緊急地震速報実証試験とIT自動防災システム
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地震速報のしくみ
ASTOM HPより転載
全国約1000ヶ所の観測点(地震計)が地震の発生を捉えます
観測点、観測機材の拡充も進められ、東海地震を想定した海底地震計の敷設も始まっています。

資料出典ー気象庁
緊急地震速報はP波とS波の伝達速度の差を利用しています
地震の揺れには、縦に小さく揺れ伝達速度の速い初期微動(P波) と、横に大きく揺れ伝達速度の遅い主要動(S波)があります。地震被害の多くはS波によって引き起こされます。
緊急地震速報は、観測点がキャッチしたP波から震源地、地震の規模を推定、S波の到着時間と予想震度を推定するシステムです。
地震が発生すると、最初にP波を感知した観測点から観測データが気象庁に届きます。届いたデータを基に、震源位置(深さ、緯度、経度)、発生時刻、規模(マグニチュード)を推定、緊急地震速報が配信されます。
S波到着時間、震度の予測
送られてきた地震速報を基に演算を行い、地震警報装置が設置された家庭・オフィス一つ一つの揺れの大きさ(震度)、主要動(S波)到着時間(猶予時間)を予測、地震警報装置が音声で発報します。
JEITA緊急地震速報実証試験では、次の方式で試験を行っています。
(1) すべての地震警報装置設置地点の演算を、システム・機器開発メーカーのサーバで行い、インターネットを使用して地震警報装置に送信、発報する。(サーバ演算方式)
(2) システム・機器開発メーカーのサーバから、インターネットを使用して地震警報装置にデータを送信、地震警報装置が演算を行い発報する。(端末機器演算方式)
(3) ケーブルテレビ局に設置した演算・送信装置からケーブルテレビ回線を使用して、地震警報装置に送信、発報する。(CATV方式)
地震の発生を事前に知り地震から身を守る
緊急地震速報の第1の目的は、地震の発生をいち早く知り、被害をもたらす主要動(S波)が来る前に、命を守るための行動を迅速に行うことです。東京大学生産技術研究所目黒研究室のレポートによれば、正午、マグニチュード8.0の東海地震(北緯34。東経138。 が震源)が起き、猶予時間(主要動がくるまで)10秒と仮定すると、猶予時間の予告なしに比べ静岡県では、死者、重傷者、中傷者ともに大幅な軽減が可能だとしています。

猶予時間
軽減後被害
軽減前被害
備考
死傷
重傷
中等傷
2秒
死傷
75
-
-
地震の認識・行動の開始が可能な時間状況の 把握が
可能だが、現状から行動に移せない割合を基準
重傷
15
75
-
中等傷
5
15
75
無傷
5
10
25
5秒
死傷
20
-
-
学校における実証試験で訓練済みの生徒が
100%が机の下にもぐることが可能な時間
重傷
60
20
-
中等傷
10
50
20
無傷
10
30
80
10秒
死傷
10
-
-
10秒あれば命は助かるとの言葉より
重傷
30
10
-
中等傷
50
30
10
無傷
10
60
90
20秒
死傷
5
-
-
-
重傷
15
5
-
中等傷
30
15
5
無傷
50
80
95

予告なしに大きな揺れがきた場合の死傷、重傷、中等傷者数を各々100とした時、各猶予時間別での指数を示している。

緊急地震速報の課題
(1) 直下型地震(震源地が近い地震)では、P波、S波の到着に時間的な差が少なく緊急地震速報の有効性は少なくなります。
(2) 1観測点のデータ使用では、落雷、故障などによる誤報の発生があります。
(3) 予測震度、S波の到着時間(猶予時間)に誤差がある場合があります。
(4) 劇場、駅など不特定多数を対象とした配信では、緊急地震速報の知識が不十分の場合にパニックが起きる可能性があります。
(5) 通信手段として使用しているインターネットも、 100 万件を超えるような普及段階では情報受信者間のタイムラグが発生する可能性があります。(このため、JEITAでは 衛星通信やマルチキャストなどの遅延対策技術のテストを行っています。)
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