IEC 62233:2005を用いた小型機器の電磁界評価に用いる机について

背景

図1 EMF評価の様子

無線機を搭載していない電子・電気機器から生じる電磁界の人体ばく露評価(以降、EMF 評価)を行うに当たって多くの場合、IEC 62233:2005(家庭用電気機器及び類似機器からの人体ばく露に関する電磁界の測定方法、JIS C 1912:2014)を参考にして、EMF評価を行っています。IEC 62233:2005 /JIS C 1912:2014 では電気用品の種別に従って被測定機器の動作条件や測定箇所を規定しています。小型の卓上機器の場合、机の上に設置して磁界プローブを用いて測定するのが一般的です。
 このとき、机の材質が木材のような電気の流れない材質のものであれば良いのですが、スチール机のような電気の流れる材料で出来ている場合、机の表面に電子・電気機器の発生する磁界を打ち消すような電流が流れ、測定値が小さくなることが予想されました。実際にEMF 評価の値がどのようになるのか、実験で確認しました。

実験

図2(1) 木製の机上

図2(2) 銅板の上

図2(3) アルミ板の上

図2(4) ステンレス板の上

低周波(~400kHz)の磁界を発生する実験基板を作成し、実験基板を木製の机の上に置いてEMF 評価した場合と、実験基板の下に金属板(銅、ステンレス、アルミ)を置いた場合の測定器の読み値(磁束密度)を比較してみました。
 また、木製の机と同様に電気を流さない発泡スチロールでできた机の上において、比較してみました。

図3 発泡スチロールの机

さらに実験基板をコルクの板で机上から浮かし、机の表面からの距離を変化させて、どのくらいの距離まで影響を与えるかを調べました。

結果

横軸に机上からの距離[mm]、縦軸に木製の机の上において測定したときの読み値を1として比較した値をグラフにプロットすると、若干の違いはありますが、木製の机と発泡スチロールの机の読み値への大きな影響はありませんでしたが、金属板と密着していると最大で30%程度読み値が低くなることがわかりました。この金属板の影響は50mm以上離すとほぼ木製の机の上で測定した値に近くなることもわかりました。

結論

図4 実験結果

IEC 62233:2005に準拠して小型の電子・電気装置のEMF評価を行う場合、測定ばらつきや過小評価を避けるため、JEITA EMF専門委員会では木材を始めとする電磁界に及ぼす影響が小さい素材で構成された机の上での測定を推奨することとしました。

質問などは下記へ連絡お願い致します。

JEITA
一般社団法人 電子情報技術産業協会
総合企画部安全担当
EMF専門委員会事務局宛
電話:03-5275-7256

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