5.光ディスク装置の市場動向(2000年実績および2003年までの需要予測)
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2000年は光ディスク業界にとって激動の年であった。1999年終わりごろから,電子産業業界全体で極端な資材の入手難が発生し,半導体部品は言うに及ばず,一般部品までも入手難となった。これは,爆発的に普及した携帯電話や,ゲーム機器などが資材を必要とした為である。パソコン業界も同様であり,インターネット需要等による著しい伸びを見せていたパソコンの出荷台数拡大予測に合わせるべく,メーカは各種資材を確保する必要があった。しかしながら,携帯電話と一部同様の資材を使用する光ディスク装置の資材入手難は深刻であり,各パソコンメーカは光ディスク装置を確保しようと大幅な枠取りやオーダーを入れることとなった。ところが,2000年夏ごろから状況は一変した。インターネット需要がやや下火になるにつれ,出荷台数が当初の見込みよりも伸びなくなりはじめた。北米ではパソコンの普及率が頭打ちとなった。パソコン本体の製品在庫が増加するにつれ,パソコンメーカは枠取りをはずし,オーダーのキャンセルをせざるを得なくなった。資材を確保し,増産体制が完了していた光ディスク装置メーカは,アクセルを吹かし始めた矢先に,大変な力でブレーキを踏むことを余儀なくされた。しかしながら結果的には,世界市場における1999年の光ディスク装置出荷台数1億3,028千万台に対し2000年は1億8,855千万台と145%もの昨年の予測を上回る成長率を示すこととなった。一方,日本市場でも,1999年の1,571万台から2,095万台となり,対前年比133%の出荷増となった。
2000年,世界市場での光ディスク装置出荷台数1億8千万台はパソコンの出荷台数と比較し,約1千4百万台程度の過剰供給となっているものと考えられる。これらの過剰供給を消化するため,2001年はそれほど出荷が伸びず,成長率は対前年度比107%の2億0,083万台になると予測する。
2002年は再生専用のROMよりも追記書換型光ディスク装置の成長率が増え,これまで,再生専用中心であった光ディスク装置が本格的に,追記書換型装置へ切り替わる時期であると言える。全体でも順調に出荷台数を伸ばし,対前年比111%の2億2,392万台を予測した。
2003年には更に追記書換型への置換が進み,CD-R/RW装置はOSの標準サポートが期待できることから,ポストFDDの位置付けが更に強くなり,標準搭載へ進むと考えられる。また,CPUの高速化やHDDの大容量化から,データの処理速度が更に向上し,画像処理やAV系へ特化していくパソコンが増加すると考えられ,必然的に追記書換型DVDも著しい伸張を見せると考えられる。これらの背景より,世界市場で対前年比108%の2億4,180万台と予測した。一方,日本市場でも堅調な出荷増が見込まれ,対2000年比146%の3,066万台と予測した。
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6.イメージスキャナの市場動向(2000年実績および2003年までの需要予測)
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2000年のイメージスキャナ市場は,総出荷台数ベースで505万台,金額ベースで813億円となった。うち,フラットベッドスキャナが,台数ベースで国内出荷160万台,輸出328万台,金額ベースで国内出荷281億円,輸出408億円,シートフェッドスキャナが,台数ベースで国内出荷1万2,700台,輸出3万2,000台,金額ベースで国内出荷33.2億円,輸出37.8億円,フィルムスキャナが,台数ベースで国内出荷3万4,000台,輸出7万9,000台,金額ベースで16億円,輸出36億円となった。また,フラットベットスキャナはイメージスキャナ総出荷台数ベースの97%,金額ベースの85%をしめている。
コンシューマ向けのフラットベットスキャナは,パソコンおよびカラーインクジェットプリンタの順調な伸長に支えられ,今後も大きく市場をのばして行くものと思われる。特に,Windows98から標準として採用されたUSBインタフェース対応のイメージスキャナ製品化の進展,CIS(Contact Image Sensor)搭載イメージスキャナの製品化および昨年来の一層の低価格化は今後もコンシューマ市場へのイメージスキャナの更なる普及を促す要因となる。また,高速シートフェッドスキャナもイメージファイリングやOCR用イメージスキャナの需要により堅調な伸びが期待される。
今後もイメージスキャナ市場は,総出荷台数ベースで年率20%程度で順調に伸長していくものと思われる。
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7.OCRの市場動向(2000年実績および2003年までの需要予測)
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OCR製品は,パソコンほどの急激な進歩はないが,年々着実に技術面での改善が行われており,読み取り可能な帳票枠は拡がっている。また,文字認識部のソフトウェア化などにより,市場ニーズにも柔軟に対応出来るようになってきた。各メーカでは,小型スキャナとの組み合わせによるフロントオフィス環境への対応や,情報公開法施行を見据えたイメージングシステムとの連携,電子化文書を一括管理するトータルソリューションシステムとしての提供など,市場規模の拡大に日々努力しており,この積み重ねが今後の成長に拍車をかけていくと考えられる。
2000年のOCR市場は台数(本数)ベースで約16万台,金額ベースで約156億円となっており,前年比でそれぞれ12%増,横這いという結果になった。台数(本数)ベースで増えたのは,伝票処理用OCRで,金融再編等での新規ニーズや保険市場におけるリプレース等が活発化。また介護サービス業者(介護日誌等の入力)の利用など新規市場の立ち上がりで,デバイスタイプ,ソフトウェアタイプ共に大幅に伸びたことが上げられる。更に,1999年では減少傾向にあった文書処理用のソフトウェアタイプが,再度大幅な伸びをみせたことが要因である。それにも関わらず金額ベースで減少したのは,金額構成比で大半を占める伝票処理用OCRで平均単価が下がったことが原因となっている。
今後も,社会不況の影響が当分の間は続くと考えられ,予測は非常に行い難い状況であるが,現状台数(本数)ベースは着実に伸びており,市場も金融再編等での新規ニーズや保険市場におけるリプレース等が見込まれている。更にOCR製品を部品として利用する流れの中で,ペーパーレス化を促進するイメージ関連市場の活性化や自治体等におけるドキュメントの電子化など新規市場の立ち上がりも予想される。これらのことから,2001年以降も継続的な成長過程が維持されると考えられ,台数(本数)ベース/金額ベース共に年率10%前後の伸びとなり,2003年には215億円市場になると予測できる。
尚,文字認識のソフトウェア化が近年大きく進展を遂げており,それがOCRモジュールとして他のパッケージソフトや業務システムへ組み込まれるケースが更に増加していくとした場合,今後はOCR市場全体を引き上げる大きな要因となり得ると考えられる。うまく新しいアプリケーションを開拓することができれば,2003年での215億円を大きく上回る結果も期待できる。
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