感性センシングと
応用技術分科会
背景と調査の重要性
消費行動を含む人々の思考、行動を支配する感性(好き・嫌い、快・不快、面白い、すごい、美しい、つらいなど)を直接的にセンシングし、活用する技術が徐々に実用化されつつある。特に近年のAI技術の進歩は、感性の様々な問題を科学的・工学的に扱うことを可能にしつつあり、感性技術は今後様々な産業分野に影響を与えていくと考えられる。客観データとしての感性情報は、それが消費者のものである場合には消費動向に関する最も確度の高い情報となる。人々の欲求が分かれば、社会全体として無駄がなくかつ満足度の高い資源・エネルギーの分配が可能になる。さらに個人の内面を自分自身で客観的に把握できれば、健康維持やストレスマネージメント、効率的な学習・訓練やモチベーションの向上などに役立てることができる。本分科会では、このような感性情報のセンシング技術、およびその活用方法について調査するとともに、それらの技術を社会実装していくための課題について整理する。感性をセンシングし、それをフィードバックすることで個人・社会が強く影響を受ける時代が始まりつつあり、そのフィードバックの手法や、センシングとフィードバックが一体となったインタラクションについても調査対象に含める。
具体的には
- (a) 感情やストレスの計測技術/li>
- (b) 個人の細かい行動や表情までをリアルタイムにセンシングする技術
- (c) 利用者の五感や身体的体験をセンシングし共有する技術
- (d) 触覚を含む多感覚および身体の運動と感性の関係性の解明
- (e) 感性的支援によってモチベーションを高めたり健康に導いたりする技術
- (f) 感性コミュニケーション
- (g) アート、エンターテインメントの可能性を拡大する技術
- (h) 暗黙知を情報化し共有する技術
- (i) 感性センシングのデバイス技術
- (j) 感性インフラストラクチャ
- (k) プライバシー保護と感性情報活用のルール
などについて調査する。最終的な出口イメージを共有しながら、 ①デバイス技術の課題、②システム化における課題、③標準化への道筋、が明確になるように調査を進める。