電子部品部会における信頼性技術強化に関する取り組み

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日本の電子部品産業にとって、信頼性に関わる技術は、高度な開発力とともに、国際競争力の中核を担っています。さらに、セットメーカーの製造や開発等の外部委託の加速もともなって、電子部品メーカー自身で信頼性技術の強化を図ることの重要性は益々高まっています。
このような状況に鑑み、部品業界では、電子部品の信頼性技術をより強化することを目的として、2014年、電子部品部会傘下の技術・標準戦略委員会 部品安全専門委員会内に「信頼性技術強化WG」を立ち上げ、関連する課題の解決につながる活動を進めています。
このサイトでは、これまでの本WG活動を通じて策定した成果物等を紹介いたします。

電子部品の FMEA 実施ガイド

製品の信頼性を確保する手法の一つに FMEA(Failure Mode and Effect Analysis : 故障モード・影響解析)があります。IEC の国際規格(IEC 60812:2006)になっており、国内においても JIS C 5750-4-3:2011 として規格化されています。また、自動車産業向けの品質マネジメントシステムの技術仕様である ISO/TS 16949(IATF 16949 に移行)においては、コアツールの一つとしてサプライヤーへの要求事項となっています。
しかし、FMEA が正しく作られ、使われているかと言えば、疑わしい状況にあります。実際に“作り方がよくわからない”“FMEA を作ったのにクレームが減らない”と言った声を聴きます。また、ISO/TS 16949 の審査においては、審査官から多くのコメントや指摘を受けているのを目にします。“作り方がよくわからない”のは、市販のガイドがセット機器や自動車など完成品(最終製品)を例に書かれているためであり、“FMEA を作ったのにクレームが減らない”のは、未然防止という本来の目的が考慮されておらず、さらに継続的な改善活動が行われていないためです。
これらのことに鑑みて、信頼性技術強化 WG では、電子部品としての観点で FMEA 実施手順や記載すべき事項などの検討を重ね、専用の実施ガイドを刊行いたしました。

電子部品のSPC実施ガイド

SPC(統計的工程管理)の手法は、半世紀以上前の1950年代に日本に紹介され、日本製品の品質向上に大きく貢献してきました。それまでの完成品を全数検査して良品、不良品に分ける方法から、製造工程のデータを基に工程の変化をいち早く知り、不良品を作らないようにするというこの方法は画期的なものでした。現在では、自動車産業向けの品質マネジメントシステムの技術仕様であるIATF 16949:2016において、コアツールの一つとしてサプライヤーへの要求事項となっています。 SPCが手法として広く一般的に知られるようになってきたと思われる反面、統計を使うために内容を理解し難いとか、どのように判断すればよいか分からないという声を聴くことがあります。 本ガイドはこれらのことに鑑みて、SPCを実施する意味と、目的に合わせてどのように実施するのかを詳細に解説しています。

医療機器用電子部品の信頼性ガイド

高齢化社会の到来や健康に対する意識の高まりとともに、医療機器、ヘルスケア機器産業は大きく成長することが期待されています。それらは高度に電子化された機器としても発展しており、安定的な電子部品の供給が望まれています。
電子部品メーカは、先進的かつ高信頼性の電子部品を安定供給することが社会的使命でもあり、重要課題と考えます。しかし、電子部品メーカは、それらの機器(特に医療機器)の使用目的の特性上、場合によっては、人の生命に関わるリスクを避けて必ずしも積極的に電子部品を供給していないことを指摘されています。
電子部品メーカはこのような誤解と不安を払拭するために、2014 年 3 月「医療機器分野へ参入のための医療機器への電子部品供給ガイド」が発行されましたが、新たに信頼性技術関連について補完することにより、更に電子部品メーカが未開拓の医療機器、ヘルスケア分野へ参入し、この分野とのすり合わせの機会が得られることを願い執筆いたしました。

電気・電子機器用部品の安全アプリケーションガイド

近年、電子部品は人々の生活を支えるあらゆる機器で利用されており、家電、産機、情報通信、車載、エネルギー、環境、医療分野など、様々な業種・用途で使用され、使用環境も広範に及んでいます。
 「電気・電子機器用部品の安全アプリケーションガイド」は1999年、機器メーカと部品メーカとが双方で総合的に部品の安全性の向上を図ることを目的として初版を発行して以来、時代の背景に合わせ、順次改訂を行ってきました。 このガイドは、部品業界の安全に対する共通的な取組みを示すとともに、部品をよく理解した上で、かつ、安全に使用していただくために、推奨事項、事例などを紹介した情報を、機器メーカへ提供するガイドとして重要な役目を担っています。 そしてこのたび、SDGsの国連採択やカーボンニュートラルなど、環境面での社会ニーズや、さらに拡大する電子部品の使用分野や信頼性への期待の高まりを背景に3回目の改訂版となるRCR-1001Cを発行いたしました。

本ガイドは部品全体の共通事項を記載しています。各個別部品のガイドは、部品の構成・選定・取扱い方法などを記載して別途作成しておりますので併用すると効果的です。
併せて、各種電子部品の安全アプリケーションガイドもご覧ください。

電子部品のMSA実施ガイド

電子部品を製造する上においても、特性値を評価する上においても、品質を保証する上においても、これらすべてに測定器によるデータ取得が必要です。そして得られたデータは信頼できるものでなければなりません。ところが、実際には測定データにはいろいろな要因による誤差が含まれています。MSA (Measurement Systems Analysis:測定システム解析)はその誤差を解析し、定量的に評価するための手法です。自動車産業向けの品質マネジメントシステムの技術仕様であるIATF 16949:2016において、コアツールの一つとしてサプライヤーへの要求事項となっています。
しかし、MSAは統計を用いるためにかなり難解であり、それを理解して使いこなすのは不可能にさえ思えてしまいます。
本ガイドは、目的に合わせてMSAをどのように実施すればよいのか,そして得られたデータをどのように解析し、判断すればよいのかをわかりやすく解説しています。

電子部品の信頼性評価ガイド(失敗事例から学ぶ評価実務)

高信頼性市場へのアプローチとして,高度に電子化された通信・車載・医療機器分野等への電子部品の供給が加速し,信頼性技術も専門化・細分化される中で,全体を俯瞰して見られる人材が不足しているのは電子部品メーカとして忌々しき事態であります。 また,技術の伝承は,個々の企業の問題ではあるものの,日本国の電子部品業界団体として取り組むべき部分もあります。
信頼性技術の中でも信頼性試験を行い評価することは,開発・設計段階での信頼性と弱点の把握,開発したアイテムが目標を達成しているか確認する役割を担う重要なツールとなっています。しかし,この折角のツールの目的と使いこなす実務能力が十分に伝承されず,重大な信頼性問題を未然に防げず改善に繋げられないことがあってはなりません。
本書は,信頼性評価に携わって間もない方や,これから携わる方々に少しでも興味をもって学んでいただけるよう,実際の失敗事例から分かりやすく解説しています。 また,試験現場での問題解決の糸口を提案する手引書として利用できるよう,作成しています。

AEC-Q200 REV E規格 - 受動素子のための信頼性適合試験ガイド

昨今の自動車の電装化の進展は目覚ましく,自動運転に代表されるような高度な運転支援が実現される中で,電装機器の性能を支える電子部品に対しては,より高い信頼性レベルが期待されています。
AEC-Q200は自動車向け受動部品にとって必須の規格ですが,項目が多岐にわたるため,漏れなく正しい試験評価を行う人員を育成するためには一定の時間を要します。本ガイドは,信頼性試験の実務者が試験の実務を行う上で試験規格を容易に正しく理解する助けとなることを目指して作成されています。本ガイドが日本における電子部品の信頼性技術強化に少しでも役立つことを願っております。

電子部品の加速寿命試験運用ガイドライン

日本の電子部品業界は,グローバルなエレクトロニクス産業の基盤のひとつです。加速寿命試験の適正 な運用は,信頼性試験に関わる業務プロセスの効率向上であり,敷いてはエレクトロニクス産業の発展を 支えるものと考えます。現在,当業界で活躍されている方はもちろん,特に,若い技術者,開発者の方々 に当ガイドブックを入門書のひとつとして目を通して頂き,加速寿命試験導入の側面から,今後の電子部 品業界発展の一助となれば幸いです。

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