7.修理
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7.修理
7.1 故障かな?と思ったら
パソコンに起こるトラブルは、その原因がどこにあるかによって解決策が異なります。
(a) アプリケーションソフトウェアやオペレーティングシステム(OS)など、ソフトウェアが原因の場合は、設定変更やソフトウェアの入れ直し、プログラムの更新などをユーザが自身で行って解決します。
(b) 機械的な故障、つまりハードウェアが原因の場合は、修理を依頼して故障した部品の交換などを行ってもらいます。
ソフトウェアが原因か、ハードウェアが原因か判断が難しい場合ありますが、次の事柄を確認することをお勧めいたします。
ソフトウェアが原因か、ハードウェアが原因か判断が難しい場合ありますが、次の事柄を確認することをお勧めいたします。
(a) 周辺機器や電源以外のケーブルをはずして、現象が発生するか確認します。
(b) 特定のアプリケーションソフトウェアや周辺機器の使用時に発生する場合は、アプリケーションソフトウェアや周辺機器のマニュアル(取扱説明書)やWebサイトを確認したり、サポート窓口へ問い合わせます。不具合を改善した更新プログラムや修正されたドライバなどが掲載されていることがあります。
(c) パソコンに添付されているマニュアル(取扱説明書)の「困ったときは」や「Q&A」などを確認します。
(d) インターネットへ接続可能なら、メーカのWebサイトの「Q&A検索」や「よくある質問」などを調べます。
メーカのWebサイトには、対話形式で故障診断できるページを用意している場合もあります。故障と診断された場合、インターネットで修理の申し込みが可能なWebサイトもあります。
(e) パソコンメーカのサポート窓口へ相談します。
サポート窓口が、技術的な相談窓口と修理の相談窓口に分かれていて、どちらに相談すべきか迷う場合があります。
どちらの窓口でも親切にソフトウェアが原因か、ハードウェアが原因かの切り分けの相談にのってくれます。その結果、ハードウェアが原因と診断された場合は、修理の相談窓口で修理の受付を行ってもらい、ソフトウェアが原因と診断された場合は、技術的な相談窓口で対処方法の相談にのってもらいます。
7.2 保証書の役割
保証書は製品の品質を保証するために、一般的には、保証期間中は無料で修理することが記載されています。故障しないことを保証しているものではありません。
パソコンも機械である以上、故障をゼロにすることは不可能であり、そのため一定期間内に万一故障した場合の対応を規定しています。
また、パソコンに添付されている保証書は、ハードウェアの品質保証が基本であり、ハードウェア故障に対して無料で修理が受けられます。
ソフトウェアトラブルの対応や技術サポートは対象外であるのが一般的です。
以下の事柄はすべて保証書に記載されています。
- 保証期間が機器の購入後何年であるか
- 保証期間中にメーカが行う無料修理の範囲について
保証書こそが、機器の修理に関するメーカとみなさんの唯一の契約書です。
保証書には、無料の修理を提供する「保証期間」と、万一故障した場合の「保証規定(保証条件)」が記載されています。この規定の中には無料修理の範囲や修理の依頼方法などが記載されているので、その内容を確認してください。
保証書がない場合は、購入した販売店に確認してみましょう。保証書がない場合、保証期間の確認ができないので、通常は有料修理になります。
メーカによって期間は異なりますが、保証期間内の修理は無料となっています。
ただし、修理自体は無料でも、パソコンの輸送費などの費用はユーザの負担となっているのが一般的です。これも、メーカによって異なるので、製品に添付されている保証書で確認しましょう。
一方、「長期延長保証」など販売店で独自の保証をつけるサービスを行っている場合もあります。
この場合は、販売店とユーザとの間での契約となり、この保証にメーカは関係しないため注意が必要です。
7.3 修理に関する基本的な考え方
トラブルの原因がハードウェアの故障と診断された場合、修理を依頼することになりますが、修理を依頼する前に知っておきたい基本的な考え方・注意点を説明しましょう。
パソコンは、高度な技術の集合体なので、一般的な電気製品と異なる部分もあります。
(1) 保証期間とは
パソコンの初期の故障に対応するために、一定期間保証する期間のことを「保証期間」といいます。
ただし、期間内なら何でも保証してもらえるわけではありません。
マニュアル(取扱説明書)、製品添付ラベルなどの注意書きにしたがった正常な使用状態で製品が故障した場合など、「保証規定(保証条件)」に適合している必要があります。
(2) 保証規定(保証条件)とは
具体的にどのような使用状況で故障した場合に無料修理となるかを示したものを「保証規定(保証条件)」といいます。
「保証規定(保証条件)」は各社により異なりますので、詳細は各社のカタログなどで確認する必要があります。
ここでは、どのようなことがらが「保証規定(保証条件)」に記載されているか、一例を示します。
(a) マニュアル(取扱説明書)、本製品添付ラベル等の注意書きに従った正常な使用状態で、パソコン本体、および添付されている外付けキーボード、マウス、ACアダプタなどが故障した場合は、保証期間中であれば保証対象となります。ただし、バッテリーパックは消耗品扱いとされ保証の対象とならない場合があります。
(b) 液晶パネルは非常に精度の高い技術で作られていますが、画面の一部に点灯しないドットや常時点灯するドットが存在する場合があります。これらは液晶パネルの特性によるものであり、一概に故障とはいえません。「LCD輝度基準」(表示可能である有効ドット数の割合)を満たしている場合は、保証の対象(修理や交換)にはなりません。
(c) 次に該当する場合は、保証期間中であっても保証対象外(有料修理)となります。
(i) 本保証書が本製品に添付されていない場合。
(ii) 本保証書に必要事項の記入がない場合、または字句を書き替えられた場合、その他事実と異なる記載がされていた場合。
(iii) 使用上の誤り(水などの液体こぼれ、落下、水没等)、または誤接続による故障・損傷の場合。
(iv) 火災、地震、水害、落雷その他の天災地変、公害、塩害、ガス害(硫化ガス等)、異常電圧や指定外の電源使用による故障・損傷の場合。
(v) 「有寿命部品」や「消耗品」(バッテリ、乾電池等)の自然消耗、磨耗、劣化等により部品の交換が必要となった場合。
(vi) 接続している他の機器、または不適当な「消耗品」やメディアのご使用に起因して製品に生じた故障・損傷の場合。
(vii) お買い上げ後の輸送や移動または落下等、お客様における不適当なお取り扱いにより生じた故障・損傷の場合。
(viii) お客様が設定されたパスワードの忘却やお客様が施錠された鍵の紛失により、メインボード、本体カバーその他の部品の交換が必要になった場合。
(ix) お客様のご使用環境や維持・管理方法に起因して生じた故障および損傷の場合。(例:ほこり、さび、カビ、虫・小動物の侵入による故障等)
※ 「LCD輝度基準」、「有寿命部品」、「消耗品」の意味は、「第1章 購入の検討 1.2製品情報やカタログ」をご参照ください。
(3) メーカ保証(1年)と販売店保証(3~5年)の違い
パソコン購入時の保証は、パソコン製造メーカの保証と販売店保証の2種類があります。
メーカ保証は基本的に1年で、保証条件を満たせば無料で修理をしてもらえます。(なお、保証内容はメーカ毎に異なりますので保証書を確認してください)
また、メーカの保証期間が短いとの理由で、独自で保証を付けている販売店もあります。
その場合、製品代金とは別に費用を支払うことで、保証期間を延長(3年や5年)しています。
販売店毎に保証内容が異なるため、パソコン購入時に店員の方に確認するようにしましょう。
なお、販売店保証を付けている場合は、まず販売店に修理を依頼することをお勧めします。
(4) 保証期間内でも有料修理になる場合があります
「(2) 保証規定(保証条件)とは」で説明したとおり、保証期間内であっても有料修理になる場合があります。無料になるか有料になるかは、故障の原因によります。
一般的に、ユーザの不注意やユーザの行為が原因で故障となった場合は有料となります。
たとえば、コーヒーをキーボードにこぼした結果、キーボードが使えなくなった場合や、購入時に装着してあったハードディスクドライブ(HDD)を取り外した後、取り付けたりした結果、作動しなくなったという場合のように、ユーザの責任によるものは有料修理となります。
(5) 改造したパソコンは修理の対象とはなりません
改造とは、購入時の構成に周辺機器などを追加して構成を拡張していくといった形態ではなく、購入時の構成自体を変更したものをいいます。
たとえば、購入時のハードディスクドライブ(HDD)を他のHDDに交換した場合です。
通常の場合、このような改造を行ったパソコンは修理の対象にはなりません。保証書にもその旨の記述があります。
ユーザが、パソコンを自分自身の使いやすい形に変えていくことは十分考えられることですが、今後、修理が発生する可能性を考慮し、改造は控えてください。
(6) 見積り入手後の修理キャンセル
パソコンの修理は、専門の技術者が修理前に故障箇所の診断を行うため、修理をキャンセルしても費用を請求されるケースがあります。
更にパソコンの運搬を伴う場合は、運搬費なども請求される場合があります。
金額も安くはないため、修理を出す前に、マニュアル(取扱説明書)やメーカのWebサイトで不具合の解決策がないか、確認しましょう。
(7) 修理部品の金額が、量販店などの販売店で売られている部品よりなぜ高額なの?
販売店で売られているハードディスクドライブ(HDD)などの同機能・性能を持つ部品の方が、値段が安いといわれるケースがあります。
これには、いくつかの理由があります。
メーカ修理の場合は、部品が正常に動作するようにモデル毎のパソコンに合わせて検証したり、常に正常動作を保つように部品のチェックをしています。
また、メーカは、補修用性能部品を使って修理する期間を「補修用性能部品の保有期間」で定めていますが、部品メーカが製造を終了しても、その期間内の修理ができるように部品の在庫を確保しています。そのため、在庫分の費用が余計にかかってしまうのです。
このため、メーカが修理に使う補修用性能部品は、販売店などで一時的に大量に販売される部品より高くなっています。
(8) パソコン修理関連Q&A集
JEITAでは、本書とは別に「パソコン修理関連Q&A集」をホームページで公開しています。
本書で説明していないこともQ&A形式で説明されていますので、参考にしてください。
Questionは、次の通りです。
Q1 パソコンは壊れやすいのでしょうか、購入して半年もたたずに壊れてしまうことがあるのはなぜでしょうか
Q2 保証期間が1年間なのはなぜでしょうか
Q3 古いパソコンを修理してもらえないのはなぜでしょうか
Q4 保証期間内でも修理が有償になることがあるのでしょうか
Q5 パソコンが発煙・発火しても無償修理にならないことがあるのはなぜでしょうか
Q6 修理に出すと、診断料が別途かかるのはなぜでしょうか
Q7 パソコンメーカーの修理と販売店の修理はどう違うのでしょうか
Q8 故障した部品を返却してもらえないのはなぜでしょうか
Q9 パソコンの補修用性能部品にはリサイクルされた再生品が使用されているのですか
Q10 キートップをバラで売ってもらえないのはなぜでしょうか
Q11 自分で修理したいので、光学ドライブやハードディスクなどの部品だけを送ってもらえないでしょうか
Q12 ウイルスに感染したらパソコンの修理が必要でしょうか
Q13 パソコンを使用していなくても壊れてしまうことがあるのでしょうか
Q14 液晶ディスプレイに点灯しないドットや常に点灯しているドットがありますが故障でしょうか
7.4 パソコンを修理に出す前の準備
(1) 修理に出す前に確認すべきこと
パソコンを修理に出す前に、以下のことを確認しましょう。
確認は、購入機器に添付されている保証書が基本になりますので、まず保証書をご用意ください。販売店によってはレシートが保証書代わりになる場合がありますので、合わせて確認をしましょう。
保証期間はメーカによって異なります。また、無料で修理してもらえる部分も異なります。部品によっては消耗品扱いになっているものもあります。
これらの情報は、購入機器に添付されている保証書に記述されています。まず保証書の内容を確認してください。保証書の内容に疑問点があれば、メーカの修理対応の問い合わせ窓口に問い合わせましょう。
保証書を紛失した場合は、パソコンを購入した販売店や修理対応窓口で相談します。
パソコンを購入したときの領収書などは、こういった時のトラブルに非常に重要な補足資料になります。保証書がないと保証期間の確認ができず、有料の修理となります。保証書は大事に保管しましょう。
また、購入時に販売店の保証などメーカ以外の保証を付けている場合は、購入した販売店に相談しましょう。
(2) 保証期間が切れていたら
修理対応窓口で状況を話し、概略でいくらぐらいになるかを事前に確認しましょう。
修理する側も修理するパソコンの現物を見ているわけではないので正確な見積もりはできません。ユーザの口頭での情報を基に推定します。したがって、結果的には事前に確認した概略費用より安くなったり高くなったりします。できるだけ正確に状況を説明すると、見積もりも正確になります。
(3) 増設した周辺機器はどうするの
ユーザが独自で増設した機器、たとえばメモリやグラフィックボード、PCカード、SDカードなどの取り扱いについては、メーカや故障内容によって、対応が異なっています。
装着したままで修理に出してもよいか、または購入時の構成に戻さないといけないのか、修理を担当している窓口に確認してください。
(4) インストールしたアプリケーションソフトウェアは?
修理に出す場合に、一番気になるのがハードディスクドライブ(HDD)にインストールしたアプリケーションソフトウェアや作成したデータです。特に、HDDを修理するときには一番不安な事柄です。これも修理窓口で相談しましょう。
通常の場合は、ユーザ自身でバックアップをとっていただくことになります。
特に、自分で購入したアプリケーションソフトウェアや作成したデータは、自分でないと分かりません。これまでせっかく苦労して作成したデータなどが、修理に出したらなくなってしまったというような悲劇を起こさないためにも、事前に確認してください。
(5) 修理依頼時のHDD内データのバックアップとデータ消去
パソコンを修理に出す場合は、事前にハードディスクドライブ(HDD)内に保存したデータをバックアップしておくことをお勧めします。
なぜなら、修理時にHDDが故障と診断された場合は、HDDは工場出荷時のものと交換されるので、自分で作成したデータはHDD内に残らないからです。
大事なデータが無くなって後悔しないためにも、日頃からバックアップを取っておくことが大切です。
データのバックアップについては、 JEITA「バックアップかんたん基礎知識」も参考にしてください。
なお、修理メーカによっては、データのバックアップサービスを行っている場合がありますので、一度確認してみるのもよいでしょう。
(6) 修理費用について
前節でも若干説明しましたが、修理に出す前に、費用について確認しましょう。
電話窓口における概算見積もりは、ユーザの口頭での状況説明を基にしているので、実際の請求額とは異なる場合があります。したがって、修理を担当する窓口へ以下の点を確認しておきましょう。
- 追加費用が発生する場合は、連絡して欲しい。
- 追加個所を修理する場合は、連絡して欲しい。
- 修理期間が変更になる場合は、連絡して欲しい。
通常の場合、これらの変更が発生する場合は、修理窓口から連絡があります。したがって、連絡先を明確にしておくことが大切です。
なお、場合によっては、機器の修理を実際に発注し、修理センターによる正確な修理代金が確定した後に、その修理をキャンセルされることがあるかと思います。このような場合でも、メーカや、修理を取り次いだ販売店では、機器の輸送ならびに正式な修理代金を見積もるために要した見積もり費用を請求する場合があります。
修理に出す前に、あらかじめキャンセル時の費用についても確認しておくと良いでしょう。
(7) 連絡先について
パソコンを修理に出した場合、追加費用、追加修理個所、修理期間などのことで修理窓口から連絡がある場合があります。連絡がつかないと、修理が遅れることもあります。
連絡先は、自宅、勤務先など複数指定しておき、連絡がつくよう配慮しましょう。
7.5 修理完了後
(1) 修理から戻ってきたときの確認事項
修理したパソコンが戻ってきたら、梱包物をよく確認してください。
通常の場合、どういう修理をしたか状況を説明する書類が入っています。
予想していた内容の場合もあるでしょうし、修理に先立ち診断した結果、別の修理が必要な個所が見つかり、追加で修理した場合もあるかもしれません。修理されたパソコンがどういう状態であるかを確認しましょう。
修理でハードディスクドライブ(HDD)が購入時の状態に戻る作業をした場合には、マイクロソフト社のWEBサイトから更新プログラムのダウンロード(Windows Updateを実施)と適用と、セキュリティーソフトのインストール・更新、PCメーカが提供する更新プログラムの適用も行いましょう。
もし、修理した結果、状態が思わしくなければ、修理窓口に確認しましょう。
修理についての記録が残っていますから、修理内容や結果についての疑問に答えてくれます。