Japan Electronic Industry Development Association JEIDA

1999年情報端末関連機器の世界市場、国内市場実績および需要予測



 
5.固定磁気ディスク装置(HDD)
 
 固定磁気ディスク装置(以下HDDと略す)は、3.5型以上(以下3.5型と略す)と3.5型未満(以下2.5型と略す)の2つに区分して分析している。HDDの用途として3.5型は、デスクトップ型パソコンやメインフレーム用、2.5型はノートパソコン向けが主体である。
HDDの市場は、拡大するコンピュータ需要に支えられ、増加の傾向をたどっている。またHDDの技術革新は目覚ましく、「大容量化・省スペース化」、「高速データ転送・省エネ化」あるいは「ハイテク化・ローコスト化」といった相反する要求に幅広く応え、今後ともコンピュータシステムにおけるプライマリ外部記憶装置としての地位は、変わらないと思われる。HDDメーカの製品出荷先はコンピュータメーカ等がほとんどであり、コンピュータ本体の生産が海外にシフトするにつれて国内の需要は減少し海外が多くなる。
 1999年の全世界の総出荷台数(推定値)は1億6,577万台(前年比16%増)であり、そのうち日本国内向けは1,451万台(同21%増)となっている。
 サイズ別には2.5型HDDは2,195万台(前年比28%増)出荷され、そのうち日本国内には545万台(前年比29%増)が出荷された。出荷台数に占める2.5型の割合は,全世界で13%、国内で38%であり、国内での割合が全世界に比べて高い。その理由として国内でのノートパソコンの生産比率が、デスクトップパソコンよりも高いことが挙げられる。
 3.5型のHDDは,1億4,382万台(前年比15%増)の出荷であり、そのうち日本国内向けは906万台(同16%増)となっている。HDD出荷に占める3.5型の割合は、全世界で87%、国内で62%となっており、HDD需要の大勢を占める。HDDの出荷は過去最高を更新中である。
 2.5型のHDDの出荷台数は、ノートパソコンの出荷の伸びに比例しており、大幅な記憶容量の増加を実現する一方で薄型化を図り、モバイルコンピュータや一体型の薄型デスクトップパソコン等にも使われはじめて、今後はこれらの新しい市場も期待でき、2002年には、3,652万台、うち日本国内には829万台が出荷されると予測している。
 3.5型HDDは、ローエンドクラスではデスクトップパソコンに、ミドルからハイエンドクラスのものは、各種のサーバやメインフレームに使われている。ローエンドでは、特にコストが重要視され、ミドルからハイエンドでは性能や信頼性が求められている。2002年には、2億台を超える2億1,139万台(年平均14%増)となる。そのうち日本国内向けは1,173万台(同9%増)になると予測している。
 国内ではデスクトップパソコンの生産が減少し、海外生産が多くなっていることが国内での伸びの鈍化要因となっている。


 
6.フレキシブルディスク装置(FDD)
 
 フレキシブルディスク装置(FDD)はデータ交換用の手軽さ、低価格、高信頼性、メディアの安さ等から、現在ほとんどのパソコンに搭載されており、FDD文化はコンピュータユーザに安心感を与えている。市場成熟期を過ぎているもののFDDの出荷台数は、パソコンの成長率に引っ張られる形で伸び続けてきた。1999年の全世界の出荷台数(推定値)は、1億3200万台となった。2000年には1999年と比較しほぼ横這い(1億3,400万台)と予測している。インターネットやLANが普及してもPCへのFDD搭載率は変わらず現在に至っているが、レガシーフリーPCが普及し始めると見られる今年後半より、パソコンのFDD搭載率が徐々に低下していく事が予測され、2002年には1億775万台とマイナス成長と予測している。
 一方、普及が見込まれた大容量FDDは扱い易さでは他に引けを取らないものの、記憶容量は100−250MBとCD−R(CD−RW)の650MBに及ばず、価格面においても従来容量FDDと比較して割高感が拭えない事から急速には市場が伸びないが、一部の市場で使われていくものと見られる。


 
7.光ディスク装置
 
 再生専用型CD-ROM装置は、デスクトップ用ハーフハイト型が減少したにも拘らず、CD-ROM装置全体としては、17mm以下の薄型装置の伸びに支えられ増加した。また、次世代の再生専用装置と目されているDVD-ROM装置も順調に増加した。
 追記・書換型装置では、CD-R/RW装置が大きく増加傾向を示した。一方、CD-R/RW装置以外の追記・書換型装置総出荷台数は、ほぼ前年並みで推移した。
 2000年以降は、再生専用型CD-ROM装置が減少し、代って再生専用型DVD−ROM装置、並びに追記・書換型CD-R/RW装置が増加すると予測した。
 1999年の再生専用型CD-ROM装置市場は、デスクトップPC用のハーフハイト型が日本、世界市場においてそれぞれ380万台、7,440万台で、共に前年比79%、96%に減少したのに対して、薄型装置が750万台、2,240万台で、前年比165%、164%に増加し、全出荷台数も前年比121%、106%に増加した。また、DVD-ROM装置は、国内、世界市場共に出荷台数を150万台、1,600万台に伸ばし、それぞれ前年比233%、241%と著しく増加した。
 追記・書換型CD-R/RW装置も、日本、世界市場において135万台、1,550万台で、前年比245%、274%と飛躍的に増加した。一方、CD-R/RW装置以外の追記・書換型装置の総出荷台数は前年と比較し顕著な変化はなかった。DVD-R装置、DVD-RAM装置、及びPD装置は日本、世界市場いずれも11万台、23万台と市場規模が小さい。その他の追記・書換型装置(主に3.5インチMO装置)は横ばい状態で、日本、世界市場でそれぞれ110万台、142万台、前年比106%、100%であった。また、CD-R/RW装置を除く追記・書換型装置は、全世界市場に対して日本市場に占める割合が非常に高く、それぞれDVD-R装置、DVD-RAM装置、及びPD装置は48%、その他の追記・書換型装置は77%を占め、他の装置に対して特異な傾向を示した。
 再生専用型のCD-ROM装置は、2001年以降著しい減少傾向を示す。これに代って、再生専用型のDVD-ROM装置、あるいは追記・書換型のCD-R/RW装置が増加する。2002年において、CD-ROM装置は日本、世界市場でそれぞれ610万台、6,530万台に止まるのに対して、DVD-ROM装置はそれぞれ802万台、7,350万台となり、総出荷台数の逆転が起こると予想する。また、CD-R/RW装置も、2000年から2002年まで日本市場において219、337、487万台、世界市場において2,700、4,000、5,500万台と顕著な増加傾向を示すと予想する。
 追記・書換型のDVD-R装置、DVD-RAM装置、及びPD装置は、確実に増加傾向で推移するものの市場規模は全体として見ると依然として小さい。また、その他の追記・書換型装置は、現状維持かあるいは微増に止まる。




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