エネルギーマネージメント材料
デバイス技術分科会
背景と調査の重要性
2050年カーボンニュートラル宣言が2020年10月の国会で行われた。これを実現するために,単に再生可能エネルギーを利用するだけでは不十分であり,デマンドレスポンスなどを含めたエネルギーのマネジメントが不可欠である。また炭素固定化などの直接的な手段の採用も範疇に入ってくる。エネルギーマネジメントでは物理的な世界とサイバー空間を融合したシステム(CPS: Cyber Physical Systems)においてIoTを用いた情報通信技術が核となる。持続発展に必要な再生可能エネルギーの利用形態は電気エネルギーとなり,デマンドレスポンス等のネガワットだけでなく蓄電装置を用いたマネジメントが行われることになる。これに対応して電力ネットワークはスマートグリッド化がすすめられる。自動車や航空機などのモビリティにおいては,損失低減・インテリジェント化・安全性向上のために電動化がすすむ。家電・情報通信機器においても,電源効率向上のためにインバータ化がすすみ,小型化のために動作の高周波数化が進む。さらに利便性や安全性の向上のために非接触給電などの有線を用いることのない電力伝送技術が利用されるようになる。エネルギーマネジメントを有効に機能させる手段として5G,6Gなどの次世代情報通信技術との融合も必要となる。
以上のように,カーボンニュートラルを実現する基盤技術は,エネルギーマネジメントであり,デバイス・電子材料技術おける技術戦略を策定する上でも,その動向にただ従うだけでなく,リードしていく必要がある。本技術調査では特にエネルギーマネジメントに必要な創エネルギー・蓄電技術や非接触給電技術およびそのデバイス・電子材料技術について,研究開発や標準化を含めた動向を俯瞰するとともに今後必要とされる課題を網羅的に洗い出す。これにより,電子情報産業の技術開発が今後進むべき方向を明らかにし,いち早く製品開発につなげることで,我が国の電子情報産業分野における競争力を確固としたものにする事を目指す。
調査項目
カーボンニュートラル実現におけるエネルギーマネージメントに用いられる電力エネルギー・デバイス・電子材料に関して,以下の項目について調査を行う。
- 1) 創蓄電技術
- ・蓄電池(全固体電池を含む)
- ・環境発電
- 2) 電力伝送技術
- ・ワイヤレス給電システム
- ・V2G, V2H, V2x
- ・急速充電
- ・スマートグリッド
- 3) アプリケーション
- ・モビリティ(自動車・航空機)
- ・家電・情報通信機器
- ・フレキシブルファクトリー
- 4) 情報通信技術
- ・ポスト5G, 6G
- ・スマートメータ
委員会参加MEMBER
- シャープ(株)
- (株)東芝
- 日本電気(株)
- (株)日立製作所
- (株)富士通研究所
- 三菱電機(株)
- (株)村田製作所