台,金額で39%増の1,480億円となった。
好調な2000年を終えたCRTモニタ世界市場は,液晶モニタの広範囲な市場拡大に伴い,2001年以降は苦戦が見込まれるが,2003年には2000年比19%増の1億3,400万台になると予測する。
2000年の液晶モニタ世界市場は年中盤からの価格低下により台数ベースで前年比44%増の676万台と「世界市場の液晶モニタ元年」と言っても過言ではない好調な伸びを示した。
一方,国内市場は一昨年から続いた高成長に比べると需要が一服した感はあるが,台数ベースで前年比28%増の281万台,金額ベースで前年比14%増の2,638億円という高水準を維持した。CRTの伸びに押され,結果として液晶モニタのシェアが下がったことが特徴といえる。
また,液晶モニタ世界市場のうち日本市場を除く割合は5%上昇し,その構成比は58%となった。液晶モニタ世界市場の成長が今後も進むことから,海外市場の増加傾向はますます強まるものと思われる。
2000年に行われた液晶デバイスメーカ各社の活発な設備投資効果から液晶デバイスの低価格化は進展する。また,省スペース性を活かしたSOHO市場拡大に伴う需要増加やマルチモニタなどの使われ方の多様化により,液晶モニタ世界市場は2001年以降も順調な拡大を見せ,2003年には2000年の258%増の2,417万台となる。国内市場は2003年には2000年の115%増の604万台となる。
2000年のノートパソコン用液晶ディスプレイ世界市場は1999年比34%増の2,570万台となった。2001年は前年比14%増の2,917万台,2003年には3,834万台と引き続き好調に推移する。
2000年の携帯情報端末用液晶ディスプレイ世界市場は,1,050万台と前年比59%増の大幅な伸びとなった。今後は,Mobile Internet Applianceとしての進化がさらに進み,カラーLCD,高精細LCDへの要求に応えながら順調に市場は拡大する。2001年は前年比30%増の1,370万台,2003年には2,020万台と引き続き好調に推移する。
2000年のデータプロジェクタ世界市場は台数ベースで前年比85%増の133万台と急成長をとげた。市場全体は2003年には340万台程度に伸長すると思われ,当面順調な拡大が見込まれる。
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3.プリンタの市場動向(2000年実績および2004年までの需要予測)
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プリンタの世界市場は,2000年も順調に販売台数を伸ばしており,パソコンの普及に伴いプリンタ市場は今後も継続して拡大していく。しかしながら,2000年だけを地域別に見た場合には,日本が昨年に続き全体的に大きく成長し,好況下にある北米や欧州,経済危機を脱して久しいアジア地域では日本ほどではないにしても成長はした。また,インクジェットプリンタに関しては日本だけでなく南米,東欧も大きく成長した。方式別に見ると,成長を続けるインクジェットプリンタ,MFPに対し,ページプリンタはトータルでは横這いのままであり,今後下降傾向になるモノクロと成長めざましいカラーが相補的な関係にあると見られる。
一方販売金額は,販売台数の成長に比べ小さいものとなった。理由は,価格下落や低価格帯化などによる平均販売価格の低下が進んだことがあげられる。ただし,より高付加価値機能を備えた商品も新たに市場投入され続けている。性能に進歩する余地がある製品カテゴリーにおいては特にその傾向が見られるが,訴求力のある性能向上が難しい製品カテゴリーにおいては他社製品との差異化が難しく,価格での差異化に走る傾向が昨年に続き本年も引き続き見受けられた。
2000年のプリンタ世界市場は,1999年の7,300万台から8,700万台となり,前年比20%の伸びとなった。金額ベースでは9%の伸びを示して4兆3千億円となった。
方式別には,インクジェットプリンタが前年比24%の増加で,6,400万台が販売された。ページプリンタは,台数で2%の増加を示し,1,170万台に留まった。このうち,カラーページプリンタは一昨年ほどではないが対前年比32%の大幅な増加となり,71万台が販売された。カラーページプリンタはここ数年,その本格的普及が期待されてきたが,依然伸び悩みの状態が続いている。安価な新製品も投入されたが,カラー用途やカラー・コーディネートの方法など用途提案が市場に浸透していないことが根本原因として考えられる。MFPは,台数ベースで対前年比19%の伸びとなり,750万台弱に至った。ドットマトリックスプリンタは,台数ベースで対前年比−5%となり市場は縮小しつづけているが,緩やかな縮小傾向を呈している。
地域的販売状況を台数ベースで観ると,経済不調が問題とされている日本市場が30%と飛躍的な成長を見せ,南米,東欧もインクジェットプリンタだけで見ると,それぞれ28%,26%,ページプリンタ全体では南米,東欧共に14%程度の成長であるが,カラーページプリンタは39%,86%と高い。一方で経済的な好調に陰りを見せ始めた北米市場は6ポイント伸ばして19%,西欧市場は前年比14%増とほとんど変わっていない。アジアパシフィック地域は,政治,経済的な混乱も部分的にはあったが,以前より落ち着きを見せ始めたためか前年比25%増と急成長した。それぞれの地域が全体の中で占める割合は,販売ベースで北米が35%,西欧が31%,日本9%,アジアパシフィックがMFPを含めず11%,その他の地域は14%となっている。
地域的販売状況を金額ベースで観ると,北米市場と西欧市場が4%,2%と微増であるのに対し,日本市場が13%と成長を見せ,アジアパシフィック地域とその他の地域は20%を上回っている。ただし,金額成長率を台数成長率に比して日本が最も低く,北米市場と西欧市場が続く。アジアパシフィック地域とその他の地域は,ほぼ同調している。
プリンタ世界市場はパソコンの普及に伴って伸長して行き2004年には販売台数で約1億3千万台となる。台数ベースの伸長率は徐々に低下し,当面二桁台は保つものの2003年で一桁台に落ちる。
ホーム市場におけるプリンタは二極化と多様化が進むものとして考えられ,低価格商品対高付加価値商品という二極化とは別に,脱PC化や高性能とは別の高機能化,既に定着したホーム市場向けのフォトプリンタなど目的指向型商品や情報家電機器に対応するプリンタなど家電としてのプレゼンスを目指すなど新しいものが現れると予想される。特にインクジェットプリンタの領域では引き続き今後の動向を注目する必要がある。
ドットマトリックスは,インクジェットやページプリンタへの代替が進み今後も数量を減少させるが,ドットマトリクスでしか対応できない用途もまだ残っており,減少率はかつて考えられたよりは緩やかである。
インクジェットプリンタは今後も順調に販売台数を伸ばし,2004年には9,900万台を超える。しかし,金額ベースの伸びは平均価格の低化進行によって,頭打ちとなり2001年以降はほぼ下降となる。このままでは2004年にはかろうじて1兆円台を保てる程度の計算になる。
ページプリンタでは,カラーページプリンタの伸びが順調ではあるが期待まで及んでいない。今後も価格低下と高速化が進み大きく伸長すると考えられ,2004年にはページプリンタ全体の4分の1に及ぶ。
モノクロページプリンタは,21ppm以上の伸びが顕著であり,高速化・集約化がますます進むと思われる。
MFPは今後順調に伸び,2004年にはインクジェット式で700万台半ばに達し,電子写真式では500万台を超える。
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4.磁気記憶装置の市場動向(2000年実績および2003年までの需要予測)
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固定磁気ディスク装置(以下HDDと略す)の市場を3.5型と2.5型の2つに区分している。HDDの用途として3.5型は,デスクトップ型パソコンやメインフレーム用,2.5型はノートパソコン向けが主体である。
HDDの出荷は,拡大するコンピュータ需要に支えられ,増加の傾向をたどっている。またHDDの技術革新は目覚ましく,「大容量化・省スペース化」,「高速データ転送・省エネルギー化」あるいは「ハイテク化・ローコスト化」といった相反する要求に幅広く応え,今後ともコンピュータシステムにおけるプライマリ外部記憶装置としての地位は変わらないと思われる。又,特にデジタル情報家電と呼ばれる分野のうち近年注目されているHDD録画機等の新市場が急速に立ち上がる様相を見せてきている。
フレキシブルディスク装置(以下FDD)は,高信頼性、低価格(装置及び媒体)で手軽なデータ交換用機器として,現在ほとんどのパソコンに搭載されている。従来容量は製品としての成熟期は過ぎていること,LANやインターネットの普及,ノートパソコンのモバイル化,パソコンのレガシーフリー化構想にともない搭載率が減少傾向を示し始めたことよりFDDの出荷台数は,パソコン需要の拡大に反して,減少傾向を示している。
特に,大容量FDDは,MO,CD-R,CD-RW,DVD-RAM等の光ディスク装置が急激に伸びたことに加え,画像データ等取り扱うデータの大容量化にともない光ディスク装置に比べ記憶容量の不足感があることにより,大幅な減少となっている。
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