ウエアラブルエレクトロニクス標準化専門委員会
ウェアラブルエレクトロニクスとは
ウェアラブルデバイスは、端末に搭載されたセンサーを通じて装着している人の生体情報を取得し、クラウド上で解析してフィードバックすることによって、フィットネスやヘルスケア分野などで活用され始めています。また、産業分野では作業支援や労働管理などにも使われ始めており、IoT社会の発展において、人とインターネットの融合に欠かせないデバイスとして、幅広い分野での展開が期待されています。既に、多くの企業からウェアラブル端末が発売され、また研究開発の発表などが行われている状況にあって、グローバルで健全な普及促進と市場拡大を図るためには、適切な国際標準の開発が求められており、我が国としても積極的に参画し関与して行くことが重要となっています。
- ①心拍測定用スポーツブラ
提供:東洋紡㈱ - ②配線付きTシャツ
- ③心拍測定用シャツ
- ④生体情報計測用スポーツウェア
JEITAにおける標準化活動
◆2017年2月、ウェアラブルエレクトロニクスに関する技術専門委員会として、IEC TC124が正式に設立しました。これを受け、我が国が国際標準化に積極的に取り組み、産業競争力をさらに強化することを目的に、日本工業標準調査会(JISC)からJEITAが国内審議団体として承認され、2017年7月に「TC124国内審議委員会」を設置しました。
◆2017年9月には、TC124の設立総会が、幹事国である韓国・ソウルで開催され、標準開発テーマやWGの構成案等について審議され、いよいよ本格的な国際標準化活動がスタートしました。
JEITAは、2017年7月に日本工業標準調査会(JISC)の承認のもと、国内審議団体として、「TC124国内審議委員会」を設立しました。さらに、産業界として審議委員会を強力にサポートする「ウェアラブルエレクトロニクス標準化専門委員会」を2018年2月に設置し、日本発の国際標準開発に、関連企業が一丸となって取り組んでいます。
◆ウェアラブルエレクトロニクス標準化専門委員会の傘下には、2つの小委員会を設置し、それぞれのスコープにおける標準開発を推進しています。
・E-Textile標準化小委員会
繊維や衣服関係はJEITAにとって異業種の分野であることから、日本化学繊維協会やスマートテキスタイル研究会を始めとする関係機関、団体等との協力のもと、日本発の標準化提案と海外からの提案に対する対応を行なっています。
・WEシステム標準化小委員会
IoTの進展により、E-Textileをはじめ様々なセンサーが人体に装着される時代において、安全性や信頼性の観点から、通信を司るボディエリアネットワークの国際標準化に取り組んでいます。
(1)ウェアラブルエレクトロニクスに関する国際標準化の推進
(2)ウェアラブルエレクトロニクスに関する国内規格の制定・発行の推進
(3)規格開発に伴う実証試験
(4)関連標準化機関・団体との連携・交流
(5)その他(勉強会、及び講演会等啓発事業)
IEC TC124(Wearable electronic devices and technologies)への対応
◆導電性糸の基本特性の測定方法に関する標準化提案
E-Textile製品における、キーマテリアルである導電性糸については多くの企業から様々な製品が市場に投入されつつあります。しかしながら、導電性糸に関する基本特性の測定方法についての標準化は行われていません。電気特性だけでなく、糸としての一般特性を含めた形で標準化する事により、これまで糸の取扱を行っていなかったユーザーにも利用しやすい規格開発を目指します。
◆E-Textileの基本特性の評価方法に関する標準化提案
E-Textileの基本パーツとなる布帛(導電性/非導電性双方を含む)の基本特性評価方法について標準化の検討と国際提案を進めます。基本的な電気特性、機械特性などに加え、着用時の快適性に関与する風合いに関するパラメータ測定にKES法(KES:Kawabata Evaluation System)の応用を検討します。KES法は日本で開発され、国内外で広く活用されている布帛の評価体系ですが、今日までデジュール規格化としては発行されていないため、国際規格として位置づけることによって、我が国の競争力維持に向けた重要な手段になるものと期待されます。
◆衣服配線と着脱デバイスとのコネクタに関する標準化提案
今日、典型的な衣服型のウェアラブル機器は、配線、電極などを組み込んだ衣服型の端末と、着脱可能な電子ユニットの組み合わせから構成されます。両者を接続するためのコネクタについては各社各様であり統一されていません。まず、標準化提案の必要性を判断するための基本資料としてテクニカルレポートの発行を目指します。
◆ボディエリアネットワークに関する標準化の検討と国際提案
個別の生体情報を取得するためのウェアラブル機器は既に実用化期に入っていますが、複数の生体情報を統合的に扱うアプリケーションの提案は多くありません。そこで、既存通信規格を必要最小限の機能に絞り、通信範囲を着用者の近傍に限定してウェアラブルデバイスの管理ができるシステム(Smart BAN:Smart Body Area Network)の標準化検討を行い国際提案に向けた取り組みを推進します。ウェアラブル機器を統合管理できるプラットホームの標準化を主導することにより、ウェアラブル機器の応用に関する分野で有利な位置を確保できるものと期待されます。
TC124 マンチェスター会議(2018.5)
◆審議中のプロジェクト
https://www.iec.ch/dyn/www/f?p=103:23:4066707190528::::FSP_ORG_ID,FSP_LANG_ID:20537,25
◆IEC TC124 Strategic Business Plan
https://www.iec.ch/public/miscfiles/sbp/124.pdf
※発行規格及び審議中のIEC文書は著作権保護の対象になりますので閲覧できません。発行規格をご入用の場合は、日本規格協会にてお申込み頂けます。