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JEITA IoT参照モデルとは
JEITA ソフトウェア事業基盤専門委員会では、IoTシステムを類型化する目的で、JEITAのIoT参照モデルを定義しました。 この参照モデルは、RAMI(Reference Architecture Model for Industry 4.0)やSGAM(Smart Gird Architecture Model)をベースに、その概念を整理したものです。
| JEITA IoT参照モデル |
JEITA IoT 参照モデルでは、様々なIoTシステムを以下の3つの軸から位置づけ、各々のIoTシステムの位置付けを理解することを狙っています。
- Interoperability:IoTシステムを構成する構成要素の情報統合の論理的な関係を表す軸
- Zone:IoTシステムを構成する構成要素の物理的な広がりを表す軸
- Value Chain:観測・制御の対象となる「モノ」の生成から消滅までの価値をもたらす作業の流れの軸
JEITA IoT 参照モデルの各々の軸の要素は以下のように分けています。
X 軸:Value Chain サービス全体の業務の流れ
Proposal(企画) | サービス、ビジネスの企画段階の活動 | 例. 利用者予測に基づく営業所配置計画 | Planning(計画) | 実運用の計画を策定する活動 | 例. サービス運用時の利用量予測に基づく車両配備 | Operation(運用) | 計画に基づくビジネス運用する活動 | 例. 輸送サービスの運営 | Monitoring and control(監視・制御) | 運用を望ましい状態に監視し、制御する活動 | 例. 効率的な配送ルートの見直し・指示 | Maintenance(保守) | 運用に必要な設備等を維持する活動 | 例. 使用頻度に基づく車両の点検や交換 |
Y 軸:Interoperability 情報統合化の範囲、相互作用
Component(コンポーネント) | 単体でのデータ | 例. 温度センサーの温度データ |
Local function(単体機能) | 機能として使うデータ | 例. センサーデーに基づく温度制御 | Communication(通信) | 機能間でやりとりするデータ | 例. ログインIDのやりとり | Information(情報) | 複数コンポーネントのデータ管理層 | 例. 個人データとそれに紐づく機能 | Service(サービス) | 大域での意思決定や情報整理の機能郡 | 例. 血液検査のAI分析による病気予測 | Business(ビジネス) | 複数のサービスを組み合わせた高度なサービス | 例. 健康管理ビジネス |
Z 軸:Zone サービスの広がりの範囲
Device(装置) | デバイス, コンポーネント | 例. 温度センサー, モーター, スマートフォン | Workshop(作業台) | 装置を組み合わせて集合的に機能する単位 | 例. 工作機械, 一つの製造ライン | Site(サイト) | ビジネス上の運営単位 | 例. 出張所, 支店, 店舗 | Enterprise(企業体) | 個々のサイト状況から大局的な資源割当を行う | 例. 複数の支社がある会社全体 | Inter-enterprise(企業間連携) | 業界, 社会 | 例. 出版業界, 建設現場運営トータルサービス |
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JEITA IoT参照モデル - 2次元射影モデル
JEITA IoT参照モデルを、2次元平面に投影した射影モデルです。
| JEITA IoT参照モデルの2次元射影モデル |
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JEITA IoT参照モデルへの事例の割り当て - 重機保守管理システム
ここではJEITA IoT参照モデルに「重機保守管理システム」を例として割り当ててみます。 この重機保守管理システムは進化として、重機単独の管理から建設現場そのものをサポートするシステムに成長して、より広いマーケットをターゲットにしたビジネスになっています。 図を見ると、Zoneの軸では事業体間に広がり、Value Chainの軸では資源管理〜運行管理までの広い領域に、Interoperabilityの軸ではよりビジネスに近いところのへ範囲を広げていることがわかります。
| | JEITA IoT参照モデルに重機保守管理の事例を割り当てた図 |
図の2次元に投影された射影図を見てみます。 3次元空間を2次元平面に投影していますので、同じものが複数の2次元平面に現れます。そこで同じものは同色にしています。 また丸数字は発展段階の表しています。①から②、③・・・のように時間とともに変化していることを表しています。
- Interoperability-ValueChainサイドから見ると、Interoperabilityの階層の違いが見えてきます。
重機保守管理システムは、保守が最初に構築され、監視制御→運用→計画→企画のように広がっていったことを示しています。
- Interoperability-Zoneサイドから見ると重機保守管理システムの目的がわかりやすくなり、ターゲットが企業間の連携にあることがわかります。
- ValueChain-Zoneサイドから見ると、サービスアプリケーションの目的に特徴が現れています。
各重機の位置情報から作業領域を把握し、そのエリアへの立ち入りを規制する、稼働領域と工事計画から資材を置く場所を指示するなど色々なサービスが考えられます。
| JEITA IoT参照モデルの2次元射影モデルに重機保守管理の事例を割り当てた図 |
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JEITA IoT参照モデルへの事例の割り当て - 位置情報共有サービス
ここではJEITA IoT参照モデルに初期のIoTの一例として広く知られている「位置情報共有サービス」を例として割り当ててみます。 例えば,Apple の"友達を探す" や Google の "Latitude" などの位置情報共有サービスがあり、これらは以下の図のような位置にあります。 これらのサービスは利用者間での位置情報共有までがサービスのゴールとなっていて、提供するサービスのビジネスに対する目的そのものは具体的には示されていません。 例えば、携帯端末の販売増や位置情報に応じた広告の掲載などがサービス提供者の一つのゴールと言われることもあるが、位置情報共有サービスの内容や収集情報とのビジネス上のゴールの関係性は希薄であり、またサービス提供者がその利用者に目的を明示していることは少なくなっています。
| 位置情報共有サービスの事例を割り当て |
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JEITA IoT参照モデルへの事例の割り当て - 災害時の道案内サービス
災害時の道案内サービスの事例は、位置情報共有を手段とする点では上記の例と同じですが、位置情報共有をより具体的に目的としています。 つまり「災害時に誰かが走行できた道の情報を共有する」ことが目的です。 サービス利用者には災害時に得られた貴重な情報を含んだ道案内を提供できます。 またこれらの情報を複数の企業で共有し、さらに有用な情報をユーザに提供するように発展できます。 しかしこの道案内サービスでは、他のビジネスにどのように活用するかはあまり明確ではありません。
| 災害時の道案内サービスの割り当て |
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JEITA IoT参照モデルへの事例の割り当て - バス運行監視システム
バスの運行監視やドライバ監視システムの事例は、軽微な事故の監視やバス運転の改善、さらには収集したデータを旅行企画への活用など、ビジネス上の直接的な目的になっています。 ただし当初の目的は運転手の居眠り運転や注意力低下の検知と運転手自身へのフィードバック、それと同時に事故の起きやすい状況の収集という程度に限定されていました。 この時点ではビジネスの目的が明確だったとは言えませんでした。
| バス運行監視システムの割り当て |
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JEITA IoT参照モデルへの事例の割り当て - 列車運行情報システム
鉄道の位置情報サービスはその出発点は機器監視であり、直接的には設備や車両の保守を目的にしていました。 その基盤を顧客へのサービスとして還元していて、これは IoT の典型的な展開事例となっています。 さらに近年では列車の遅延情報は接続する他の鉄道会社間に共有することで、顧客サービスを改善しています。 この点ではサービス層で企業間連携が行なわれています。
| 列車運行情報システムの割り当て |
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JEITA IoT参照モデルへの事例の割り当て - サーモスタット
各家庭に入り込むIoTの代表的な例として、サーモスタットのシステムがあります。 このシステムは以下のようにサービス提供者のビジネスの目的が変遷してきています。
- サーモスタットのスマート化による環境の快適化
- アプリからサーモスタットを監視・制御
- 電力使用に応じて機器を制御→ユーザへキャッシュバック
- 電気料金の高い時間帯に節電→ユーザへハードウェアを無償提供
- API公開で他機器との連携・制御
| サーモスタットの割り当て |
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リンク
更新記録
- 2019/7/1 JEITA IoT参照モデルの公開
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